目次
設営・撤収が楽なサイドオーニングはアウトドアの強い味方
地球温暖化のせいか、最近は異常な暑さや突然のゲリラ豪雨に見舞われることがあり、日常生活やレジャーに支障をきたすケースが増えてきた。とりわけ、キャンプなどのアウトドアでは、強い日差しや急な雨は大敵!こんなときに役立つのがタープで、日よけや雨よけのシェルターとして活躍してくれる。
ところが、キャンプを経験した人ならわかると思うが、基本的にサイトの設営・撤収はかなりの重労働だし、タープはシンプルな構造といえども設営にはコツが必要。本来、大自然の中でマイナスイオンを全身に浴びながら、のんびり過ごすためのキャンプが、これでは疲れるばかりで本末転倒だ。
ただ、タープの代わりに、多くのキャンピングカーに装着されているサイドオーニングを使えば、形勢はかなり好転する。設営・撤収の手間が大幅に軽減できるうえ、キャンプに限らず、釣り、マリンスポーツ、イベント会場など幅広いシーンで活躍するので、アウトドアの強い味方になるはずだ。
サイドオーニングの設置にはルーフキャリアやルーフラックが必要不可欠
キャンピングカーに装着されているサイドオーニングは、ルーフにタッピングビスなどで直付けされていることが多いが、乗用車の場合は、ルーフキャリアやルーフラックに専用のアタッチメントを組み合わせて取り付けるのが一般的だ。
しかし、サイドオーニングの多くは、自社製またはメジャーメーカーのルーフキャリアやルーフラックに、専用のアタッチメントを利用して取り付ける仕様になっているので、筆者のラングラーに取り付けてあるスミティビルト製のルーフラックにポン付けするのはNG。当然、ショップでは対応してもらえないので、今回は多少の工夫や手間は覚悟のうえで、DIYでサイドオーニングを取り付けることにした。
簡単に脱着可能なクイックリリース機構を採用した製品をチョイス!
サイドオーニングのタイプを大別すると、クルマと平行に設置するオーソドックスなタイプと、通称バットオーニングと呼ばれるクルマの外周を広範囲にカバーするタイプの2種類がある。どちらも一長一短はあるが、今回はラングラーとのサイズバランス、重量、価格などを考慮して、幅2m×奥行2.5mのオーソドックスなタイプを装着する方向で製品選びを開始した。
ただ、心配事がひとつ。通常、サイドオーニングは付けっぱなしの状態で使用するが、洗車機を使用する場合や万一のメンテナンスなどを考慮すると、イザというときに簡単に取り外せる製品があるといいと思っていた。
そんな想いに応えてくれたのが、今回チョイスしたクイックリリース機構を持つARB製のサイドオーニング。ARBといえば、オーストラリアで古くから4WD用のバンパー、ルーフラック、オーニングなどを製造している老舗パーツメーカー。オーバーランド仕様のクルマにも多数採用されているので、信頼性や耐久性の点でも安心できる。
ルーフラックにはUボルトを活用して取り付け
クイックリリース機構を持つ製品を見つけたのはいいが、前述のようにブラケットはARB製ルーフラック専用となっているので、ラングラーに取り付けてあるスミティビルト製ルーフラックには簡単に取り付けることができない。そこでブラケットの穴のサイズに適合するステンレス製のUボルト、Uボルトプレート、フランジナットなどを、ホームセンターで調達してDIYで取り付けることにした。
結果は、まるで純正のような仕上がりでガッチリ取り付けることに成功!ブラケットの取り付け間隔も、正規輸入元の「frexdream」が推奨している80cm以上(横幅2mの場合)をクリアする98cmを確保。サイドオーニングを取り付けた際の前後オーバーハングも、推奨されている60cm以内に収まりそうなので、安心して使用できそうだ。
なお、今回はスミティビルト製のルーフラックをベースにした関係で、やむなくDIYで取り付けたが、本来はサイドオーニングのメーカーが推奨するルーフキャリアやルーフラックとセットで購入し、信頼できるショップで取り付けを行ってもらうのが理想。なぜならば、サイドオーニングの重量は10kg以上あるうえ、走行時には強い風や振動を受けるなど、一歩間違えると事故に繋がりかねないからだ。
したがって、DIYで取り付ける場合は、あくまでも自己責任であることを認識したうえで、取り付け強度やネジの締め忘れがないかなど、細心の注意を払って実施して欲しい。
仕上げはサイドオーニングの突き出し量を調整
ブラケットの取り付けが完了したあとは、サイドオーニングを一旦取り付け、ルーフラックとの干渉を確認しながら、ブラケットが適切な位置になるよう突き出し量の調整を実施。これは、ラングラーに装着してあるスミティビルト製のルーフラックの脚が若干上に飛び出しているので、サイドオーニングとの干渉を避けながら、なるべくボディ側に寄せるための処置だ。
設営・撤収とも2~3分で完了する手軽さが最大の魅力
取り付けが完了したら、いよいよフィールドへ繰り出して使い勝手の検証だ。まずは、今回サイドオーニングを取り付ける最大の動機となった設営・撤収の手軽さを確かめるべく、実際に試し張りを行ってみた。結論からいうと、予め構造や手順を理解しておけば、設営・撤収とも2~3分で完了する。やはり、キャンプで使用するターフと比べると手軽さは雲泥の差。クルマに常備されているので、どこでも、いつでも、日よけや雨よけのアイテムとして活用できる点も大きな魅力といえる。
【設営の手順】※撤収時は基本的に逆の手順で行う。
サイドオーニングの効果は絶大!精神的な余裕にも繋がる
実際にキャンプ場で使用してみると、サイドオーニングのありがたさを肌で実感できる。日中は35度を超える猛暑日だったが、サイドオーニングの内側にいるだけで強い日差しを遮ってくれるし、体感温度もぐっと下がってとても快適。オープンエアーなので、時折、爽やかな風が通り抜け、何時間でも寛いでいられそうな印象だ。
また、キャンプ場は山間部ゆえ、急に空が暗くなってにわか雨が降りそうな場面もあったが、“サイドオーニングがあるから突然の雨も大丈夫!”という安心感があるので、精神的にも余裕が生まれてくる。
今回はDIYでサイドオーニングを取り付け、実際に使い勝手などを検証してみたが、「もっと早く取り付けておけばよかった」と後悔してしまうほど効果は高く、手軽さや使い勝手も上々。とりわけ、アウトドア派にはオススメのアイテムだ。
サイドオーニングは、今回チョイスしたARB以外にも、THULE、FRONT RUNNER、RHINO-RACK、DARCHEなど海外のメジャーメーカーから数多くの製品がリリースされているので、クロカン4WDに限らず、SUV、ミニバン、ステーションワゴンなど幅広い車種やニーズに対応可能だ。
地球温暖化が進む中、アウトドアに限らず、災害時にも活躍が期待されるサイドオーニングは、今後クルマの新たな便利アイテムとしてマーケットで脚光を浴びていくだろう。