競技初日を終えて2番手につけたのは、ラリーファンの間で揺るぎのない人気を誇るスバルWRX STIを駆る新井大輝選手だ。父は改造範囲の狭い“グループN”マシンで争われたWRCのサポートシリーズで2度の世界チャンピオンに輝いた新井敏弘選手。新井大輝選手は幼い頃から身近にラリーがある環境の中で育ってきたが、モータースポーツを始めたのは免許を取得してからのこと。
20歳にはラリー参戦を始めると、その後TOYOTA Gazoo RacingのWRCチャレンジプログラムで育成ドライバーとしてWRCやフィンランド選手権などヨーロッパでのトレーニングも経験。すでに国内外のラリーで豊富な経験を積んでいる。電機大学の工学部を卒業しており、2019年からはオーストリアのチームに所属して、ラリー参戦と並行して電気自動車などの研究・開発にも携わっている。
2019年から全日本ラリー選手権への参戦を再開し、ヨーロッパ仕込みのドライビングを披露。それまでのベテランドライバーによる不動の牙城を切り崩して、全日本ラリー界に衝撃的な速さを見せつけ、周囲を大いに刺激した。この年は父の敏弘とも全日本タイトルを争ったが、参戦数が限られていたこともあり、惜しくもシリーズ2位に留まった。
しかし翌2020年、自身初のフル参戦に挑むと安定した強さで勝利を重ね、初の全日本チャンピオンに輝く。2021年シーズンは4戦のみの出場にとどまったが、それでも2位を2度獲得するなど、そのスピードに疑いはない。類い稀なるセンスだけでなく、2019年のセントラルラリーではシトロエンC3ラリー2で参戦するなど様々なマシンのドライブ経験もあり、引き続きさらなる活躍が期待される。