明確に進化を体感できる第二世代e-POWER「日産 ノート」【最新コンパクトカー 車種別解説 NISSAN NOTE】

2016年の先代から4年を経て大幅にグレードアップして登場した現行「日産ノート 」。看板ともいえるe-POWERの性能と工夫は大きく進化を遂げ、また技術のみならず快適性への配慮も随所に気づく。22年の仕様変更で追加された17色のボディカラーと、23年の整理されたグレード設定で、ユーザーの方向性を端的に示してくれるラインナップとなっている。
REPORT:安藤 眞(本文)/小林秀雄(写真解説) PHOTO:神村 聖 MODEL:菅原樹里亜

エンジンの稼働音隠しは妙技 加速性やプロパイロットも◎

「電気自動車(EV)の新しいカタチ」をキャッチコピーに2016年に登場したノートe-POWER。自動車工学的には〝シリーズ式ハイブリッド〞であり、初代が出た際には「電気自動車は言い過ぎじゃないの?」と思った。タイヤを駆動するのは電気モーターなので、ドライブフィールはEVに近いのだけれど、発電のためにエンジンが掛かれば、音が結構聞こえてきたからだ。

エクステリア

先進的なイメージを表現したディテールと塊感のあるフォルムを巧みに融合。2022年8月の仕様変更で内外装色の設定が一部変更され、個性的なボディカラーも多数ラインナップされた。写真の16インチアルミホイールはオプション。最小回転半径は4.9m。

ところが、20年にフルモデルチェンジした現行モデルに乗ったら「なるほどそう言ってもいいかも」と思える仕上がりになっていた。というのも、さまざまな工夫によってエンジンの稼働音を目立たなくしながら、電気駆動の良さを十分に引き出しているからだ。工夫のひとつが、エンジンの使い方。バッテリーの電力が減ってくると、エンジンを掛けて発電を開始するが、低速走行時にはエンジン回転数を抑え、40㎞/hを超えると、効率がいちばん良くなるエンジン回転数まで高めたり、路面が荒れていてロードノイズが大きくなるときに、エンジンを稼働させてエンジン音を隠すなどの制御を行なっている。

乗降性

吸音材や遮音材もふんだんに使用しており、エンジンが掛かっていると、一定の回転数で淡々と回っていることが多いから、どこか遠くでプロペラ飛行機が飛んでいるような音が聞こえるだけなのだ。タイヤを駆動するのは電気モーターだから、加速応答は抜群に良い。エンジン車だと、シフトダウンして回転数が上がってからでないと加速しないようなシーンでも、アクセルを踏むだけで当意即妙の加速が得られる。だからショッピングモールで立体駐車場のスロープを登るような場合もスムーズだ。

インストルメントパネル

メーカーオプションではあるが、中央の9インチワイドディスプレイおよびNissan Connectナビゲーションは機能が多彩。ボイスコマンド、HDMI 接続、Apple CarPlayなどに対応しており、セットオプションにアラウンドビューモニターやSOSコールも含まれる。

また、ドライブモードセレクタで〝SPORT〞か〝ECO〞を選択すると、アクセルオフで最大0.15Gの減速度までコントロールできる機能が作動。通常の市街地走行ならたいてい0.20G以下の減速度で走れるから、ブレーキペダルに踏み替える回数は大幅に減らせる(ただしドライバーによって向き/不向きはある)。そんなことができるのも、電動車だからこその特徴だ。

居住性

先進機能としてオプション設定されているナビリンク機能付きの〝プロパイロット〞もなかなか良い。全車速追従式クルーズコントロール(ACC)と、車線の中央走行を維持するレーンキープアシストを組み合わせ、さらにナビの地図情報も取り込んだ運転支援システムだ。従来型だと、カーブでもACCで設定した速度のまま走り続けるため、横Gが制御限界を超えたり、ドライバーがブレーキを踏んだりしたときに、機能を中断してしまう。それがナビリンク機能付きなら、地図データからカーブの曲率情報を取り込んで自動減速するから、機能を中断せずに走り続けることができる。

うれしい装備

Nissan Connectナビは、スマホの専用アプリと連動。アプリで検索した目的地を送信したり、クルマに乗る前にエアコンを作動させたり、ドアロックをアプリで確認したりと、便利な機能を利用できる。
月間販売台数   5839台(22年11月〜23年4月平均値)
現行型発表    20年11月(グレード追加22年12月)
WLTCモード燃費  28.4km/l ※FF車

ラゲッジルーム

今年に入ってグレードが大幅に整理され、標準モデルは「X」のみで、FFか4WDかの選択肢しかなくなった。ほかにスペシャルモデルとして「AUTECH」と、そのクロスオーバー仕様が用意される。後者は最低地上高が25㎜高くなり、悪路の走行性能が高くなるだけでなく、乗り降りもしやすくなっている。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.150「2023-2024 コンパクトカーのすべて」の再構成です。

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