1991年に日本の自動車メーカーとしては初めてル・マン24時間で総合優勝を果たすなど、国際的なモータースポーツカテゴリーでも活動してきたマツダ。近年はカーボンニュートラル技術の開発や人材育成などを目的として、スーパー耐久シリーズ(S耐)に参戦するなどしているが、それと平行して2000年代以降に発達したロードスターを用いたグラスルーツカテゴリーの維持、発展に力を注いでいる。
マツダはアマチュアドライバーがレースを楽しむ“参加型モータースポーツ”において、「MAZDA SPIRIT RACING CHALLENGE PROGRAM」を展開している。これはカスタマーのレースへの挑戦を後押しするもので、ふたつのプログラムで構成されている。
ひとつは「S耐への道」。日本各地で開催で開催されるロードスター・パーティレースにおいて特に優秀な成績を収めた者たちをドライバーとして起用し、日本における参加型カテゴリー最高峰に位置するS耐に挑戦するものとなっている。
もうひとつは「バーチャルからリアルへの道」だ。近年はレーシングシミュレーターソフトはもちろん、ハードのクオリティが向上したほか、コロナ禍の影響もあってユーザーが増加傾向にある。
そこでマツダは世界的に最も有名なシミュレーターのひとつである『グランツーリスモ』シリーズとコラボ。若年層の取り込みやマツダブランドの訴求などを図ってきた。
2023年には『グランツーリスモ7』内の大会である「MAZDA SPIRIT RACING GT CUP 2023」を実施。7500名にのぼる参加者から27名を選抜した。そして、筑波サーキットでの1泊2日の走行体験プログラムにおいて27名のなかから選ばれた数名を、今年6月以降のマツダファン・エンデュランス(マツ耐)に参戦させることとしている。
このプログラムに参加した者のなかからは、ロードスター・パーティレースに参加し、優勝するドライバーが現れるなど、マツダのesportsとリアルモータースポーツの橋渡しの取り組みは早くも実績を残しつつある。
『グランツーリスモ』シリーズも用いたマツダのプログラムは継続される見通し。“バーチャル出身”と言えるようなドライバーが、リアルのレースでも活躍するという話も珍しくなくなってきている昨今、ここから新たなプロが生まれるかもしれない。