ヨタハチに見える?! 浮谷東次郎仕様を目指したヴィヴィオ! 【昭和平成なつかしオールドカー展示会】

旧車イベントに展示されているクルマはノーマル車ばかりでない。カスタムされた個体やチューニングマシンも会場で見受けられる。中には知らない人にとり意味不明なカスタムもあるけれど、訳を聞けば至極納得なケースもある。ヴィヴィオと浮谷東次郎の関係とは?
PHOTO&REPORT●増田 満(MASUDA Mitsuru)
1994年式スバル・ヴィヴィオGX-T。

クルマのイベント、特にオーナーが旧車を持ち寄るスタイルのものだと、ノーマル車ばかりでなくさまざまにカスタムされた個体も展示されている。それらの多くは目立ちたいために何らかの装備や仕様を変更してある場合が多いが、なかには見ただけで何を目指したのかわからないケースもある。たとえば今回紹介するスバル・ヴィヴィオが何を目的にストライプやゼッケンを追加してあるのか、知らない人にはまったく想像もできないことだろう。

ナンバーの数字はトヨタ・スポーツ800にあやかったもの。

4月9日に埼玉県の「道の駅かぞわたらせ」で開催された「昭和平成なつかしオールドカー展示会」に参加したクルマたちには、比較的新しい年式のモデル、いわゆるネオクラシックカーが半数近くを占めた。これは主催者による意図で、もっと古いクルマでエントリーしようと申請したものの、「もっと新しいクルマで」や「軽自動車で来て欲しい」とエントリー車を変更する依頼もあった。

主催者と長年付き合いのある方で、茨城県土浦市近辺のオーナーが集まるクラブ「バックヤードつくば」の会長、石川敦美さんもそんな一人。普段はクジラと呼ばれるクラウンHTや物販で参加されているが、今回は軽自動車で来るよう依頼されヴィヴィオで参加された。

筆者はかれこれ20年来お付き合いさせていただいていたが、石川さんのヴィヴィオを見たのは初めて。なぜヴィヴィオなのか質問すると、意外な答えが返ってきた。「このクルマを見たときに浮谷東次郎がレースに出場していたトヨタスポーツ800を思い出したんです」。と言われても意味がわからない人が多いだろう。そこで下記写真をご覧いただきたい。

お台場ヒストリーガレージに展示されていた浮谷東次郎仕様のスポーツ800。

写真は以前、お台場ヒストリーガレージに展示されていた浮谷東次郎仕様のレプリカ車を撮影したもの。浮谷はこのスタイルのスポーツ800で1964年に船橋サーキットで開催された「全日本自動車クラブ選手権」に出場。一度は接触により下位に沈むものの猛烈な追い上げを開始、実に全車をごぼう抜きにして優勝。このレースでの印象が強く同じカラーリングにするヨタハチオーナーが多かった。

ストライプやゼッケンはマグネットで脱着可能。
ルーフだけは塗装してある。
ボディサイドにはゼッケンと出走クラスが描かれている。

ただヴィヴィオを見てヨタハチ、しかも浮谷東次郎仕様にしようと思うのは多数派ではないだろう。石川さんはヴィヴィオを譲り受けないかと話を持ち込まれた時、このカラーリングとデタッチャブルトップであることを理由に「ヨタハチそっくり!」と感じられた。

そこで手に入れるならジョークのつもりでストライプやゼッケンを作り、東次郎仕様にしてみとうと思いつかれた。ただ塗装で再現すると元に戻せなくなるし費用もかかる。そこでマグネット式のプリントを思いつき、東次郎仕様のミニカーから採寸してゼッケンなどを製作したもらったのだ。

リヤウインドーは格納式。

実は撮影させていただく前、ゼッケンやストライプは貼られていなかった。なぜヴィヴィオなのか聞いたところで興味を抱き、無理を言ってマグネットを貼らせていただいた。だからこの姿を見られるのはある意味貴重なこと。普段はヴィヴィオでイベントに来られることもないし、まして東次郎仕様にされた姿を見る機会はほぼない。

室内はノーマルのまま。
エンジンや足回りの純正のままだ。
ヨタハチに見えるかどうかは見る人次第?

悪戯心を持ってクルマを趣味にされているようだが、実際の石川さんはノーマル主義で良い程度を保つための労力を惜しまない人。クジラ・クラウンのほかにもMG-RV8を新車から乗り、スバル360やフェアレディ2000など複数の旧車を所有されている。いずれも状態が良く大切にガレージで保管されつつ、いつでも乗ることができる状態にしてある。その印象が強かったから、なおさらヴィヴィオということに好奇心を抱いてしまった。

このヴィヴィオ自体も珍しいもので、富士重工業40周年記念で発売されたT-TOPの翌年に1000台限定で発売されたGX-Tというもの。T-TOPと同じデタッチャブルトップを備えるが、T-TOPを名乗らずGXに-Tを追加した車名を持つ。T-TOPには5速MTが存在したがGX-TはECVTのみの設定。実はクルマ自体が希少なのだった。

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著者プロフィール

増田満 近影

増田満

小学生時代にスーパーカーブームが巻き起こり後楽園球場へ足を運んだ世代。大学卒業後は自動車雑誌編集部…