浮いて走行する日本初のリニアモーターカー「リニモ」が愛知高速交通の東部丘陵線で運行を開始【今日は何の日?3月6日】

一年365日。毎日が何かの記念日である。本日3月6日は、2005年に開催された愛知万博に合わせて浮いて走行するリニアモーターカー「リニモ」が運行を始めた日だ。

愛知万博のために運行した磁気浮上式リニアモーターカー「リニモ」

2005(平成17)年3月6日、愛知県名古屋市の藤が丘駅と豊田市の八草駅を結ぶ、愛知高速交通の東部丘陵線の通称「リニモ」が開業。リニモは、都営大江戸線のような車輪のついた車両を磁力で推進させる“車輪式リニア”とは異なる、完全に浮いたまま磁力で推進する“磁気浮上式リニア”である。

2005年愛知万博の来場者の足として開業したリニモ

日本初の浮上式リニアモーターカーの通称リニモは、2005年3月25日~9月25日に開催された愛知万博を訪れる来場者の足として運行し、万博開催中は動くパビリオンとして約2000万人以上を輸送した。その後は名古屋市東部のベッドタウンを結び、また2022年にオープンした“ジブリパーク”へのアクセス手段となっている。
リニモは、藤が丘駅(名古屋市名東区)と八草駅(豊田市)の約8.9㎞/9駅を17分で運行。藤が丘駅は名古屋市営地下鉄・東山線と、八草駅は愛知環状鉄道線(岡崎~春日井)と連絡している。

日本初の浮上式リニアモーターカー「リニモ」(引用:PhotoAC)

車輪式と磁気浮上式の2種類のリニアモーターカー

リニアカーを動かすリニアモーターは、一般的な回転式モーターを直線状に引き延ばした電動機のこと。ちなみに、リニアとは“直線の”という意味であり、回転磁界を直線磁界にすることで直線運動が発生する。
たとえば、車体側のSN磁極を変えずに、推進コイル(ガイドレール側)の磁極を連続的に次々と直線方向に変えていけば、吸引力と反発力によって車体が推進し、磁極変化によって速度も調節できるのだ。
リニアモーターカーには、大別して都営大江戸線などの地下鉄で採用している車輪のついている“車輪式”と、リニモやリニア中央新幹線が採用している“磁気浮上式”の2種類がある。
車輪式リニアモーターカーは、車体に取り付けた1次コイル(リニアモーター)に交流電流を流して磁界を発生させ、相互作用で発生した枕木に固定した2次側導体(リアクションプレート)との磁石の吸引力・反発力を、車両の推進および制動に利用するのだ。

磁気浮上式のリニモとリニア中央新幹線の違い

一方、磁気浮上式リニアモーターカーは、車輪を持たず非接触で走行することから、振動・騒音が優れて乗り心地が良い、急勾配や急曲線の走行がスムーズで、摩耗部分が少ないため保守が容易などのメリットがある。
リニモは、車体に取り付けた電磁石がレールを裏側から吸引しようとする力で浮上し、レールと車体の隙間は約8mmになるようにギャップセンサーで制御。走行については基本的には車輪式と同じで、車体に取り付けた1次コイル(リニアモーター)と、枕木に固定した2次側導体(リアクションプレート)との磁石の吸引力・反発力で、車両の推進および制動を行う。
また、2027年以降に東京・品川~名古屋間で開業予定のリニア中央新幹線も磁気浮上式リニアカーだが、車体の電磁石はリニモのような一般的な電磁石でなく超電導磁石を使うため、電気が抵抗なくスムーズに流れる。これにより、エネルギーロスを減らして大きな磁力を発生させることができ、平均速度392km/hの走行が可能となるのだ。

試走中のリニア中央高速新幹線(引用:PhotoAC)

最近のリニアカーの話題と言えば、品川~名古屋の286kmを約40分で結ぶリニア中央新幹線だが、相変わらずゴタゴタ続きで2027年の開業は間に合いそうもない。最高速度500km/hがどんなものか、早く体感してみたいものだが……。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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著者プロフィール

竹村 純 近影

竹村 純

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までを…