トヨタ・新型クラウンエステートとハリアー、どっちを選ぶ? デザイン、性能、実用性を比較、都会的なSUVの人気モデル

トヨタは2025年3月13日に新型クラウンエステートを発表・発売した。クラウンエステートとハリアーは、どちらも上質なデザインと高い走行性能を備えたモデルだが、そのコンセプトは大きく異なる。デザインやパワートレイン、実用性を比較し、それぞれの魅力を探る。

PHOTO:山上博也(YAMAGAMI Hiroya)/TOYOTA

クラウンシリーズ第4のモデルとハリアーを比較

トヨタはクラウンシリーズの新たなラインアップとして「クラウンエステート」を導入した。SUVとワゴンの要素を融合させたこのモデルは、プレミアムなデザインと多用途性が特徴だ。一方、トヨタ・ハリアーは、都会的なクーペSUVとして高い人気を誇り、洗練されたデザインと快適な乗り心地を両立している。

両車は異なるコンセプトを持ちながらも、共に上質なプレミアムスタイルを追求している点で共通している。デザイン、パワートレイン、使い勝手といったポイントに焦点を当て、クラウンエステートとハリアーの違いを比較し、それぞれの魅力を探る。

デザインとボディサイズの違い

クラウンエステート:ワイド&ローの独特なフォルム

新型クラウン エステート

クラウンエステートは、セダンとSUV、ワゴンの要素を融合した独自のデザインが特徴だ。フロントマスクはクラウンらしい押し出しの強いグリルを採用し、クーペSUV的なルーフラインがスポーティな印象を与える。

大型の台形グリルを採用したフロントマスクは、クラウンならではの堂々とした印象を演出。メッシュパターンのグリルデザインとシャープなLEDヘッドライトにより、スポーティさと高級感を両立している。また、バンパー両端には大型のエアインテーク風デザインが施されており、ワイド感とアグレッシブな表情を強調。フロントフードには、緩やかで流れるようなプレスラインが入り、上質でダイナミックな印象を与えている。

サイドビューは、SUVらしい張りのあるフェンダーデザインと、クーペSUVのような流麗なルーフラインが特徴だ。通常のSUVよりもルーフが低く設定されており、スポーティなフォルムを実現。リアクォーターピラー部分は、スリムな形状になっており、流れるようなラインでリアへとつながる。ドアパネルのキャラクターラインは、シンプルかつ立体的な造形となっており、ボディの立体感を強調している。

さらに、ホイールアーチには無塗装樹脂ではなくボディ同色のフェンダーを採用。これにより、より洗練された高級感のあるデザインに仕上げられている。ホイールサイズも20インチを設定し、堂々としたスタンスを強調。ボディサイズは以下の通り。

• 全長×全幅×全高: 4930mm × 1880mm × 1625mm
• ホイールベース: 2850mm
• 最低地上高: 約165mm

ボディサイズはハリアーより一回り大きく、ワイド&ローのプロポーションが強調されている。リアのデザインは、横一文字のテールランプがワイド感を際立たせ、高級感を醸し出す。

新型クラウン エステート

リアビューは、横一文字のLEDテールランプを採用し、視覚的にワイドな印象を持たせている。トランクリッド(リアゲート)には、クラウンシリーズ共通の「CROWN」ロゴが中央に配置され、ブランドのアイデンティティを強調。リアバンパーはシンプルなデザインながら、スキッドプレート風のディフューザーを採用し、SUVらしいタフなイメージも演出している。

また、クラウンエステートは、ルーフラインがリアに向かってなだらかに下がるクーペSUVスタイルを採用しながらも、広いラゲッジスペースを確保している点が特徴。リアゲートの開口部は広く、大きな荷物も積み込みやすい設計となっている。

新型クラウン エステート

インテリアは、トヨタの最新デザイン言語を採用し、ワイド&ローを強調したスタイリッシュなシルエットが特徴だ。フロントグリルの存在感やシャープなヘッドライトが、堂々とした印象を与える。多彩なカラーバリエーションが予定されており、シンプルで洗練されたモノトーンから、より大胆で目を引くバイトーンカラーまで展開される見込みで、個性やライフスタイルに合わせた選択が可能だ。

ハリアー:都会的なクーペスタイルSUV

トヨタ・ハリアー

ハリアーは都会的で洗練されたデザインが魅力で、流麗なクーペフォルムを採用している。フロントフェイスはシャープなLEDヘッドランプとスリムなグリルが特徴で、全体的にスマートな印象だ。

• 全長×全幅×全高: 4740mm × 1855mm × 1660mm
• ホイールベース: 2690mm
• 最低地上高: 約190mm

クラウンエステートより全長が190mm短く、全幅も25mm狭いため、取り回しがしやすい。また、最低地上高が高めに設定されており、SUVらしい視点の高さを確保している。

トヨタ・ハリアー

ハリアーのインテリアは、たくましさとさりげないセンスに包まれた、大人の感性を刺激する書斎のようなコックピットに仕上がっている。高く幅の広いセンターコンソールは「乗馬の鞍」をイメージしており、厚い皮を曲げてできる自然なシルエットを研究して作られ、触り心地の良さにも配慮されている。インパネには、12.3インチTFTカラーメーター+マルチインフォメーションディスプレイが備わり、Casual/Smart/Tough/Sportyの4つのテイストと3つのレイアウトから、好みに合わせて表示を選択できる。

トヨタ・ハリアー

パワートレイン&走行性能

クラウンエステート:パワフルなPHEV&HEV

新型クラウンエステートPHEVのエンジン

クラウンエステートには、2.5Lハイブリッド(HEV)とプラグインハイブリッド(PHEV)の2種類のパワートレインが設定されている。

2.5Lのハイブリッド(HEV)モデルは、ハイブリッドならではの低燃費性能とバランスの取れたパワー特性が特徴だ。高効率なエンジンと電動モーターの組み合わせにより、街乗りから高速走行までスムーズな走りを実現。E-Four搭載車では、後輪にもモーターを搭載し、安定した4WD性能を確保している。特に雪道や雨天時の走行では、前後輪の駆動力を自動調整することで、高い走破性を発揮する。

PHEVモデルは、3.5L V6エンジン並みのパワーを持ちつつ、日常ではEV走行が可能な点が特徴。低重心設計と相まって、コーナリング性能も優れており、高速道路の巡航性能やワインディングでの安定感が強い。特にPHEVは大容量バッテリーを搭載し、EVモードの航続距離は90kmを超える。これは日常の通勤や買い物といったシーンで十分に活用できるレベルであり、充電環境が整っているユーザーであれば、都市部での移動などならガソリンをほとんど使わずに走行することも可能となる。

・2.5L ハイブリッド(HEV)
エンジン:直列4気筒ガソリンエンジン+電気モーター
排気量:2487cc
システム最高出力:243PS

・2.5L プラグインハイブリッド(PHEV)
エンジン:直列4気筒ガソリンエンジン+電気モーター
排気量:2487cc
システム最高出力: 306PS

ハリアー:扱いやすさとバランスを重視

トヨタ・ハリアー

ハリアーのパワートレインは、2.0Lガソリンエンジンと2.5Lハイブリッド(HEV)とPHEVがラインアップされている。2.0Lガソリンエンジンは、最高出力171psのシンプルで扱いやすい仕様であり、軽快な走りと経済性を両立する。一方、2.5Lハイブリッドは、電動モーターとエンジンの組み合わせにより、高い燃費性能とスムーズな加速を実現。E-Four(電動4WD)モデルも設定されており、安定した走行性能を提供する。さらに、システム最高出力306psのプラグインハイブリッド(PHEV)モデルが加わり、一定距離をEV走行できる利便性と、ハイブリッドならではの長距離巡航能力を両立している。

・2.0L ガソリン
エンジン:直列4気筒ガソリンエンジン
排気量:1986cc
最高出力:171PS

・2.5L ハイブリッド(HEV)
エンジン:直列4気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量:2487cc
システム最高出力:222PS

・2.5L プラグインハイブリッド(PHEV)
エンジン:直列4気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量:2487cc
システム最高出力:306PS

クラウンエステートとハリアー、どちらを選ぶべきか?

新型クラウン エステート

クラウンエステートとハリアーのどちらを選ぶべきかは、ユーザーのライフスタイルや求める価値によって大きく異なる。クラウンエステートは、上質なドライブ体験と長距離移動に適した快適性、そして先進的なハイブリッド技術を求めるユーザーに最適だ。一方で、ハリアーは、洗練されたデザインとスポーティな動力性能、SUVらしい実用性をバランスよく備えており、幅広いシーンで活躍する万能な一台と言える。

どちらのモデルもトヨタが誇る完成度の高いプレミアムモデルであり、それぞれ異なる魅力を持つ。高級感と走行性能を重視するならクラウンエステート、SUVらしさとスポーティな走りを求めるならハリアーが適しているだろう。ユーザーがどのようなカーライフを求めるのかを考え、それに合った一台を選ぶことで、より満足度の高いカーライフを実現できるはずだ。

クラウンエステートのラゲッジ容量は、リアシート使用時で約570Lを確保。後席を倒すと、1,300L以上の大容量スペースが広がる。

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