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トヨタとダイハツの共同開発で始まったリッターカーも3代目を迎える
2016(平成28)年4月12日、リッターカーのトヨタ「パッソ」とダイハツ「ブーン」の3代目が登場。初代と2代目は、トヨタとダイハツの共同開発車として人気を獲得、3代目はダイハツが企画から開発・生産まで担当し、ダイハツ独自の技術が存分に反映されたモデルとなった。
初代と2代目は、トヨタとダイハツが共同開発
トヨタは、1997年にダイハツへの出資比率を34.5%から51.2%に引き上げ、ダイハツはトヨタの連結子会社になった。これを機に、両社は共同でリッターカー「パッソ/ブーン」の開発に着手。開発に際しては、トヨタが企画とマーケティングを、小型車の開発ノウハウに長けているダイハツが開発と生産を担当した。
パッソは、トヨタがダイハツに新型小型車を委託するという形でブーンとともに2004年にデビュー。車両型式と製造業者は各々異なるので、一般的なOEM(相手先ブランド製造)ではない共同開発の兄弟車という位置付けだった。
パッソ/ブーンは、丸みのある面構成にエッジの効いたキュートなスタイリングを採用。パワートレインは、1.0L直3 DOHCと1.2L直4 DOHCの2機種エンジンと電子制御4ATの組み合わせ、駆動方式はFFとフルタイム4WDが選べた。
使いやすくて運転しやすいパッソ/ブーンは、軽のハイトワゴンが人気を獲得していた中でも、リッターカーとして存在感をアピールし好調な販売を記録した。
3代目からは、パッソはブーンのOEMモデルへ変更
2010年にデビューした2代目も、トヨタとダイハツの共同開発車だったが、3代目はダイハツ主導で企画から開発、生産まで担当し、パッソはダイハツからトヨタにOEM供給される形に変わった。
そのため、3代目はダイハツの軽開発で培った低燃費技術を積極的に取り入れている。高圧縮比の1.0L 3気筒DOHCエンジンに、デュアルインジェクターの採用や、点火プラグの最適化などを実施。さらに、軽量高剛性ボディやコーストストップ機能付きアイドルストップ、回生充電制御など、ダイハツ独自の低燃費技術“e:Sテクノロジー”を採用することにより、ハイブリッドと軽を除くガソリン車でトップの燃費を達成した。
パッソ/ブーンのエントリーモデル価格は、リーズナブルな119.9万円から用意され、上級グレードには“スマートアシストII”が標準装備。その後、マイナーチェンジでスマートアシストIIIが全車標準装備されるなど安全技術も盛り込まれ、引き続き好調な販売を続けた。
トヨタとダイハツ間で進められているOEM車
近年、メーカー間でOEM供給を積極的に行っている。委託側は生産数が増えることでコスト低減や売り上げを伸ばすことができる。一方の受託側は新車開発のための開発費や製造費用を低減できるメリットがあるからだ。
トヨタとダイハツ間では、古くから多くのクルマでOEM供給が行われてきたが、現在ダイハツがトヨタに供給しているOEM車は、パッソ/ブーンの他に「ライズ(トヨタ)←ロッキー(ダイハツ)」「タンク(トヨタ)←トール(ダイハツ)」、「ピクシスエポック(トヨタ)←ミライース(ダイハツ)」などがあり、一方でトヨタがダイハツにOEM供給しているのは、「カムリ(トヨタ)→アルティス(ダイハツ)」がある。ちなみに、コペンGRスポーツ(トヨタ)とコペンGRスポーツ(ダイハツ)は共同開発した兄弟車という位置付けだ。
最近の軽のスーパーハイト&ハイトワゴンは、税金や維持費面で有利な上に、居住性や乗り心地、走りなどがレベルアップしており、リッターカーの存在意義が薄れている。そんな中でも、コスパに優れているパッソ/ブーンは、人気を維持して大健闘している。
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