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最近のクルマでは超リーズナブル!試乗車の仕様で233万6400円
2024年3月より発売の始まったWR-Vは、日本で売られるホンダ車として初めて「タイで開発、インドで生産」されている。けっして海外で開発・生産しているから廉価に作れるわけではなく、インドをメインターゲットとしたグローバルモデルとして生まれたことが、リーズナブルな価格につながり、日本仕様の価格帯は209万円~248万円と魅力的なものとなっている。
そんな、手頃なSUVモデルであるWR-Vの最廉価グレード「X」に試乗することができた。すでに最量販グレード「Z」の試乗レポートはお伝えしているが、それを踏まえて最安グレードの満足度はどうなのか。結論をいえば、「ある一点を除いてほとんど違いはわからない」というものだった。
走行性能に直結するパワートレインが1.5L 4気筒エンジン+トルクコンバーター付CVTのFF(前輪駆動)というのは全グレードで共通であり、パドルシフトや7インチデジタルグラフィックメーター、LEDヘッドライトといった機能面でも差はつけられていない。
外観でわかるのは足元が16インチタイヤ&スチールホイール(キャップ付)と、いかにも廉価グレードっぽい装備になっていることだが、これもSUVでは定番のドレスアップカスタムであるアルミホイールやホワイトレタータイヤに換えるつもりがあるのであれば問題ないといえるだろう。
試乗車には、純正アクセサリーとして用意される8インチディスプレイオーディオ(iPhoneやandroidと連携可)ほかETC2.0車載器、フロアカーペット、ドライブレコーダーなど必要十分な装備が与えられていたが、それらを合わせても233万6400円と、3ナンバーボディのSUVとしてはリーズナブル。この価格で買えるモデルとは思えないほどの所有満足度が感じられること請け合いだ。
走りのネガはタイヤによるところが大きい印象
唯一の違いといえるポイントは「走行ノイズ」であり、その差はかなり大きい。
理由として考えられるのはタイヤ銘柄の違いで、試乗したXグレードに装着されていたタイヤは耳障りなノイズが気になるものだった。とくにラゲッジ方面から侵入してくるタイヤ由来の雑音が大きく感じたが、これはコスト面の理由で、Xグレードのみリヤホイールハウスのインナーフェンダーが省かれていることも影響しているだろう。
タイヤの違いといえば、Zグレードの17インチタイヤに比べて、Xグレードの16インチタイヤはダンピング性能が低いのも気になった。17インチタイヤの指定エア圧が前230kPa・後220kPaとなっているのに対して、16インチタイヤでは前220kPa・後210kPaとしている影響がないとはいえないが、やはり銘柄による性能差が、走行フィールの違いにつながっているといえそうだ。
前述したようにXグレードを選ぶユーザーの中には、「好きなアルミホイールに換えるつもりだから新車時装着は16インチのスチールホイールでいい」と考えている人も多いだろう。そうした人にとって、標準装着タイヤ由来のネガというのはまったく関係ない話といえる。
なお、装備面でいえばフルファブリックになるシートやウレタン仕様のステアリングホイールといった装備面の違いも廉価グレードらしい差別化ポイントだ。
シートについてはあまり差を感じないが、ステアリングホイールは上級グレードの本革仕様のほうが明らかに握り心地がよかったことはお伝えしておこう。ただし、こちらも入門カスタマイズの定番であるステアリングホイールカバー装着を前提としていれば問題ないことも事実だが…。
WR-V Xグレード 主要諸元
WR-V X 全長×全幅×全高:4325mm×1790mm×1650mm ホイールベース:2650mm 車両重量:1210kg 排気量:1496cc エンジン:直列4気筒DOHC 最高出力:118PS(87kW)/6600rpm 最大トルク:142Nm/4300rpm 駆動方式:FF トランスミッション:CVT(トルクコンバーター付) WLTCモード燃費:16.4km/L 最小回転半径:5.2m タイヤサイズ:215/60R16 乗車定員:5名 メーカー希望小売価格:209万8800円