威風堂々としたフェイスに進化した王道ミニバン! 三代目「トヨタ・ノア」【最新ミニバン 車種別解説 TOYOTA NOAH】

20年のトヨタの全車種併売化の際に、ノア三兄弟はその位置付けが整理され、シリーズで唯一、エアロ系と標準系を踏襲した「ノア」。これまで以上にインパクトのあるフロントフェイスが与えられ、拡大した室内空間も相まって、注目度はさらに高まっている。誰もが使いやすく、乗り降りしやすい配慮が行き届き、先進運転機能も充実。ハイブリッド車にはスマホで駐車/出庫ができるリモート機能が採用された。
REPORT:岡本幸一郎(本文)/工藤貴宏(写真解説) PHOTO:神村 聖 MODEL:花乃衣美憂

標準系とエアロ系ふたつの顔 7人乗り車内は豪華装備満載

キープコンセプトには違いないが、現行型では大掛かりなテコ入れがあった。整理してお伝えすると、まず2020年5月の全車種併売化を受けて、三兄弟の位置づけが整理され、ノアはエアロ系と標準系を維持したのに対し、ヴォクシーはエアロ系のみ、エスクァイアは廃止となった。販売台数は歴代ずっとヴォクシーの方が圧倒的に多かったが、これより月販基準台数もノアがヴォクシーの1.5倍とされた。ただし、生産の都合もあってか拮抗しているのが実情で、逆転した月もある。

エクステリア

兄弟車のヴォクシーに対してノアはデザインがシンプル。リヤフェンダーの立体感が増したのも新型の特徴だ。
新型の大きなトピックが、標準車(非エアロ仕様のグレード「X」「G」「Z」)も含めて全車が全幅1.7mを超えて3ナンバーボディ化したことだ。従来はエアロ仕様のみが3ナンバーとなっていたが、新型は全車とも同じ全長と全幅でつくられている。標準車とエアロ仕様の大きな違いはフロントのデザインで、撮影車両はエアロ仕様。標準車はもっと大人しい。

「先鋭・独創」をキーワードとするヴォクシーに対し、ノアは「堂々・モダン・上質」と「王道・アグレッシブ」とより明確に棲み分けがなされ、これまでにも増してインパクトのある顔面が与えられた。車体にはトヨタの最新モデルらしくTNGAの要素を取り入れたGA-Cプラットフォームを採用しており、全車3ナンバーとなった。

乗降性

ボディ骨格の最適化により左右のCピラー間距離が従来型比で75㎜も拡大した室内空間は、1400㎜を超える室内高と相まって、開放的で広々としており、インテリア各部の質感や使い勝手も申し分ない。FFの7人乗りの2列目のキャプテンシートにはクラス初となるオットマン機構とシートヒーターを採用しているほか、特徴のひとつである超ロングスライド機構も横にスライドしなくても前後にスライドできるように進化している。

インストルメントパネル

「G」以上に装備するディスプレイオーディオは8インチ画面で、新車購入から5年間は通信型ナビも無料で利用できる。すなわちカーナビをオプションで装着する必要がない。

後席の乗降性についても、アシストグリップを延長したり、パワースライドドアと連動して200㎜の高さで展開/格納されるステップを設定するなど、子どもから高齢者まで、どんな人でも乗り降りしやすいよう配慮されている。3列目シートはワンタッチで跳ね上げることが可能で、シート自体が薄くて軽いながらも座り心地は十分に確保されている。荷室の床下には104ℓもの容量の収納スペースが確保されているので、常時積んでおきたいものを収めたり、天地高のある大きな荷物を積みたいときにも重宝しそうだ。

居住性

バックドアに任意の角度で保持できる機構を備えているほか、パワーバックドア装着車ではスイッチがドアではなく車体両側の後端に設置されてより使いやすくなっている。パワートレインが1.8ℓのハイブリッドと2.0ℓのガソリン車の2種類である点はこれまでどおりだが、ハイブリッドは新世代に進化し、待望の「E-Four」も設定された。このところ登場しているトヨタの一連のシリーズパラレルハイブリッド車と同様、かつて見受けられたエンジン回転が先行して上昇し加速が遅れてついてくる感覚が払拭されていて、リニアに力強く加速してくれる。

車幅拡大で全車3ナンバーボディになったMクラス王者「トヨタ・ヴォクシー」【最新ミニバン 車種別解説 TOYOTA VOXY】

22年に、プラットフォームを含めたフルモデルチェンジを実施、兄弟車「ノア」よりもアクティブなエクステリアを得た「トヨタ・ヴォクシー」。エアロ系の上級グレードのみのラインナップだけあって、使い勝手もアップグレードされている。先進運転支援システムと大幅な進化は、Mクラスミニバン王座の座を確固たるものにしている。 REPORT:佐野弘宗(本文)/山本晋也(写真解説) PHOTO:神村 聖 MODEL:佐々木萌香

うれしい装備

電動テールゲートは「Z」と「S-Z」にオプション設定。開いたテールゲートの後方への張り出しが大きいので、その対応として任意の位置でストップできる。またスイッチは車両後方ではなく脇に用意。
月間登録台数         2560台(22年5月~22年10月平均値)
現行型発表          22年1月
WLTCモード燃費        23.4 ㎞/ℓ※「HYBRID X」(FF)

ラゲッジルーム

足まわりはほどよく引き締まっていて、見た目のイメージよりも重心が高そうな感覚も小さく、いたって軽快な乗り味に仕上がっている。駆動力の強化された「E-Four」はハンドリングにも寄与している。先進運転支援装備も非常に充実していて、一定条件下でのハンズオフを可能とした「アドバンスドドライブ」や、ハイブリッド車にスマートフォンで駐車および出庫できるリモート機能が採用されたことにも注目だ。

クリーンで新鮮なスタイリングと最上級のホスピタリティ「ホンダ・ステップワゴン」【最新ミニバン 車種別解説】

22年5月のフルモデルチェンジで全ラインナップが3ナンバーになった「ホンダ・ステップワゴン」。 運転席からノーズ先端位置が把握しやすいボンネット形状やドアミラー下部にサイドアンダーミラーを装備するなど、ワイド化しながらも随所に配慮が施されている。力強い走りと先進安全装備もさらに進化し、乗員全員の安心感と快適性を向上させている。 REPORT:安藤 眞(本文)/山本晋也(写真解説) PHOTO:神村 聖 MODEL:佐々木萌香

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.146「2023 ミニバンのすべて」の再構成です。

http://motorfan-newmodel.com/integration/146/

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