迷走するBMW探しの旅……そこに現れた中古車“ブローカー”が持ってきたのは、ノーマークのオープンカーだった!【BMW Z4オーナーレポート vol.2】

BMWの直6にMTで乗る! モータージャーナリストの大音安弘氏はそんな夢を叶えるべく、中古車情報サイトを巡る……しかし、なかなか「これだ!」というクルマに巡り合うことができない。そんな時、店舗を持たない中古車ブローカーに紹介されたのBMWはZ4だった。はたして、アメリカ製の2シーターオープンはアリか? ナシか?

逃した魚は大きかった? なかなか見つからない理想のBMW

唐突に始まった私のBMW探しの旅だが、中古車探しの強力なアイテムといえば、中古車検索サイトだ。最近はスマホアプリまで用意されており、いつでもお目当ての車種を検索可能。しかも年式やグレード、距離など細かい指定することで、最良の一台を紹介してくれる。同時に、クルマ好きの暇つぶしアプリでもある(笑)。

しかし、高年式車ならまだしも、探すのは数が減る一方の低年式車である。簡単に希望の一台に出会えないのが、現実。E46系3シリーズのクーペとカブリオレを検索し続けても、あのグリーンの330Ciを超えるクルマには出会えず……。さて、どうしたものかと思案していると、中古車大好きのAさんが助け舟を出してくれ、とある中古車店の存在を教えてくれた。

長年の夢を叶え手に入れたBMW Z4は18年落ちの中古車だった……お手頃価格で直6エンジンを楽しむBMW選び【BMW Z4オーナーレポート vol.1】

モータージャーナリストの大音安弘氏が購入したBMW Z4は現行モデルではなく18年落ちの中古車。憧れの果てにたどり着いたこのクルマの魅力と、悲喜交々のZ4ライフを語る! まずは、いかにしてZ4購入という結果に至ったのか? 物語はそのはるか以前、若き日の大音氏のカーライフから始まる。

無店舗ブローカーが紹介してくれたのがモルディブブルーのZ4

その中古車店は大手中古車サイトには情報を出さず、自社のサイトのみで公開。さらに一人で会社を運営し、展示場もなしという、ちょっと一般人には手の出しにくい店。いや、店というより中古車ブローカーと言った方が良いだろう。
店主は、少し古めの輸入車を得意としているとのこと。そこの売り物として現れたのが、全くノーチェックだったBMW Z4だ。2004年式のスタンダードな2.2iで、車検残りが1年ちょっと。走行距離は2.7万kmと少なく、なんと100万円切りの98万円のプライスダグが掲げられていた。

2004年式BMW Z4 2.2i

簡単に紹介された装備を見ると、当時オプションだったシートヒーター、レザーシートとナビゲーションシステム、17インチアルミホイールなどが装備されているようだ。色もレアなモルディブブルー。オープンカーらしい華やかな色であることに興味を惹かれた。

BMW Z4という選択肢はアリか? ナシか?

その流れから、ようやく初代Z4について調べてみることに。そもそもZ4を候補としていなかったのは、2人乗りの点とアメリカ製だったから。2人乗りだと実用性は薄いし、荷物も積めない。何よりも北米向けのファッション色が強いモデルよりも、生粋のBMWが狙いたかったからだ。

BMW Z4の透視図。2シーターなのはもちろん、トランク以外にラゲッジスペースはほとんどない。画像は3.0i。

ともかく相場を把握するために、中古車検索サイトをチェック。なんと30万円弱から売り物がある。ただ、買っても良さそうな物件だと80万円前後となり、低走行車両で100万円前後。100万円以上のものは、後期型の低走行車が中心といった感じ。

2.5iに搭載されるM54B25(25 6S)型エンジン。192ps/25.0kgm。
3.0iに搭載されるM54B30(30 6S)型エンジン。231ps/30.6kgm。

驚くべきは、2.2i、2.5i、3.0iの値段差があまり感じられず、距離や程度による差の方が大きそうだったこと。
因みに、同じ3.0L車でもMロードスターは、さすがは「M」。別格扱いで高価だ。

後期型で追加されたZ4 Mロードスター。日本では2006年4月から販売された。
同じ後期型の3.0Lでは3.0iが589万円のところ、Mロードスターは829万円という新車価格であった。
MロードスターはE46型M3と同じS54B32(32 6S4)型エンジンを搭載。343ps/37.2kgmのハイスペックを誇る。

電動オープンは悩みの種? でも手動なら……

Z4の電動ソフトトップ。オープンカーの屋根の開け閉めの手間は悩みどころ。電動式は手軽に開け閉めできて便利だが、そのシステムには故障のリスクが潜んでいる。まして中古車ではなおさら……。

しかし、同時に現実も知ることになる。まずは電動ソフトトップの故障だ。
どうも初代Z4は、雨水の抜けが悪い部分があるらしく、それがソフトトップの駆動用モーターに侵入し、壊れてしまうようなのだ。“開かずのルーフ”なんて、怪談の開かずの扉並みに恐怖でしかない。もちろん、電動ソフトトップの修理費は決して安くない。

エアコン操作パネルの下、左から2つ目・3つ目の半楕円のスイッチが電動ソフトトップの開閉スイッチ。両橋の丸いスイッチは左右席のシートヒータースイッチで、3段階調整が可能。

しかし、発見したZ4は手動式とのこと。それならば、ソフトトップの故障に悩む必要はない。
実は以前、電動ソフトトップ付きのアルファロメオ・スパイダーを所有していたことがあるのだが、ソフトトップの作動機構が故障し、部品の手配に難儀。結果的には、部品の自主製作に至った経験もあったため、ちょっとナーバスになる問題だったのだ。また手動式ソフトトップのアルファロメオ・スパイダーも所有していた経験もあるため、手動式だからといってそこまで不便でないことも知っていた。

アルファ・スパイダー(前期型)

皆さんが中古オープンカーを購入する際には、便利な電動式ルーフが時の流れと共に悩みの種となる可能性があることも覚えていて欲しい。中古車では作動の有無はもちろんだが、もしもの故障の際の修理費についても調べておくのがベターだ。

なにはともあれ、想定外のZ4が愛車候補に相応しいかも含め、モルディブブルーのZ4を見に行ってみることにした……。

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著者プロフィール

大音安弘 近影

大音安弘

1980年生まれ、埼玉県出身。幼き頃からのクルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者へ。その後…