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45度の斜面は体感としては“崖”です。
自動車の魅力を体験&体感できるイベント「モーターファンフェスタ2023」が4月23日(日)に富士スピードウェイで開催された。会場には新車試乗や自動車メーカーの出展ブースなど多彩なコンテンツで賑わっていたが、その中でも特に“体験&体感”をテーマにしていたのが三菱自動車のブースで展開されていた 「4WD登坂キット」の体験同乗。デリカD:5で最大斜度45°の急斜面に挑む様子は圧巻だ。
普段の生活において、45°の坂道を登ろうと思うドライバーは、まずいないだろう。
ただ、デリカはその45°の急斜面を登ることができる。登る必要はないかもしれないが、登れるということがデリカには必要であり、デリカが他のミニバンとは違う、唯一無二のオフロードマインドをもったミニバンだということを裏付ける一つの証左であるということは確かだ。
ちなみに、スキージャンプの札幌・大倉山ジャンプ台が最大斜度35度だという。一般の人が『45°くらいの坂』と聞いて想像するには、実際にはせいぜい15°〜20°くらいの坂なので、斜度45°は体感として直角に近い“崖”と感じるぐらいの急斜面だ。
オフロードで想定されるシチュエーションを再現した体験コース
今回、同乗走行を体験したコースは、45°登坂だけでなくオフロードで想定される様々なシチュエーションが再現された複合コースだ。
まずは、横斜め方向に20°傾いた障害物を横切るキャンバー走行にトライ。右側のタイヤが斜面に乗り上げた状態で進入していき、右前輪と左後輪が浮いている状態でストップ。そこからASC(アクティブスタビリティコントロール)により、浮いているタイヤの空転を抑えるを抑えることで接地タイヤに駆動力を伝え再スタートし、障害物をクリアしていく。
対角線状にタイヤが浮いた状態だとボディがよじれるように負荷が掛かり、通常のスライドトアだと開かなくなってしまうのだが、デリカD:5は高いボディ剛性を持っているため難なく開閉することができる。通常のミニバンであれば30°〜35°くらいの傾きが限界だが、デリカD:5は45°の傾斜でも耐えることができるといいう。
続いては、対角線状にローラーが設置された障害物。スリッパリーな路面で対角線スタックをした状態を再現する。ここでも空転している車輪にブレーキを掛けるASCでトラクションをコントロールし駆動力を確保する。ドライバーは特殊な運転操作をする必要はなく、徐々にアクセルを踏んでいけばスタック状態を脱出することができる。
次にゴツゴツした岩場のようなイメージの階段路面を走行する。タイヤと路面の接地面積は非常に小さいが強力なトルクで階段を軽々と登っていく。デリカD:5は通常のミニバンより大きなグランドクリアランスをもっているため、前後バンパーをヒットさせることなく進むことができる。サスペンションの動きが靭やかなので、乗っていても思ったよりゴツゴツした感じはなかった。
いよいよ、最大斜度45°の急坂登坂に挑戦。デリカD:5の低回転から最大トルク380Nmを発生させる2.2Lディーゼルエンジンの回転数は2000〜2500回転、アクセル開度は1/3程度で軽く踏み込めば急坂を登っていく。斜面の途中で一時停止して再スタートするのだか、ヒルスタートアシスト機能によってスムーズな坂道発進を披露した。斜度45°の最高到達点では、重力でシートに背中が押し付けられ、クルマが後ろにひっくり反ると感じるほど強烈な斜面だった。一般生活でこの急斜面をクルマで登ることはないだろう。
ミニバンというカテゴリーでありながらSUV要素を強くもつ、「オフロードも走れるミニバン」のデリカD:5は、見た目だけでなく走行性も骨太な本格派であり、三菱自動車のオフロードに対するこだわりを詰め込んだ「代わりになる商品がない」オンリーワンのクルマであるということは間違いないだろう。