クリーンで新鮮なスタイリングと最上級のホスピタリティ「ホンダ・ステップワゴン」【最新ミニバン 車種別解説】

22年5月のフルモデルチェンジで全ラインナップが3ナンバーになった「ホンダ・ステップワゴン」。 運転席からノーズ先端位置が把握しやすいボンネット形状やドアミラー下部にサイドアンダーミラーを装備するなど、ワイド化しながらも随所に配慮が施されている。力強い走りと先進安全装備もさらに進化し、乗員全員の安心感と快適性を向上させている。
REPORT:安藤 眞(本文)/山本晋也(写真解説) PHOTO:神村 聖 MODEL:佐々木萌香

3列目席の快適性が向上 低回転で実用的な二つのパワーユニット

2022年5月にフルモデルチェンジしたステップワゴン。先代まではドライバーコンシャスな印象が強かったが、新型はすべての乗員の快適性や安心感を向上させている。

エクステリア

「AIR」と「SPADA 」の16インチアルミホイールは同形状で、塗装色で差別化をする。プレミアムラインのFF車は専用デザインの17インチホイールとなる。
スタイリングのイメージは初期のステップワゴンだが、ボディは余裕の3ナンバーサイズに成長している。リヤゲートも長く、全開にする際には周辺に気をつけたい。とはいえ運転席からノーズ先端位置が把握しやすいボンネット形状であったり、ドアミラー下部にサイドアンダーミラーを装備したりするなど、取り回しにネガを感じさせないような工夫が随所に見られる。

ボディは全幅を1750㎜まで拡大。サイド面に張りを持たせてドアの厚みを表現し、視覚的な安心感を高めた。全体に角張ったデザインになったのは、運転席からボンネットが見えるようにし、狭い道でも安心して運転できるようにするためだ。2種類のデザインを用意するのは従来と同じだが、新型は標準モデルに「エア」というサブネームを付与。プレミアムグレードの「スパーダ」は従来通りに設定されるが、見た目の押し出し感は先代よりも控えめになり、落ち着いた表情になった。

乗降性

グレード展開はシンプルになり、それぞれグレード名の付かない素のモデルと、スパーダに「プレミアムライン」が用意されるだけ。「スパーダ」は見た目だけでなく、パワーテールゲートやシートヒーター、パドルシフトなど装備も充実している。室内の広さは従来型と変わっておらず、3列目席も大人が快適に着座できるくらい広い。旧型に対しては、座面の高さを20㎜高くして膝のもち上がりを抑えたのに加え、クッションの厚さや背もたれの高さも大きくし、快適性を高めている。

インストルメントパネル

未来的だが、直感的に操作できるコクピットだ。10.2インチ液晶のデジタルメーターは2眼表示とバー表示を切り替えられる。カップホルダーはスライド格納タイプとなる。

3列目席がラゲッジルームの床下に格納できるのは、他社にはない特徴。左右跳ね上げ式の他社は、折り畳んだ際にリヤクォーターウインドウが隠れてしまい、室内側にもせり出すため、背の高い荷物を積む際に邪魔になることがあるが、ステップワゴンはそうした心配がない。

居住性

パワートレインは1.5ℓのガソリンターボと、2.0ℓハイブリッドの2種類を用意。同クラスで1.5ℓはステップワゴンが唯一で、2.0ℓのライバルより自動車税が年間5000円、安く済む。「でもこの大きさで1.5ℓではパワー不足では?」という心配は無用。ターボのおかげで最大トルクは203Nmと、他社の2.0ℓと変わらない。それどころか発生回転数は半分以下の1600rpmなので、実用域ではむしろ力強く感じる。ハイブリッド仕様はモーターのトルクが315Nmと強力。しかも応答遅れがほとんどゼロでこの力が引き出せるから、高速道路の合流や追い越し時の安心感は抜群だ。

うれしい装備

3列目を片側だけ床下収納にして、もう一方をフラットにすると簡易的なテーブルとして利用できる。景色のいいところでワーケーションをするも良し、レジャーシーンでテーブルに利用するも良しだ。
月間登録台数         3598台(22年5月~22年10月平均値)
現行型発表          22年5月
WLTCモード燃費        20.0 ㎞/ℓ※「e:HEV AIR」

ラゲッジルーム

モーター走行中に静かなのは当たり前だが、エンジン発電がはじまっても静かなのが新型の特徴。「まったくわからない」とは言わないが、従来型ほど耳に付く音はしない。新型はクランクシャフトを強化して、ゴロゴロいう音を小さくしたからだ。加えて後席以降の吸遮音対策を充実させており、運転席と3列目でも、声を張り上げずに会話ができる。

操縦性能はマイルドになった。従来型はキビキビとしたハンドリングが持ち味だったが、ドライバーは良くても同乗者は振り回されがち。そこで新型はサスペンションをソフトにして過敏感を抑え、全員が快適になるようキャラクターチェンジを行なっている。と言っても、運転が退屈になったわけではなく、操作に対する応答はほぼ一定なため、荷重移動をコントロールする滑らかな運転は、むしろやりやすくなった。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.146「2023 ミニバンのすべて」の再構成です。

http://motorfan-newmodel.com/integration/146/

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