フリード+に27インチ級ロードバイクは積みやすいのか?【スポーツ自転車積載チャレンジ:第7回 ホンダ・フリード編】

自転車好きジャーナリストの安藤眞が、さまざまなクルマにあの手この手で「愛車」を載せて積載性をチェックする「スポーツ自転車積載チャレンジ!」 第7回目は、前回のシエンタに続いて人気のコンパクトミニバン「フリード」を取り上げる。ボディサイズがほぼ同じ両者で積載性に違いはあるのか? 全国の自転車愛好家の皆さん、ぜひ参考にしてください。
REPORT:安藤 眞(ANDO Makoto) PHOTO:中野幸次(Nakano Koji)

ホンダ・フリード HYBRID CROSSTAR(FF) 

全長4295mm 全幅1695mm 全高1710mm 車両価格2,919,400円

現行フリードは16年9月の登場だから、今年でデビュー7年目に入るが今でも人気が衰えることなく売れ続けている。コンパクトボディながら広い室内空間を持つことが人気の要因だが、特にフリード+は単に2列シート5人乗りとするだけでなく、車中泊もやりやすい完全フラットフロア化を実現するなど、ユーザーに寄り添う機能性が評価されている。

超低フロアが自転車積載には非常に便利!

フリードの3列シート車は、サードシートの折りたたみが左右跳ね上げ式なので、自転車を積むなら2列5人乗りのフリード+(プラス)のほうが向いていそう。でもフリード+は、車中泊がしやすいよう、折りたたんだ2列目席とラゲッジフロアがフラットになるボードを付けており、ボードから天井までの高さは端のほうだと900mm前後。

僕のバイクはサドルが収まりそうにない。後席折りたたみ時のラゲッジ前後長は1900mmぐらいあるから、長手方向は問題ないにせよ、サドルを下げるより前輪を外すほうが簡単だから、前輪を外して載せてみることにした。

折りたたんだ背もたれの裏は平らなので、フロントフォークエンドサポートの安定感は高い。伸縮性のないストラップを、背もたれやヘッドレストのステーに回し、ハンドルまわりをタイダウンすれば、固定もしっかりできそうだ。

前輪を外しても、僕のバイクはサドル高が965mmあるから、ラゲッジボードが付いていたら載りそうもない。そこで、ボードは取り外す。前輪を外せばハンドル高さは750mmぐらいになるから、フロントフォークにサポートを付けても高さ方向には余裕がある。床が平らだから、フォークエンドサポートも安定する。でも、なんか当たり前すぎて、面白みはない。面白い必要はないんだけど。

別のパターンはないかなと考えて、ハンドルから天井までの余裕がけっこうあることに気づいた。ひょっとして、前輪を付けたままでも載るのでは? と思って試してみたら、これがバッチリ。空間的に載るだけでなく、後席のアシストグリップにブレーキレバーを突っ込んだら、固定までできた。後輪は壁に寄り掛からせることができるし、ルーフサイドとラゲッジフロアのロープフックを使えば、車体後半部の固定もしっかりできる。

フリード+の後席は、クッションを前に跳ね上げてから背もたれを前に倒すダブルフォールディング方式。倒した背もたれはけっこう高いので、前輪がついていては載らないかと思ったら、少しの余裕を残して入ってしまった。
僕のバイクのサイズだと、ブレーキレバーが後席アシストグリップにスッポリ入る。写真はバンジーコードで留めているが、伸縮性のないストラップで締めたほうがいいだろう。サイズの小さいフレームの場合、タイヤの下の何か挟めば調整できる。アシストグリップ間に渡すバーも売られているので、そこから吊り下げるという手もありそうだ。

ラゲッジフロアと折りたたんだ後席の間に大きな段差が付くから、自転車積載の適性はあまり高くないかと予想したけれど、これは良い方向に裏切られた。何より開口部の地上高が335mmと低いから、積み込み作業は抜群にやりやすい。

フリードは23年にフルモデルチェンジが行われると予想されているが、フリード+は無くして欲しくないし、ラゲッジ周りの使い勝手も、ぜひ現状を守ってほしいと切に願う!

後輪は壁に立てかけられる。ルーフサイドと床のロープフックを使って壁側に引けば、倒れ方向の固定は完了。簡単かつ安定感も良い。
ルーフサイドのロープフック。自転車の固定だけでなく、ハンガーでウェア類をかけるなど、いろいろ便利に使えそう。
 

積載自転車の寸法図

■第1形態 完成車状態 長さ1680mm 高さ1000mm 幅445mm

車載時に最大のネックとなるのが、サドルの高さ。全長はフレームサイズが変わってもそれほど大きく変化しないのがロードバイクの特徴。身長150cmぐらいのライダーのサイズでも、短くなるのは40mm程度だ。

■第2形態 前輪を外してホルダーに固定 長さ1510mm 高さ965mm 幅445mm

前輪を外せば全長は170mm短くなるが、サドルの高さは35mmしか低くならない。サドルを外せば高さは760mmまで下がるのだが、ロードはミリ単位でセッティングを出すし、真直度を合わせるのも面倒なので、サドルはなるべく触りたくない。

■第3形態 前後輪を外し、後輪はリヤエンドサポートで保持 長さ1230mm 高さ880mm 幅445mm

前後輪を外せば全長は450mm短くなるが、高さを下げるのは前ギヤ(46t)が限界を決めるので、120mmしか低くならない。サドルを外すとハンドルステムがいちばん高くなり、710mmとなるため、車載可能なモデルは増えそう。

■第4形態 前後輪外して倒立 長さ1115mm 高さ870mm 幅445mm

このサイズなら、セダンのリヤシートにも積めてしまう。大きめのセダンなら、トランクにも入れることができるだろう。実際、僕の仲間は、ランエボやアテンザ、フィアット500にこうして積んでやってくる。自転車乗りは、運転が楽しいクルマ好きが多いのだ。

著者と自転車のプロフィール

メカニズムを得意とするジャーナリストの安藤 眞氏は、40年以上も自転車を趣味とし、カングーに愛車を積んでサイクリングを楽しんでいる。身長181cm。フレームを購入して自分で組み上げた写真のロードバイクはサドル高が1mあるから、この自転車が載るクルマなら、アナタの自転車も積載できる可能性が高いはず。


ブリヂストンサイクルのNEO-COTというフレームを購入して、自分で組み上げた。92年発売のスチール製(CrMo鋼)だが、当時としては画期的なもので、ハイドロフォーミング製法で接合部の形状が最適化されている。それを見た僕は「スチールフレームの最高到達点」と直感して即購入。部品を交換しながら30年間、乗り続けている。その後、アルミフレームやカーボンフレームに押され、2021年を最後に絶版となってしまった。ホイール径は700C。


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著者プロフィール

安藤 眞 近影

安藤 眞

大学卒業後、国産自動車メーカーのシャシー設計部門に勤務。英国スポーツカーメーカーとの共同プロジェク…