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エクステリアの変更点:サンドカーキがなくなってしまった!
我が2代目ヴェゼルも早いもので納車から3年、この6月初旬に初の車検を迎えた(車検時の状態、内容については次回報告したい)。納車後1年くらいは新型コロナの影響や半導体不足などで大幅に納車が遅れ、外車並みにすれ違うことも少なかった2代目ヴェゼルもここ最近では走れば、ここあそこにもと見かけるようになった。月販9000台以上売ることもあるようで見かける頻度も増えるはずである。
そんな大ヒット中の新型ヴェゼルが発売3年を迎え、マイナーチェンジを受けた。そのマイナーチェンジ車に触れる機会があった。今回のマイナーチェンジ版ヴェゼルは、静的な撮影会とそのあとの試乗会と2回程触れることができた。詳細な報告は、諸先生やメディアのものをご参照頂くこととして、筆者は前期型ヴェゼル所有者としての感想やホンダからお聞きしたことを報告する。
まずはエクステリアでは、フロントバンパー部とリヤテールランプの形状が今回変更されたが、全体としての印象は大きく変わったわけでもなくマイナーチェンジ版に大きなショックを受けることもなかった。筆者的には前期型のフロントバンパーの形状の方が好きだが、今回のマイチェン版も弟分のWR-Vのバンパーデザインと似ておりHondaデザインとしての統一感があって悪くない。
気になったのは外装色のカラー展開だ。
筆者ヴェゼルの「サンドカーキ」がラインアップから落ちている。所有していた先代ヴェゼルでは、「シナモンブロンズ・メタリック」と広報車でしかお目にかかったことがないレアな色に乗っていて2年程で廃番色になったことは理解できたが、サンドカーキのヴェゼルはけっこう見かけるので不人気色ということもないはず。なんで今回廃番になったのかホンダ担当者に尋ねると「廃番ということではなく、サンドカーキは前期型のキャラクターのテーマカラーなので、今回のマイナーチェンジ版ではあえて採用していません」ということだった。筆者としては、自分と同じ色のヴェゼルがもうこれ以上増えないということで、設定がなくなることには不満はない。今回のマイナーチェンジでは「スレートグレー・パール」が筆者はお気に入りだ。ほんのわずか青がかったグレーが素敵で、マイチェン版で選ぶならこの色だ。この色は筆者コラム(3話目)で提案した色に近く筆者の希望が採用されたのかもしれない(フィットでの採用色だからそれはないか…)。
インテリア編:HuNTのインテリアがいい!
インテリアでは、今回登場のHuNTパッケージが気になった。真っ黒内装が好みでない筆者としては、カーキ×ネイビーの落ち着いた配色が洒落た感じですごく惹かれたのだが、このカラー展開はXグレードのHuNTパッケージしかなくちょっと残念に思った。Zグレードにもこのカラーがあれば良いのにと開発者に伝えたが、ホンダとしての販売戦略があり、あえてXグレードのみとなっているようだ。
HuNTパッケージで新採用されたシートデザインは、結構凝っている。聞いたところヴェゼル・シリーズで一番コストがかかっているシートらしく、Xにしか展開がないのがつくづく残念だ。後日、筆者がヴェゼル車検時にディーラー担当者にHuNTの売れ行きを尋ねてみると、HuNTパッケージが気になるお客様が多いものの、結局はZグレードを購入する方がほとんどらしく、なかなかホンダの思惑通りにはなっていないようだ。
インテリアではセンターコンソールの形状が助手席からも使い易いように左右対称のデザインに変わったのだが、筆者としては新旧どちらでもあまり気にならなかった。ただ今回のマイナーチェンジで、コンソールサイドのソフトパッドにステッチが入り、ちょっとだけ高級感?が増していいなぁと感じた。2代目のコンソールは初代ヴェゼルより質感が悪くなっていると感じていたがこの点はしっかり改良してきたようだ。
さて肝心の走行性能はどうかというと、これは素直にマイナーチェンジでの改良の効果がはっきりと感じ取れた。ちなみに運転はしていないので、ドライバビリティについてはここでは言及できない。諸先生の記事を参考にしてください。
マイチェン版の防音材は前期型にも装着可能
まずは遮音についてだ。開発陣の説明ではかなり力を入れたとあったが、確かに乗ってみると前席でも後席でも筆者の前期型ヴェゼルと比べるとエンジンとの間に、一部屋を置いたくらい静かになっている。今回の試乗は芦ノ湖、伊豆スカイラインで行なった。前期型だと登り坂やアクセルを踏み込んだ時のエンジン音がうるさく、この点は興醒めしていたが、今回のマイチェンでは、確実に音が抑えられ静かになっていると感じるはずだ(まだうるさく感じる人がいるかもしれないが)。試乗を担当したライターからは「エンジン音がにぎやかだね」と言われたが、「いやいや随分静かになっていますよ」と返す。筆者としては随分抑えられたなと感じていた。エンジン音だけではなくロードノイズも当然低下している。前後左右上下にわたりインシュレーター等の対策が施されているそうで、ここは前期型所有者にとってはかなり羨ましいポイントだ。
ボンネットを開けエンジンルームを撮影した際に、ボンネットフード裏のインシュレーターについて「ここも変わっているのですか」と尋ねたところ「そうです」との答え。それはマイチェン前の前期型にもそのまま部品交換で装着できるとの確認も得た。そこだけ変えてもそう効果はないかもしれないが、マイチェン版仕様に付け替えることができることは伝えておこう。
乗り心地は変わった?
また今回のマイチェンではリヤダンパーが変更された(FFモデル)。それは助手席に乗っても後席に乗っても乗り心地やリヤサスの追従性の向上していることが実感できた。このところ息子たちの運転で助手席や後席に乗ることが多いので比較の印象はそう間違っていないと思う。
ただ筆者のヴェゼルのタイヤは、かなり減ってきているので、その点は考慮しないといけないかも知れない。そのタイヤについてであるが今回のマイチェン版の試乗会に用意されたZグレードのタイヤはFF車にはブリヂストンのALENZA、4WD車にはミシュランのPRYMACY4が装着されていた。そろそろタイヤ交換をしなければいけない筆者としては、前期型ではZグレードはミシュランPRYMACY4のみであったので、今回ブリヂストンの追加は気になるところ。話を聞いてみると前期型でもブリヂストンALENZAのものがあったそう。とくにブリヂストンの追加は大きな意味があるわけではなく、簡単にいうとミシュランの供給の問題もあるようでリスクヘッジでブリヂストンの追加がされとのこと。納車でどちらが付いてくるかはわからないということだ。FFと4WDと同一条件ではないが、乗り心地やノイズはそれほど違いを感じられなかった。
試乗が終わったあと開発者との懇談となった。
開発者も筆者がヴェゼルを乗っていることを知っており、ライターさんより先に感想を求められてしまった。結構筆者のヴェゼルの長期連載コラムを読んでいただいているようだ。
昨年のWR-Vの試乗会で荷室の広さの説明を受け、ヴェゼルとの比較の話となった際、編集担当が、筆者がヴェゼルに乗っていることをパッケージング担当の開発者に告げると「あー会えた!」と第一声、筆者が「??」と思っていると、続けて「全部読んでいます」と言われ、そこでやっと合点がいった次第。実際に会えたことを凄く喜んでいただきちょっと気恥しい思いをしたことがあった。
クルマメディア関連で実際にヴェゼルを所有している人を見たことがないし、しかも先代から乗り継いでいることもあるのか、ちょっと気にしてくれているのかもしれない。
遮音の作り込みは格段にアップ
話は戻る。今回のマイナーチェンジで、開発陣は遮音に関してはかなり本気で作りこんできたと思う。バルクヘッド/ダッシュパネルから聞こえていた音は質が良く雑味がなくなり、Cピーラーから天井にかけて伝わってきた音も気にならないほど良くなっている。見えないところにかなり力を入れているのがわかるこんなエピソードがあった。
純正アクセサリーで助手席側のダッシュボードにつける「カスタマイズインテリアパネル」という商品があるのだが、こちらアロマディフューザーとしての機能もあり、それがちょっと気になった。そこで、「こちらは当然マイチェン前の車にもつけられますよね」と確認したところ、実はこのパーツの受け側のダッシュの形状が変わっているそうで、付けられないという。たぶん遮音材の追加などの関係で合わせて変更したのだろう。こんなところにもお金をかけて見えないところを改良してきていることが垣間見られた。
今回のマイナーチェンジであれっ?と思ったのが、ステアリングの革の質感だ。筆者の前期型では、言葉では上手く伝えられないがもっと「しっとりさらさら」で非常にお気に入りの触り心地だったのだが、それがマイナーチェンジで変わっている感じがする。マイチェン版では一般的な革巻きステアリングの触り心地なのだ。聞いたところ、「変わってないと思いますよ」と返答されたが、絶対変わっていると思う。さすがに筆者ヴェゼルのステアリングはテカってきているので新車時の風合いがなくなっており比較するすべがない。もしかしたら前期型ではウレタンだったガソリン車のステアリングホイールも今回革巻きとしたことで、コストダウンした?とちょっと疑ってしまうが、まあそんなに大きな問題ではない。
マイカー購入以来300万円前後でベストバイはヴェゼルだと感じている筆者であるが、今回のマイナーチェンジであらためて確信を持ってそう思えた。買って損はないです。