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新型セレナは1991年に登場以来、トヨタのノア/ヴォクシーと販売トップを争う人気のミドルクラスミニバンだ。2022年は1月にノア/ヴォクシー、5月にステップワゴンがフルモデルチェンジするなど、ミドルクラスミニバンの発表ラッシュ年であり、11月発表のセレナで、主力ミニバンがすべて新世代に生まれ変わったことになる。さっそくモデルチェンジの内容を見ていこう。
発電専用新開発1.4Lエンジンを搭載した第2世代「e-POWER」
新開発の1.4L e-POWER専用エンジンを組み合わせた第2世代「e-POWER」の搭載によってエンジンの作動音を抑制するとともに、よりパワフルで気持ちの良い加速性能を実現。さらに、車両状態や走行環境に加え、ナビと連携しながらエンジン作動タイミングを制御する世界初のエネルギーマネジメント技術の搭載で、エンジンの作動頻度を低減し、高い静粛性に貢献する。また、遮音性能を大幅に高め、後部座席の乗員とも会話のしやすい静かさを実現している。
高度先進運転支援技術「プロパイロット2.0」をミニバンで世界初搭載
先代モデルでも好評の「プロパイロット」は全車に標準装備。また、「プロパイロット2.0」を、最上位グレード「e-POWER LUXION(ルキシオン)」に標準装備する。これは、最初にスカイラインに搭載、現在はアリアだけに採用されているプロパイロットの進化版で、一部ハンズオフドライブも可能になるなど、長距離運転におけるドライバーの負担を軽減する。
前方障害物を回避する際、ドライバーのステアリング操作を支援する「衝突回避ステアリングアシスト」や、一度駐車した場所を駐車枠として記録することが出来る、メモリー機能付きの「プロパイロット パーキング」も日産として初搭載。記録した駐車位置に近づくと、ボタン一つでステアリング、アクセル、ブレーキ、シフトチェンジ、パーキングブレーキのすべてを自動で制御する。
「e-POWER LUXION」には、リモコン操作で車の出し入れが可能となる「プロパイロット リモート パーキング」を搭載。狭いスペースでの乗り降りや荷物の出し入れをスムーズに行なうことが可能だ。
先進性をアピールするエクステリアデザイン
エクステリアは、先代に比べ、よりシャープになった印象。上質でモダンな要素を取り入れている。「e-POWER LUXION」と、ハイウェイスターは、ダイナミックで力強い走りを想起させるデザインとして差別化。すべてのランプはLED化された。
インテリアも、ラウンディッシュな印象だった先代から一新。シャープなラインとシンプルな面構成で、先進かつ上質な雰囲気に仕上げられている。シフトには日産として初めてスイッチタイプの電制シフトを採用。スッキリとした見た目と分かりやすい操作性に寄与している。ボディカラーは、2トーン4色、モノトーン10色の全14色をラインアップ。
ガソリン車も静かな印象。e-POWERはより電動強化で余裕の走り
テストコース内、まずは2.0Lのノンe-POWERのガソリン車でコースインする。 先代セレナは、e-POWERでないグレードにも「S-ハイブリッド」と呼ばれるマイルドハイブリッド車が用意されていたが、e-POWERの人気や普及に伴いという理由か、新型の2.0Lには電動アシストは付かない。直4 2.0Lユニットは自然吸気で150ps、200Nmのスペックだから、特筆するようなスペックとは言えないだろう。
とはいえ、平坦なコースの一人乗車であれば、特段パワー不足を感じることもない。さらに、良い意味で意外だったのは、静粛性だ。電動アシスト車に慣れると、エンジンのみのクルマでは、うるさく感じることもあるし、ある程度それはやむを得ないこと。ところが、それを感じなかった。車体の静粛性対策が効いていると思われる。
続いて本命のe-POWERに試乗した。ガソリン車も同様だが、セレナはまず、足回りがソフトな印象。操安のためにミニバンでもやや固めに味付けする車種も見られるが、セレナはロールも深めでミニバンらしい乗り味だ。
肝心のパワートレーンe-POWERはノート以降、第二世代とも謳われ、発電用エンジンが無闇に掛からない。掛かるとしても気にならないタイミングで掛かるなど、熟成がかなり進んでいる。ガソリン車から乗り換えればもちろん、静かかつトルクフルな加速感で、同じ踏み具合であれば、明らかに出ている速度が違う。
発電用エンジンが新開発の1.4Lに置き替わったほか、モーターもパワーアップしており、例えば勾配のキツい登り坂を走り続けた際にバッテリーが不足気味になり、発電用エンジンが頻繁に始動、という場面も先代に比べかなり改善しているのではないか。最大8名乗車と負荷の大きいクルマだけに、このあたりは公道に出た際に試してみたいと感じられた。プロパイロット2.0の採用も含め、新型セレナは公道で、さらにはツーリングに出てこそ真価を発揮できる一台だろうから、なおさらである。
3列目の格納は従来通りの左右跳ね上げ式。同様の方式を採るノア/ヴォクシーがかなり簡単軽量かつコンパクトに収納できるようになったことを考えると、操作手順の面でも格納時のスペース効率の面でもやや見劣りする。一方、セレナだけのガラスハッチは健在。開口部が広がり、ガラスハッチを開けただけでも、フロアボードの開閉が出来るようになった。
日産 セレナ e-POWER LUXION 全長×全幅×全高 4765mm×1715mm×1885mm ホイールベース 2870mm 最小回転半径 5.7m 車両重量 1850kg 駆動方式 前輪駆動 サスペンション F:ストラット R:トーションビーム タイヤ 205/65R16 発電用エンジン種類 水冷直列3気筒DOHC 発電用エンジン型式 HR14DDe 総排気量 1433cc 圧縮比 13.0 最高出力 72kW(98ps)/5600rpm 最大トルク 123Nm(12.5kgm)/5600rpm モーター種類 交流同期電動機 モーター型式 EM57 最高出力 120kW(163ps) 最大トルク 315Nm(32.1kgm) 燃費消費率(WLTC) 18.4km/l 価格 4,798,200円