DIYでバッテリー交換にチャレンジ! メモリーバックアップから廃棄方法まで一連の手順を解説【DIY企画】

あとわずかで本格的な冬が到来するが、この季節にイチバン多いトラブルといえば、バッテリー上がりだ。とはいえ、ディーラーやカーショップで交換すると結構な出費になるので、「できることは自分でやってしまおう!」という精神のもと、今回はDIYでバッテリー交換にチャレンジ!ここではメモリーバックアップ、交換手順、古いバッテリーの廃棄方法など、バッテリー交換の一連のプロセスを解説しよう。
REPORT&PHOTO 小原裕一郎(OHARA Yuichiro)

安価にバッテリー交換をしたいならばDIYがオススメ!

ガソリン価格や物価の上昇が続く中、クルマユーザーは少しでもランニングコストや整備コストを安く抑えたいと考えているはず。そんな中、これからやってくる冬場でイチバン気がかりなのが、バッテリートラブルだ。

使用状況にもよるが、一般的にバッテリーの寿命は2~3年といわれており、通常は耐用年数を過ぎたとき、エンジンの掛かりが悪いとき、車検のタイミングなどで交換することが多い。とはいえ、ディーラー、整備工場、カーショップなどでバッテリー交換をすると割高感があるのはご存知のとおり。例えばメルセデス・ベンツ場合、Aクラスのバッテリーをディーラーで交換すると、バッテリー価格や工賃の総額が約5万円程度になってしまう。国産車の場合は比較的安価だが、輸入車の場合はバッテリー自体が高価なので、耐用年数を過ぎても使っていることが多くトラブルのリスクが高い。

フィアット・チンクエチェントのバッテリー。輸入車の場合は、小型車であってもバッテリー自体が高価なので、バッテリー交換は頭の痛い問題だ。

ところが、ネットで輸入車用のバッテリーを検索してみると、意外と安く入手できることがわかる。冒頭でも述べたとおり、あらゆるモノが値上がりしている中で、少しでも整備コストを安くに済ませたいのならば、DIYでバッテリー交換をしてみるのもひとつの手だ。そこで、今回は筆者の愛車ジープ・ラングラー(JK型)を例に取って、DIYで輸入車のバッテリー交換を行う際のプロセスや注意点などを紹介しよう。

輸入車のバッテリー購入時は現物確認が必須!

筆者のジープ・ラングラー(JK型)は、新車で購入後4年10ヶ月が経ち(2023年10月現在)、12月には2度目の車検を控えている。しかし、これまでトラブルがないことをいいことに、バッテリーは一度も交換しておらず、さすがにいつトラブルが起きてもおかしくない状態だ。ということで、満を持してDIYでバッテリー交換にチャレンジすることにした。

ジープ・ラングラー(JK型)に新車時から搭載されているバッテリー。今のところ元気だが、すでに5年弱使用しているので、いつトラブルに見舞われてもおかしくない状態だ。

まず、交換にあたって適合するバッテリー形式を調べてみると、北米車用バッテリー規格(BCI規格)の34-7MFと、欧州車用バッテリー規格(EN規格)のLN3のどちらかが搭載されていることが判明。実際にボンネット開けて調べてみると、筆者のラングラーにはEN規格のLN3が搭載されていた。輸入車の場合はデータを鵜呑みにしていると、適合しないバッテリーを入手してしまう可能性があるので、購入の際は必ず現物確認をした方がよいだろう。

適合するバッテリー型式が判明したところでネット検索をしてみると、価格はブランドによってまちまちだが、今回はアメ車用のアフターパーツで有名なACDelco製のEMIUM ENという製品をチョイス。結果、想像以上に安価な約13,000円で購入できて、当初の目論見どおり価格的にも満足のいくスタートとなった。

購入したACDelco製のEMIUM EN(LN3)バッテリー。ハンドルも付いていて持ちやすいが、重量は19.5kgとかなり重い。

メモリーバックアップで設定やメモリーの消失を防ごう

最近のクルマは、各種電子機器の設定やメモリー保持のため、エンジンを切ってもバッテリーから微弱な電力が供給されている。ところが、バッテリー交換によって電力がシャットダウンされてしまうと、交換後に再設定が必要になるばかりか、最悪の場合はリセット作業が必要になるケースがある。これは、サブバッテリーを搭載しているアイドリングストップ車でも起こり得ることなので、バッテリー交換の際は注意が必要だ。

このような事態を避けるために、最近はバッテリー交換を始める前にメモリーバックアップをしておくのがセオリーとなっている。メモリーバックアップの方法は比較的簡単で、カー用品メーカーなどから販売されているメモリーバックアップ用の機器を、バッテリー端子やODBⅡ端子に接続するだけでOK!今回は、カーメイトのメモリーキーパーというODBⅡに接続する製品を使用して、メモリーバックアップを行った。

(左)バッテリー端子接続タイプ(エーモン製)、(右)ODBⅡ端子接続タイプ(カーメイト製)

ODBⅡ端子とは、クルマの状態を監視したり、各種設定を変更するためのサービス用コネクターで、通常はダッシュボード付近に設置されている。ODBⅡタイプのバックアップ用機器は、ここに差し込むだけでメモリー保持のための電力が供給され、LEDインジケーターによって給電状況を確認できるところがメリット。このように予めメモリーバックアップをしておけば、安心して交換作業を開始できる。

(左)ODBⅡ端子、(右)ODBⅡ端子の主な装備位置。通常、ODBⅡ端子はダッシュボード付近にあるので、比較的簡単に見つけることができる。
(左)バッテリー取り外し前の状態、(右)バッテリー取り外し後の状態。バッテリーを取り外した後はLED表示が切り替わり、メモリーキーパー内の電池で電力が供給される仕組みだ。

交換作業自体は簡単だが、いくつかの留意点がある

メモリーバックアップができたら、いよいよバッテリー交換の作業をスタート!しかし、その前に作業性や安全性を確保するため、ボンネットを最大限に開き、必要な工具類と足場用の洗車台などを用意しておくのがオススメだ。とりわけ、車高の高いクロカン4WDの場合は、高い位置で重いバッテリーを持ち上げなければならないので、脚立や洗車台などの足場は必須といえる。

ラングラーはボンネットが大きく開くので、整備性は抜群!バッテリーは異様に重たいので、脱着の際は落下に十分注意しながら作業しよう。

バッテリー交換を行う際の手順だが、取り外しの際は最初にマイナス端子、次にプラス端子を外すのがセオリー。こうすることで、スパナなどの金属が触れてもショートを防ぐことができるわけだ。また、逆に取り付けの際は、最初にプラス端子、次にマイナス端子の順に取り付ける。

マイナス端子→プラス端子の順に外したら、バッテリーを引き抜きやすいように端子を空きスペースに退避させておくとよいだろう。

古いバッテリーの取り外しが完了したら、待望の新しいバッテリーを所定の位置へセットし、本体とプラス/マイナス両方の端子をしっかり固定する。そのうえで、最初に装着したメモリーキーパーをODBⅡ端子から取り外してエンジンを掛け、各種設定やメモリーが消失していないことが確認できたら、すべての作業は完了だ。

新しいバッテリーに交換したら、交換年月日や走行距離をバッテリーに書き込んでおく。こうしておけば、次回の交換時期がわかるので便利だ。

古いバッテリーはカーショップなどで無料回収してもらえる⁉

DIYでバッテリー交換を行った際に気がかりなのが、古いバッテリーの処分方法だ。これが心配でDIYを躊躇している方も居るだろうが、例えば専門業者に依頼すると500~1,500円+出張費などの廃棄費用がかかってしまう。

ところが、カーショップ、スタンド、ディーラーなどの中には、無料で回収・廃棄してもらえるところもあるので、事前に問い合わせてみるとよいだろう。ちなみに、筆者はオートバックスでは無料回収してくれると聞いていたので、連絡もせずに持ち込んでみたところ快く回収してもらえた。

オートバックスなどのカーショップでは、廃バッテリーを無料で回収・廃棄してくれるので、とてもありがたい。

今回はDIYによるバッテリー交換についてレポートしたが、事前調査の甲斐もあって、トラブルもなくスムーズに完了できた。しかも、ディーラーなどで交換するよりも、かなり安価にできたので、満足度は非常に高い。DIYゆえ、多少の手間は覚悟しなければならないが、少しでも整備コストを抑えたい方にはオススメの方法だろう。

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著者プロフィール

小原 裕一郎 近影

小原 裕一郎

メディアプランナー&ライター。メディア業界でテレビ視聴率調査、マーケティング(リアル&デジタル)、…