ドイツ・ミュンヘンで捉えられたICE搭載プロトタイプは、i3ノイエ・クラッセデザインの特徴を多く共有しているが、スタンスは少し異なるようだ。ボンネットは少し長く、ダッシュ対車軸比はより顕著で、フロントガラスは少し垂直に立っている。そのため、EVのデザインに触発されたデザイン再考というよりは、現在のG20世代3シリーズの大幅な改良版のように見えるのが特徴だ。
ただし、これは初期のプロトタイプであるため、ほぼ生産段階のパネルがすべてまだ取り付けられていない可能性がある。そのため、どのように進化するのかを見極めるには、もう少し時間が必要だろう。
このプロトタイプを見る限りでは、1960年代BMWの特徴的なシャークノーズスタイリングが華々しく復活し、このセダンのスポーティな位置づけを一段と先鋭化させている印象だ。この効果は、より厚みを増し、よりアグレッシブになったフロントバンパーと、過度に派手になることなく、力強さを増して張り出したフェンダーによってさらに強調されていることがわかる。
側面では、フラッシュドアハンドルを装備、伝統のホフマイスター・キンク(最後部のサイド・ウインドーのピラーの根本から立ち上がる、斜めに跳ね上げられたライン)もカモフラージュの下にあるだろう。足まわりでは、スポーティなアルミホイール、より大きな高性能ブレーキを装着、後部では、Mパフォーマンスを示唆するクワッドエキゾーストパイプも確認できる。また、暫定的にハイマウントされたLEDテールライトを備えたリヤエンドのデザインは、電気自動車のi3と不気味なほど似ており、BMWが両者のデザインの差別化を最小限に抑えるよう最善を尽くしていることを示唆しているようにも見える。
注目は、EVとICEモデルとを同じプラットフォームで組み合わせたi5/5シリーズやi7/7シリーズとは異なる点で、i3と3シリーズとでは異なるプラットフォームを採用すると予想されている。だが、完全電気自動車のi3セダンは、発売予定のiX3 SUVと共有されるNeue Klasseアーキテクチャを採用し、内燃機関駆動の3シリーズは、近日発売予定のG45 X3のプラットフォームにもなるCLARプラットフォームを採用すると報じられている。これこそが、ここで紹介しているICE 3シリーズのプロトタイプとi3とのプロポーションやスタイリングの違いとなっているのだ。
パワートレインもX3新型と共有するものとみられ、BMWの定番エンジンのマイルドハイブリッドバージョンが搭載されるだろう。おそらく、2.0L 直列4気筒と3.0L 直列6気筒で、いずれも馬力と燃費が向上するはずだ。また、M3次期型も電動化の影響を受けないわけではないだろう。しかしBMWの関係者の話では、次のM3ではM5が搭載した重いプラグインハイブリッドセットアップを放棄し、代わりにより軽量のマイルドハイブリッドシステムを採用するようだ。一方、完全電動クアッドモーターが開発中であるとも報じられている。
現行G20世代の3シリーズは、2018年に初めて登場し、2022年と2024年にマイナーチェンジが行なわれた。BMWの標準的なスケジュールから考えると、3シリーズ次期型は、i3セダンとともに2026年に発売される可能性が高いだろう。