ホンダ・ヴェゼルe:HEV長期レポート | BEVの良さだけ味わえるe:HEV、やっぱりいい!

ホンダ・ヴェゼルe:HEV 走行距離1万6000km超 先代と新型、進化のポイントを味わう

筆者新型VEZEL e:HEV Z FF
納車から1年3ヵ月。順調にマイレージを重ねているホンダ・ヴェゼルe:HEV Z(FF)。ポイントはやはりe:HEVというパワートレーンだ。先代のi-DCDも悪くなかったが、電動化時代のいま、電欠の心配なしに、電動車のいいところを味わえるe:HEVは、やっぱりいい!
TEXT & PHOTO:山上博也(YAMAGAMI Hiroya)

15ヵ月で16500km走行 月平均1000kmを超えないほうがいいのだが……

筆者新型ヴェゼルe:HEV Z(FF)も納車後、早1年3カ月が過ぎた。走行距離は約16500km。最近、大学生の長男が筆者ヴェゼルでレジャーに遠くへ出かけることが多くなり一気に走行距離が伸びている。筆者としては概算平均で月1000kmを超えると保険代も高くなるし残クレの残存価格も下がるので気が気でないのだが、あるのに乗らないのもまたもったいないし少し複雑な心境だ。息子用に車を与えられれば良いのだが昨今は中古車も高いし都内は駐車場も高く筆者住居地近辺は月2万5000円位からが相場で息子専用車はあまり現実的ではない。

そんな個人的な話はさておき新型ヴェゼルも発売されてから約1年半経ち、まだまだ納車が遅れているとはいえ、すれ違うことも多くなってきた。初見では理解できなかったグリル同色の外観デザインも今では新型ヴェゼルとすれ違うたびに「スタイリッシュでかっこいいなあ、特に走っている姿がいい♪」とニヤニヤしてしまう自分がいる。

旧型ヴェゼルから新型ヴェゼルに乗り換えたこの1年の間に世界の流れに合わせ日本でもBEV(電気自動車)が幾つか販売され始めた。仕事柄、筆者はそういった新型BEVに乗る機会も多い。

具体的にはトヨタbZ4X/スバル ソルテラ、日産アリア、日産サクラ、ヒョンデ IONIQ5など。乗るといっても運転ではなくほとんどが助手席や後席、それゆえ気が付くこともある。

パッセンジャーにとってBEV=電動車は静かでスムーズでとっても楽な乗り物なのだと。高速道路での巡航中はガソリン車も電動車もその走りの質に大きな違いはそれほどないが、市街地走行でのストップ&ゴーが続くような場面では電動車のスムーズでシームレスな走行は圧倒的に気持ちが良い。運転するならエンジン車の音と共に盛り上がるパワー感は魅力的で楽しいが、同乗者にとっては自分の意志で動かしていない乗り物は場合によっては疲れるものだ。大排気量車であればそのトルクを活かしてスムーズな走りもできるが、小排気量車だと結構ギクシャクした走りだったりする。軽自動車だとそれが顕著に感じていたというかあたり前だったのが、日産サクラに乗って(助手席だが)びっくり、そのスムーズなトルク感に魅了されてしまった。これは「もはや軽自動車じゃないなぁ」と電動車の走りの質感に素直に感動した。

軽自動車とは思えない質の高い走りが好印象のだった日産サクラ
ヒョンデIONIQ5:運転もしたのだがEVというだけでなく色々先進的な部分に感心

それもそのはずサクラの馬力は規制がありターボ車と変わらないもののトルクは195Nmと倍以上あり2.0リッタークラス並みなので当然だ。軽ではかつて三菱i-MiEV<2009~2021)というBEVがあったが、その当時はそれほど感動した記憶がないし、その後の日産リーフが発売された時も、恥ずかしながらそれについてはあまり印象に残っていない。顧みると筆者にとって当時EVは航続距離も短くまだまだ購入を考えるほど現実的な乗り物ではなかったし、試乗時間も短時間であることから電動車の良い部分に気づけていなかったようだ。


今さらながら電動車のスムーズで力強い走りを実感している筆者がなぜこんな話をしているのかというと、我がヴェゼルe:HEVもこの電動車の優れた点を垣間見せてくれるからだ。

電気自動車時代の前(つまり今は)、e:HEVは最適だ

筆者長男もお気に入りの電動感あるスムーズな走りの新型VEZEL e:HEV

先代ヴェゼルHVは1モーターのパラレルハイブリッドだったのに対し新型は2モーターのシリーズ+パラレルハイブリッドのe:HEVとハイブリッド方式を変更したことで電動感がかなり増していて、その走りの質を筆者はいたく気に入っている。先代では発進から速度が20km/hを超えるあたりからエンジンが始動してしまう。かなり慎重にジワーっと速度を上げていけば40km/hくらいまではなんとかモーターだけで走ることができるがそれでは交通の流れに乗れない。ひとたびエンジンがかかってしまえば評判?の7速DCT(i-DCD)がシフトアップしてゆく。このi-DCD,加速してゆく時のシフトアップの感じは非常にスムーズで気持ち良いのだが、市街地走行で加減速が続く走りはあまり得意ではなくギクシャクする、アクセルに対しての反応が遅いなど問題点も多かった。

この問題に対してホンダは栃木の研究所に対策専用コースを作り改良を重ねモデル末期には気にならなくなってはいたが、ホンダは新型ではこれを使わずe:HEVにシフトした。先代から新型へと乗換えた筆者の感想は、走りの質感が上がりハイブリッド方式の変更は正解だと思う。

高速道路でもEV走行する場面もある新型VEZEL e:HEV
市街地でのこの速度域の走行ならかなりの割合でEV走行してくれる
100km/hでパワーフロー表示:エンジン+モーター駆動の様子(メーターの前に小型カメラを据え付けて撮影しています)

新型ヴェゼルe:HEVではバッテリーのその時の充電具合やアクセルの踏み込み加減にもよるが、市街地では結構な割合でEV走行してくれる。エンジンがかかったとしてもその速度域では日産e-POWERと同じようにエンジンは発電に徹し駆動はモーターのみが行なうのでその走りはあくまでスムーズで気持ちがいい。先代ヴェゼルHVはモーター出力が22kW(30ps)と小さくモーターのみで入れるほどの余裕がないものの、郊外の平坦な道でのクルージング走行であれば、速度60km/hをモーターのみで走れることもあったが、基本的にモーターは加速時のエンジンのアシストでしかない。一方新型ヴェゼルe:HEVではモーター出力が96kW(130ps)になったことで登り坂や流れをリードするようなアクセル開度でなければ時速60km/hくらいまでは、EV走行ができる。とはいえリチウムイオン電池容量が先代より増えてはいるが(48セル⇒60セル)大きくはないためバッテリーの電気が減るとエンジンでの発電に切り替わるのは仕方ないところ。それでも電動車のスムーズな走りには変わりはないので筆者的には満足している。またEV走行になる割合も多くなり簡単に20km/ℓ超えの燃費を記録するところも嬉しい。

100km/hでパワーフロー表示:エンジン直結での駆動の様子
100km/hでパワーフロー表示:EV走行となっている様子

新型ヴェゼルe:HEVのシステムは基本モーター駆動なのだが、クルマ側の燃費を考慮した状況判断でエンジンがモーターを介さず駆動輪と直結になるようになっている。高速道路での時速100km/hを超えるような場合は、エンジン直結の方が燃費に有利となることからそのようなシステムを採用していると新車発表会で技術説明を受けていたので高速域はエンジン発電のモーター駆動かエンジン直結駆動での走行が続くと思っていた。その予想に反してパワーフローのディスプレイ表示をみていると意外にも時速100km/hでもEV走行に頻繁に切り替わるし、時速120km/hでもEV走行することがある(ドライブモードのスイッチはNORMAL)。とはいえ、EV走行ではそう長く走れるはずもなく基本的にはエンジン+モーターの走行となるし、加速時は結構なエンジン音がするので電動感はなくなるのも確かだ。エンジン音(排気音?)が良くなく興醒めになってしまう瞬間もあるが、今話題?の電気自動車のスムーズな走りの一部分を感じることができる新型ヴェゼルe:HEV、充電設備などまだまだ課題が多い電気自動車の時代になる前の一台として大いに筆者はお勧めしたい。

新型VEZEL e:HEVなら20km/ℓは簡単に超えられる


キーワードで検索する

著者プロフィール

山上博也 近影

山上博也

フォトグラファー。札幌市出身。株式会社ヴュー代表でWEB・DTPデザイナーだったりもする。
幼少より好き…