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内装質感や4WD機構が進化 運動性能や操縦安定性は特筆
2021年に登場した3代目アウトランダーは、日本仕様ではPHEV(プラグインハイブリッド)のみとされた。2代目では追加モデルだったPHEVは当初から先進的で評判が良く多くのファンを獲得したが、それがメインになったのだ。
エクステリア
16年からルノー/日産/三菱のアライアンスが締結されたことを受け、CMF-C/Dプラットフォームを採用したことで、車格は従来に比べて2段階ほど上がったといえる。同プラットフォームは3列シートの設定を見据えていなかったが、三菱の強い要望で変更が加えられ、アウトランダーはミニマムながらも3列目に2座を確保。従来のPHEVでも車両価格が輸入車SUVに近づいたことから質感の向上には力を入れていたが、新型では思い切って手を入れてインテリアなどは劇的と言っていいほどの進化を遂げた。
乗降性
エンジンは発電に徹して前後ツインモーターで駆動するシリーズハイブリッドを基本としながら、高速の低負荷領域の一部のみエンジン駆動、さらに大容量バッテリーによるプラグインとする構成は従来と同じ。バッテリー容量は従来の約1.5倍の20kWhでEV走行可能距離は83㎞。モーターも従来に比べてパワーアップしているが、重要なのは前後バランスに変わりはなく、リヤの方がやや上回ることだ。どの速度域でもどんな場面でも4WDの走破性をしっかりともたせるには、フロントと同等以上の出力がリヤに必要だというのは、スバル・ソルテラのエンジニアが言っていたのと同じ。スバルと三菱は日本が誇る4WDのスペシャリストなのだ。さらに、ランサー・エボリューション譲りでアウトランダーの特徴でもある四輪の駆動力・制動力を最適に制御するS-AWC(Super All Wheel Control)も進化した。
インストルメントパネル
走り始めるとサスペンションが意外なほどソフトタッチで望外に乗り心地が良いことにうれしくなる。新しいプラットフォームのクオリティが高く、すべての動きがスムーズだ。だとすると、コーナリング時には盛大にロールしてしまうのではないかと心配になるところだが、ステアリングを切り込めば、2t超の重量級ボディを意識させず、フラットな姿勢で抵抗感なくクルリと曲がっていく。それも、街なかの交差点を何気なく曲がっていくときでも、ワインディングロードを攻めて走るときでも同じような雰囲気で、ドライバーの意思どおりの動きをしてくれる。これぞS-AWCの威力であり、前後左右の駆動力/制動力を制御して理想的な運動性能を実現しているからである。新プラットフォームによる素性の良さが、制御の正確性に輪を掛けている。
居住性
だけでなく、ホールド性も両立したデザインとなっており、悪路でのドライビングも楽しめる。
ランサー・エボリューション譲りと聞けば、速く走るためのもので自分には必要ないと思う人もいるかもしれないが、その高い操縦安定性があるからこそ乗り心地を快適にできるので、恩恵は小さくないはずだ。静粛性が高まったのも新型の魅力。感覚的にはBEVに近く、エンジンの存在をほとんど感じさせない。
うれしい装備
月間販売台数 1199台(22年9月〜23年2月平均値) 現行型発表 21年10月(一部改良22年10月) WLTCモード燃費 16.6km/l 「M」
ラゲッジルーム
環境性能の高いPHEVである以前に、一台のSUVとして上質で類い稀な走りの性能をもっているのがアウトランダーなのだ。
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.149「2023-2024 国産&輸入SUVのすべて」の再構成です。