e:HEVの快適な走りは格別 使い勝手良好な最新装備満載

取り回しに優れる手頃なサイズながら室内や荷室は広く、走り味も軽快で低燃費……といったベストセラーSUVとして人気を博した初代。二代目はそうした要素を受け継いでいながらも、目にした印象はずいぶん変わった。

エクステリア

リヤのドアハンドルをウインドウ後端に内蔵するなど、スタイリッシュなクーペフォルムを実現。「e:HEV Z」と「e:HEV PLaY」は18インチアルミホイールを標準装備する。最小回転半径は5.5m。

柔らかな面で構成され、細部まで丁寧に造形されたボディパネルが、より流麗なクーペスタイルを見せている。インテリアの質感は初代もなかなかのものだったが、二代目はもはやこのクラスの常識を打ち破るほど洗練されている。視界も良好で、ダッシュボードが低く、フロントピラー付け根の死角も小さく抑えられている。

左側のドアミラー下に付くホンダ独自のサポートミラーも重宝する。インパネには必要なものだけ少数の物理スイッチを配して見た目をすっきりとさせながらも、エアコンの操作はダイヤルとされたことで、直感的に操作できる。両サイドには風が直接的に顔に当たらないようにできる独自の吹き出し口を設ける配慮もある。

乗降性

前後ともドアが大きく開き、乗降性にも優れる。クーペライクなフォルムに加えてリヤドアのノブがサッシュに隠されているので前席重視のパッケージかと思えばそうでもなく、後席の居住性も十分に確保されており、足元も膝前も相当に広い。座面がチップアップできるシートながらつくりもしっかりとしている。

インストルメントパネル

独自のセンタータンクレイアウトにより荷室のフロアが低くフラットなおかげで使い勝手もバツグン。広さには定評のあった初代と比べると奥行きがやや小さくなったものの、容量としては十分。このクラスではまだ少ない電動テールゲートが設定されたのも歓迎だ。走りについても、良い点もあった半面、乗り心地やハイブリッドの制御など何かと指摘されることの多かった初代から格段に進化した。

スムーズで効率の良い最新のe:HEVの走りは、初代のi-DCDとは別物。エンジンは発電が主体でモーター走行する比率が高く、静かで滑らかな上に燃費も良い。エンジンの排気量はフィットと同じ1.5lながら、ひとつ格上のシステムが与えられているおかげで動力性能の印象もだいぶ違って、物足りなさをそれほど感じることもない。

居住性

足まわりの印象も、路面への感度が高く突き上げが気になった初代とは異なり、姿勢変化を抑えるべく適度に引き締まっていながらもストローク感がある味つけとなっている。やや硬さを感じるFFよりも4WDの方がしなやかで乗り心地は快適だ。FFと4WDでは当たり前ながら条件が厳しくなるほど走りに差が出てくる。

滑りやすい路面はもちろん、乾燥した舗装路を攻めると、4WDの方が操舵フィールが良く、小さな舵角でコーナリングでき、コントロール性にも優れることをテストコースで確認済み。駆動方式による走りの〝質〞の違いは確かにある。

うれしい装備

「e:HEV Z」と「e:HEV PL aY」にはハンズフリーアクセスパワーテールゲートを標準装備。荷物で手が塞がっていても、スマートキーを携帯していれば足の操作でテールゲートを開けることができる。
Honda CONNECT 搭載車はスマホがキー代わりとなってドアロックを解除できるほか、エンジンの始動やエアコンのリモート操作にも対応。盗難などの異常を検知するとスマホに通知してくれる機能も。
月間登録台数    4370台(21年11月〜22年4月平均値)
現行型発表     21年4月
WLTCモード燃費   25.0 km/l ※「e:HEV X」のFF車

ラゲッジルーム

初代がモデル末期まで好調な売れ行きを見せたことを思うと、二代目は販売的には諸事情の影響を大きく受けて本来の実力が発揮できていなように見受けられるが、世の中が正常化したときには再びベストセラーSUVの座に返り咲くに違いない。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.142「2022-2023 コンパクトカーのすべて」の再構成です。

http://motorfan-newmodel.com/integration/142/