今回、北米で世界初公開された新型WRXは、日本ではWRX S4にあたるモデルだ。日本仕様の発表は先のようだが、今回は北米仕様の新型WRXの概要をお届けする。
5代目となる新型WRXの心臓部として選ばれたのは、2.4L水平対向4気筒直噴ターボだ。ターボチャージャーには電子制御式のウエストゲートバルブが備わり、最高出力は275ps、最大トルクは350Nmを発揮する。
組み合わされるトランスミッションは6速MTと8速マニュアルモード付きのCVTとなる。後者は「スバルパフォーマンストランスミッション」と呼ばれ、スポーツ変速制御を採用。シフトアップ(2→3速)が最大30%、シフトダウン(3→2速)が最大50%高速化された。また、ブレーキング時に素早く反応して回転数に合わせたシフトダウンを行い、、コーナー出口で素早く反応するアダプティブシフトコントロールが搭載されている。
駆動方式はもちろんAWD。6速MT車はビスカスLSD付きセンターデフ方式AWD、CVT車はVTD-AWD(不等&可変トルク配分電子制御AWD)を採用する。
WRXとしては初となるスバルグローバルプラットフォーム(SGP)の採用も新型のトピックだ。フルインナーフレーム構造や構造用接着剤との組み合わせにより、全体のねじり剛性を28%、サスペンションの取り付け部の剛性を75%向上させている。それに伴い、サスペンションのジオメトリも最適化され、先代より実用ストロークを伸ばすことで接地性や安定感が高められた。
上級グレードにはドライブモードセレクトが備わる。これはパワーユニットからステアリング、ダンパー、エアコンまでを統合性し、ドライバーの好みに応じて可変することができる、すでにレヴォーグSTI Sportでおなじみのもの。ドライブモードセレクト車のダンパーは電子制御式となる。
さて、そんなメカニズムを包み込むスタイリングはというと、フロント周りはレヴォーグとの共通性が強く感じられるもの。バンパーはより開口部が強調されたWRXらしいデザインだ。
新型WRXで注目したいのはフェンダーまわりのガーニッシュで、歴代のWRXでは見られなかった造形である。なおフロントフェンダーはアルミ製で、ガーニッシュ後端にはエアアウトレットも設けられている。
4ドアセダンの新型WRXは、リヤ周りもスタイリッシュ。トランクリッドには薄型のスポイラーがアドオンされるのは先代同様だが、リヤコンビランプは新型BRZにも似た三角形で、エアアウトレットが設けられたリヤディフューザーも新鮮な印象だ。
インパネは、基本的にはレヴォーグと同様。CVT車には新世代アイサイトも搭載される。また一部グレードにはレカロ社と共同開発したホールド性の高い、新設計・新デザインのレカロシートが備わる。
室内は先代よりもホイールベースが拡大されたおかげで、後席の足元空間が広くなっている。また、前後席それぞれのショルダールームも拡大されるなど、居住性の向上が図られた。
新型WRXは、2022年に北米で開始される予定だ。日本仕様の発表も楽しみに待ちたい。
新型WRX(北米仕様車)・18インチアルミホイール車の主要諸元(開発目標値)
全長×全幅×全高:4669×1826×1468mm(183.8×71.9×57.8インチ)
ホイールベース:2667mm(105.2インチ)
エンジン種類:2.4L水平対向4気筒直噴ターボ
最高出力:274.8ps(271hp)/5600rpm
最大トルク:350Nm(258lb.-ft)/2000〜5200rpm
トランスミッション:6MT/CVT(スバルパフォーマンストランスミッション)
AWD機構:ビスカスLSD付きセンターデファレンシャル方式AWD[6MT]/VTD-AWD(不等&可変トルク配分電子制御AWD)[CVT]
サスペンション形式:Fマクファーソンストラット・Rダブルウイッシュボーン
タイヤサイズ:245/40R18