日産セレナe-POWER 一番人気のハイウェイスターの実力を試した

六代目の新型日産セレナは2023年初頭から発売が始まり、少し遅れて4月中頃からe-POWERモデルの販売も始まった。そして発売から半年が過ぎ、具体的な販売状況のデータが出てきている。日産によれば、一番人気になっているのは、ハイウェイスターVのe-POWERモデルということだ。その人気の秘密を試乗して解き明かす。
TEXT & PHOTO:高橋アキラ(TAKAHASHI Akira)PHOTO:NISSAN

新型セレナはトップグレードにe-POWER専用モデルの「LUXION(ルキシオン)」を新設定し、プロパイロット2.0を標準装備し、7人乗り仕様としている。一方人気のハイウェイスターVには、要望の多かった「e-POWERで8人乗り」をラインアップした。

ハイウェイスターは元々人気グレードであり、ルキシオンとの外観上の違いがエンブレムやヘッドライト横のサイドパネルの色違いといった程度でほとんど見分けがつかない、そして8人乗りがラインアップしたなどの理由から一番人気はハイウェイスターVになっているそうだ。

初代セレナは1991年デビューし「家族」を中心に企画・開発してきたモデルだ。そして六代目となった新型セレナ(C28型)もコンセプトは変わっていない。しかし、「家族」には変化が起きていることやマーケットの推移があること、そして先代セレナを超えることの3つを柱として六代目を開発している。

マーケットの推移では、日本におけるミニバン・シェアはおよそ30%で、そのうち50%がセレナが属するMクラスミニバンが占めている。そのなかでノア・ヴォクシーやステップワゴンと競いながら進化してきたモデルだ。このマーケット需要は安定している市場だそうで、今後も大きな変化ないと予測しているという。

家族の変化では、かつてお財布を握っているのは奥様、という常識が少し変わり、男女平等な意識に変わっていると説明する。そして両親は共働きであり、子供は習い事や塾などで平日は全員が忙しいのだと。だからこそ、休日は「限られた家族時間を思いっきり楽しみたい」というように家族との過ごし方は大きく変化したという。

そのために、初代のコンセプトテーマである「BIG・EASY・FUN」を六代目でも踏襲し、それぞれを磨き上げたのが新型セレナというわけだ。

日産セレナe-POWER ハイウェイスターV(2WD)

今回試乗したのは一番人気のハイウェイスターVでe-POWER搭載した8人乗り。ちなみにe-POWERモデルはすべてFFでAWDはガソリンモデルに設定している。
さて、運転席に座るとフロントの視界が広く感じられ前部の見切りがいい。ダッシュボード上部がフラットになっていることも影響しているのだろう、広々とした印象もある。

全長×全幅×全高:4765mm×1715mm×1870mm ホイールベース:2870mm

またシフトレバーがなくなりダッシュパネルにボタン式というように変わった。そのためインパネ周りがフラットになり、すっきりして広さを感じるのだ。ボタン式シフトは最初は操作に戸惑うかもしれないが、慣れると手元を見ないで前進やバックのシフトチェンジもできるようになる。そのシフトパネルはピアノブラックで、高級感もあり先進性も感じる。こうしたデザインの変化で、なにより斬新なインパクトのあるフロントキャビンという印象を持つ。さらにドアトリムからダッシュボードへ回り込むラウンド形状デザインは高級感を感じさせるし、ファミリーカーと言いつつも、良いモノ感があるのは嬉しい。

スマートマルチセンターシートを運転席まで前方にスライドさせれば、2列目はキャプテンシートになる。

2列目はシートのスライド量も大きいので、ゆったりと座れる。スマートマルチセンターシートを運転席まで前方にスライドさせれば、2列目はキャプテンシートになり、さらに広さが感じられ、2列目にセットすれば3人座れるベンチシートになる。そして3列目もスライドするので荷室容量の増減も可能になるのだ。その荷室もキャディバッグを立て積みで4本収納することができるので、セレナ1台で1組分の移動が可能になるというわけだ。

テールゲートは、バックウィンドウだけをポップアップ可能
テールゲートはこう開く

テールゲートは、バックウィンドウだけをポップアップさせることができ、この機能は先代から引き続き踏襲していて意外と便利なのだ。

唯一気になったのは3列目シートの格納方法だ。左右への跳ね上げ式でストラップで固定するタイプ。ここだけは前時代的な印象で突然、昔に戻った印象になる。左右跳ね上げ式は重いし、力もいる。女性には厳しい操作方法で一考欲しかった。

シートの1列目にも2列目にもセットできる「スマートマルチセンターシート」を標準装備。セカンドシートのスライド機構、横スライド機構も活用すれば、乗車人数や使い方に合わせて、さまざまなシートアレンジが可能だ。
3列目シートのたたみ方は写真のように左右に跳ね上げる方式。ここはもう少し工夫がほしいところだ。
3列目シートには、スライド機構を採用。

広さがありつつ、先代より良くなったと感じるのは静粛性の高さだ。もちろんe-POWERユニットの静かさもあるが、ロードノイズや風切り音もよく抑ええられていて、高速道路の走行中でも3列目との会話は声を張らなくてもできるほどだ。これは家族での長距離移動をイメージしたとき、楽しい移動空間になることが容易に想像できる。

装備類では純正ナビゲーションやディスプレイオーディオも充実している。ローカルにナビデータを持つ既存タイプも選択できるし、スマホと連携させディスプレイオーディを使って表示させることもできる。また、レコーダーリンク機能を持つタイプもあり、自宅のDVDレコーダーで録画したものをスマホ経由で、車内で再生することもできる。さらにアレクサも搭載され、自宅のスマート家電の操作はもちろん、音楽や目的地設定にも使えコネクテッドの進化を感じることができるのだ。

そして運転のしやすさという点ではハンドルも軽く、適度な手応えがあり、そして見切りがいいことも運転がしやすいと感じるだろう。またウインドウも大きく広い。車窓からの景色がよく見え、車酔いもしにくいだろうし、車体自体の揺れも少ない。

e-POWERは全速度域を電気モーターで走るハイブリッド車で、エンジンはレギュラーガソリンを使いつつも駆動はせず、発電機の役目を担っている。新型セレナに合わせ、このエンジンは新開発され、排気量も1.2Lから1.4Lに変わった3気筒エンジンを搭載している。

発電用なので、バッテリー充電量が十分であればエンジンは作動しない。そのため通常の走行は極めて静かに、そして滑らかに走る。バッテリー残量が減った時やアクセルペダルの踏み込む速さや踏み込み量が大きいとエンジンがかかり、音も聞こえてくるが、その音はアクセルに連動するように回転上昇するので、既存のエンジン車を運転しているのと変わりはない。

新型セレナは高い静粛性とモーターで走る電気自動車を体感させ、先進性、環境意識を刺激する。インテリアは広くしっとりとした乗り味で静粛性は極めて高い。そのため会話明瞭度の高い空間は会話も弾み、楽しい移動ができる家族のクルマとして人気を得ているのだ。

ボディ色は利休(リキュウ)/スーパーブラック2トーン
日産セレナe-POWER ハイウェイスターV(2WD)
全長×全幅×全高:4765mm×1715mm×1870mm
ホイールベース:2870mm
車重:1810kg
サスペンション:Fストラット式/Rトーションビーム式 
駆動方式:FF
エンジン
形式:直列3気筒DOHCターボ
型式:HR14DDe
排気量:1433cc
ボア×ストローク:78.0mm×100.0 mm
圧縮比:13.0
最高出力:98ps(72kW)/5600pm
最大トルク:123Nm/25600rpm
燃料供給:DI
燃料:レギュラー
燃料タンク:52ℓ
フロントモーター
EM57型交流同期モーター
 最高出力:120kW(163ps)
 最大トルク:315Nm
乗車定員:8名
燃費:WLTCモード 19.3km/ℓ
 市街地モード19.7km/ℓ
 郊外モード:20.7km/ℓ
 高速道路:18.3km/ℓ
車両本体価格:368万6100円
メーカーオプション24万2000円
100V AC電源(1500W) 5万5000円、利休/スーパーブラック2トーン2トーン特別塗装色 7万7000円、ホットプラスパッケージ9万9000円、アダプティブLEDヘッドライトしすてむ+インテリジェントアラウンドビューモニター+インテリジェントルームミラー+アドバンスドドライブアシストディスプレイ+ワイヤレス充電+6スピーカー+NissanConnectナビシステム+車載通信ユニット+ETC2.0ユニット+ドライブレコーダー(前後)+プロパイロット 55万1100円。

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著者プロフィール

高橋 アキラ 近影

高橋 アキラ

チューニング雑誌OPTION編集部出身。現在はラジオパーソナリティ、ジャーナリスト。FMヨコハマ『ザ・モー…