目次
パワートレインを3種類用意 車重が軽く燃費性能も優秀
いま、軽自動車(以下、軽)でも大人気のスライドドア式スーパーハイトワゴンの魅力をそのまま昇格させたのが、ソリオのようなクルマだ。一見するとトヨタ・シエンタやホンダ・フリードなどのSSクラスミニバンに似ているが、ソリオは全長がさらに約500㎜短く、シート配置も2列5人乗りのみとなる。そのぶん軽く、小回りが利いて、燃費も良く、それでいて広い室内空間には自転車が1〜2台積めて……と、徹底的な扱いやすさと便利さが売りだ。
エクステリア
事実、この種のコンパクトハイトワゴンで最も売れているトヨタ・ルーミーで、2022年度(22年4月〜23年3月)の国内登録車販売ランキングで4位、軽込みでも8位に食い込んでいる。これはシエンタやフリードより上位である。もっとも、このジャンルの元祖は、ほかでもないソリオだ。唯一のライバルであるルーミー(とダイハツ・トール)が16年発売の初代なのに対して、ソリオはこの形態になってから、すでに実質3代目。しかも、現行ソリオは20年発売で、ルーミー/トールを研究し尽くして開発された。例えば、全長もソリオの方が85〜90㎜ほど長いし、後退時ブレーキサポートや車線逸脱抑制アシストなど、先進運転支援システムも、少しだけ充実した内容となっている。
乗降性
パワートレインは全車1.2ℓ4気筒の自然吸気をベースとするが、純エンジン車、マイルドハイブリッド(MHEV)、そして昨22年に追されたフルハイブリッド(フルHEV))……という3つの選択肢を用意する。また、クルマ自体が軽いのがソリオに限らずスズキの美点。実際、1.0ℓ3気筒のみのルーミー/トールに対して、より静かで滑らかな4気筒を積みながら、車両重量は100㎏前後も軽い。さらにご想像のとおり、カタログ燃費(WLTCモード)もFF車で19.0〜22.3㎞/ℓと、これまたルーミー/トールより数字的には優秀である。
インストルメントパネル
走りも手堅くまとまっている。先代までのソリオは良くも悪くも意外に引き締まってスポーティなハンドリングが特徴だったが、今はリヤがより柔らかにロールするようになり、日常域の快適な乗り心地が印象的。このあたりはルーミー/トールを強く意識した味付けと思われるが、いずれにしても、日本の交通環境ならまずまず安定していて、特に不足を感じるところもない。
居住性
燃費自慢のパワートレインは、走りも過不足ない。最上級のフルHEVもMHEVのファイナル部分に走行モーターをアドオンしたような独自のレイアウトをもつ。よって、低負荷時にはEV走行になることもあるが、どちらかというとエンジン主体で走るタイプといっていい。それもあって、乗り味や動力性能では、ひとつ下のMHEVも負けていない。また、エンジンが国産コンパクトでも少数派となりつつある4気筒であるだけでなく、ルーフの高減衰マスチックシーラーのほか、徹底した静粛対策もソリオの自慢で、静粛性はライバルを明らかに凌ぐ。
うれしい装備
月間販売台数 3527台(23年5月~10月平均値) 現行型発表 20年11月(一部仕様変更 23年5月) WLTCモード燃費 22.3 ㎞/ℓ ※「HYBRID SZ」「BANDIT HYBRID SV」
ラゲッジルーム
ソリオは現在、軽以外のスズキとしては国内でいちばん売れている。乗ってみると、なるほど、これほど日本的な生活様式にドンピシャのジャンルは他に見当たらない。
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.155「2024 最新ミニバンのすべて」の再構成です。