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個性的なスタイルを持ち先進装備も充実する
2021年、トヨタは電気自動車(EV)の発表会で、30年までに30車種を送り出すと明言した。その第一弾となったのが、スバルとの共同開発生産という形で翌年発売されたbZ4Xだ。車名のbZはbeyond Zero、つまりゼロエミッションの先を行くという意味が込められており、4は車格、XはSUVを示している。
エクステリア
ボディサイズは全長4690㎜、全幅1860㎜、全高1650㎜で、日産アリアやヒョンデ・アイオニック5、テスラ・モデルY、フォルクスワーゲンID.4などと同じクラスのSUVということになる。こうしたライバルの中でも、スタイリングは個性的だ。
最近のEVはシームレスなデザインが主流だが、bZ4Xは複雑な線や面を多用していて、スポーティな雰囲気を受ける。パッケージングも、EV専用プラットフォームを使いつつノーズが長く、前輪とキャビンの間が離れていて、エンジン車に近い。
乗降性
インテリアでまず目につくのは、デジタルメーターが奥に置かれ、ステアリングの上から見るスタイルであること。その後デビューした新型プリウスも同様のメーターであり、今後のトヨタの電動車はこのような眺めになっていくのかもしれない。
キャビンは前後ともフロアが高めで、運転席に座ると、背の低いセダンやハッチバックのように、足を前に伸ばした姿勢になる。後席も足を前に出すスタイルで座ることになるが、ホイールベースが2850㎜と長いので、身長170㎝の僕なら楽に足を組んで過ごすことができる。
インストルメントパネル
bZ4Xには1モーター2WD(前輪駆動)と2モーターAWD(四輪駆動)がある。最高出力は2WDが203.9㎰、AWDが109+109㎰で同等。満充電での航続距離も559/540㎞と大差はない。車両重量の差は90㎏だ。加減速は必要にして十分な力は得られるものの、反応はおっとりしていて、唐突感は一切ない。パドルなどで回生ブレーキのレベルを調節する機構はなく、DレンジとBレンジがあるだけ。プリウスをはじめとするハイブリッド車に近い。
居住性
乗り心地や静粛性も、エンジン車との大きな差はない。ハンドリングについても、フロントに積むのがエンジンより軽いモーターで、フロアにバッテリーを敷き詰めているので、重心や重量配分では有利であるはずだが、アドバンテージを明確にアピールはしていない。駆動方式による違いは、コーナーでの軽快感では2WD、安定感ではAWDが上回るものの、それを理由にして選択を決めるほどの差はなく、同じbZ4Xという車種の中でうまくまとまっているという印象だ。
うれしい装備
新規デビュー発表 22年4月12日 月間販売台数 130台(22年11月〜12月平均値) WLTCモード充電走行距離 559km/l ※該当グレード Z FWD
ラゲッジルーム
bZ4Xは税金や整備費用だけでなくバッテリー保証まで含めたKINTOのみでデリバリーする、リース専用車となっている。国内最大のディーラーネットワークを誇るトヨタ車であること、エンジン車に近い走りを備えているところなどと合わせて、どんな人でも違和感や不安感を抱かずカーライフを送れるEVを目指した感じがする。26年前に生まれた初代プリウスと比べると保守的な印象を受ける人がいるかもしれないが、周辺環境まで含めて考えれば、bZ4Xはトヨタらしさにあふれた1台と言える。
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.147「2023 国産新型車のすべて」の再構成です。