BMWの新型4シリーズが搭載するエンジンは
2.0ℓ直4DOHCターボのB48B20A型(184ps/300Nm)
3.0ℓ直6DOHCターボのB58B30B型(387ps/500Nm)
である。ともに、最新のモジュラーエンジン「Bシリーズ」でボア×ストロークは84.0mm×90.0mmで共通だ。
これが、「M」がつくと話が別になる。エンジンは、S58B30A型となる。
まずはスペックを見てみよう。
ちなみに、S58型の前の型はS55型で現在はM2コンペティションが搭載している。こちらは、B型の前型である「N型」の6気筒版であるN55型(ボア×ストローク:84.0mm×89.6mm)がベースだ。最新がS58型だから、おそらく遠くない将来にS55型はディスコンとなるだろう。
さて、このS58型エンジンは、もちろんBMW M社が開発したエンジンだ。ベースとなったB58型が1基のツインスクロールターボで過給するのに対して、S58型は2基のシングルスクロールターボで過給する。つまりツインターボである。ウェイストゲートは電制式。1-3気筒/4-6気筒でそれぞれ1基ずつMHI(三菱重工製)のターボチャージャーを装着する。
筒内燃料直接噴射(DI)の燃料噴射圧も350barに高められている(ソレノイド式インジェクターを使う)。インジェクターはボッシュのHEDV6を使っているようだ。シリンダーヘッドのヘッドコアの成形型には3Dプリント技術が初採用され、従来の金属加工技術では困難だった複雑な形状成形が可能になったという。
また、ピストンとピストンピンにはDLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)コーティングが施されている。
また、S58型はピストンをしたから冷やすオイルサンプを採用している。通常は1本の噴射だが、S58型は2本。エンジン本機の特徴としては、まずは、N型のオープンデッキからB型がクローズドデッキに変わったことで、もちろんS58型もクローズドデッキを採用している。ベッドプレートはS55のアルミ合金製からスチール製の受けに変更された。また、クランクシャフトがフルカウンタータイプになっている。
ちなみにS58B30型の型式の由来は
S=BMW M社開発
5=直列6気筒
8=ターボ/バルブトロニック/直噴のガソリンエンジン
B=縦置きガソリンエンジン
30=排気量3.0ℓ
である。
BMEP(正味平均有効圧)=27.3bar!
今度はBMEPを見てみる。BMEPとは「正味平均有効圧」=Break Mean Effective Pressureのことだ。
最大トルク÷排気量×4π×10で単位は「bar」である。BMEPは、エンジンの排気量によらずに、トルク特性を横並びに評価するために用いられる理論的な数値だ。排気量あたりのトルクに比例する。ガソリンNAは10-13bar程度、ガソリンターボは18-24bar程度、ディーゼルターボでは、18から30barを超えるものまである。
S58B40A型のBMEP(正味平均有効圧)は27.3barだ。もう、これは、ガソリンエンジンきってのハイチューンエンジンと言える。