なんと横置き!新型トヨタ・センチュリー システム最高出力412ps EV走行距離69km パワートレーン詳解

ついに新型センチュリーが発表された。噂されていた「センチュリーSUV」でも「センチュリー クロス」でも、センチュリーとして登場した新型。トヨタはこのクルマをSUVだとは考えておらず「最高のショーファーカーを作ったので、センチュリーにサブネームは付けなかった」ということだ。さて、最高ショーファーカーの心臓部はどうなっているのか?

フロント横置きV6エンジン

新型センチュリー(便宜的に2023年9月6日発表のセンチュリーをこう呼ぶことにする。従来のセンチュリーは「センチュリーセダン」とする)は、5.0L・V8+THSⅡを搭載している。

センチュリーセダンのパワートレーン。エンジンはフロントに縦置きされている。

エンジン
型式:2UR-FSE
形式:V型8気筒DOHC
排気量:4968cc
ボア×ストローク:94.0mm×89.5mm
圧縮比:
最高出力:381ps(280kW)/6200rpm
最大トルク:510Nm/4000rpm
燃料供給方式:筒内直接噴射+PFI(D-4S)
使用燃料:無鉛プレミアム
燃料タンク容量:82L
モーター
1KM型交流同期モーター
最高出力:224ps(165kW)
最大トルク:300Nm
バッテリー:6.5Ah(ニッケル水素)

新型センチュリーは3.5L V6+プラグインハイブリッドシステムを使う。最大の変更点はエンジンが「縦置き」から「横置き」になったことだ。

センチュリーセダンは、先代レクサスLSのプラットフォームを使っているが、新型はエンジン横置き大型モデル向けのTNGA GA-Kを使う。

これまで高級車=エンジンフロント縦置き+後輪駆動ベースという方程式が存在していたのだが、新型センチュリーはそこに一石を投じる新しいトライと言える。トヨタには、TNGA GA-Lというエンジン縦置きのプラットフォームがある。レクサスLSやLC、トヨタMIRAIが使っているものだ。これを使わずにGA-Kを使ったのは、GA-Kの出来の良さと拡張性の高さゆえだろう。

エンジンはフロントに横置きされる。リヤはモーター駆動だから、後輪に伸びるドライブシャフトは存在しない。

エンジンは2GR-FXS型60度V型6気筒DOHCを使う。このエンジンは、排気量3456cc、ボア×ストロークは94.0mm×83.0mm。同じ排気量・ボア×ストロークを持つ2GR-FKSのハイブリッド仕様だ。

トヨタGRシリーズはアルミブロックに鋳鉄ライナーを仕込んだオープンデッキシリンダー、ボアピッチ100.5mmが基本書源。デュアルVVT-i(可変バルブタイミング機構を吸排気に使う)

LC500などが使う8GR型は、2GRの縦置き版だ。

エンジン
型式:2GR-FXS
形式:V型6気筒DOHC
排気量:3456cc
ボア×ストローク:94.0mm×83.0mm
圧縮比:
最高出力:262ps(193kW)/6000rpm
最大トルク:335Nm/4600rpm
燃料供給方式:筒内直接噴射+PFI(D-4S)
使用燃料:無鉛プレミアム
燃料タンク容量:55L
モーター
フロント:5NM型交流同期モーター
最高出力:182ps(134kW)
最大トルク:270Nm
リヤ:1YM型交流同期モーター
最高出力:109ps(80kW)
最大トルク:169Nm
バッテリー容量:51Ah

センチュリーセダンとまったく違うプロポーション

新型センチュリーのエンジンルーム。エンジンカバーには「鳳凰」が見える。明らかにエンジン横置きだ。

エンジンが縦置き/横置きでクルマのパッケージが大きく変わる。新型センチュリーとセンチュリーセダンのサイドビューを並べてみるとよくわかる。

センチュリーセダン ボディサイズ 全長×全幅×全高:5335mm×1930mm×1505mm ホイールベース:3090mm
新型センチュリー ボディサイズ 全長×全幅×全高:5205mm×1990mm×1805mm ホイールベース:2950mm

もっとも違うのはフロント部分。フロントアクスルセンターからフロントドアのオープニングライン(ここをプレミアムレングシと呼ぶ)だ。

エンジン縦置きのセンチュリーセダンの方がここが長い。従来の価値観だと、プレミアムレングスが長いほうが高級・プレミアムだったのだが、新型センチュリーはその価値観にも挑むことになる。

センチュリーセダン
新型センチュリー

ショーファーカーの新世紀を切り拓く新型センチュリー。技術的にもデザイン的にもマーケティング的にも非常に興味深い存在だ。

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