できれば一生の家宝にしたかったメルセデス・ベンツSクラス(W140型)【プロが選んだ思い出の愛車・ベスト3(岡本幸一郎)】

ときに舌鋒鋭く自動車をレビューするモータージャーナリストは、どのような愛車とともに人生を過ごしてきたのだろうか。年間数百台を試乗する日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員の岡本幸一郎さんに、歴代のお気に入りの愛車・ベスト3を聞いてみた。

TEXT●岡本幸一郎(OKAMOTO Koichiro)

3位:トヨタ・スープラ(A70型)

「リトラでハッチバックで大柄なFRのクーペが大好き!」

これまで25台の愛車に乗ってきました。いまは家庭があるのでクルマ道楽できなくなってしまいましたが、独身の頃はかなりクルマにつぎ込んでいました。MAXで4台同時に所有したり、仕様違う同じ車種を並行して2台同時に所有したり、同じ車種を3台乗り継いだこともあります。

そのなかからお気に入りのベスト3を選ぶのは非常に難しいのですが、3位はトヨタの70スープラとしたいと思います。最初の愛車もセリカXXだったぐらいで、もともとあんな感じのリトラでハッチバックで大柄なFRのクーペが大好きなんですよ(笑)。

スポーツカーとしての評価はいまひとつの70スープラですが、僕が乗っていた後期型のターボRは完成度こそ高くないけれど、乗っていてとても楽しかったです。トラクションが低くてパワーがあるから、ちょっと踏むと簡単に横を向いて、それが面白くて練習にもなって、当時よく走行会等にも参加したのですが、このクルマに鍛えてもらえてよかったと感謝しています。クルマの完成度と走る楽しさというのは分けて考えたほうがよいということも思い知った次第です。もちろん、1JZの直6らしいサウンドと力強い吹け上がりも最高でした。

トヨタ スープラ
トヨタ・スープラ(A70型)

2位:マツダRX-7(FD3S型)

「速くてハンドリングもシャープ。こんなに素晴らしいスポーツカーはない!」

2位はRX-7(FD3S)。25台の車歴のうち、同じクルマを3台乗り継いだ車種が2台あるのですが、3台も乗り継いだということは、それだけ気に入ったことの表れだと思いますが、そのうちの1台がFD3Sです。

2型、4型、6型と乗り継いで、見た目はそれほど変わっていないけど中身は大幅に進化したことを実感していましたが、僕にとってもっとも印象に残っているのは、やっぱり最初に買った2型ですね。当時はチューニング系やレース系の仕事もしていて、そのツテもあっていろいろイジっていたのですが、とにかくもうカッコよくて、速くて軽くてハンドリングもものすごくシャープで、こんなに素晴らしいスポーツカーはないといまでも思っています。

マツダRX-7
マツダ(アンフィニ)RX-7(FD3S型)

1位:メルセデス・ベンツSクラス(W140型)

「迫力満点のスタイルに高級感あふれる室内。すべてがわかりやすい!」

1位はガラリと変わって、W140型メルセデス・ベンツSクラスです。こちらも前期、中期、後期と3台乗り継いで、最後の97年式のS600Lのロリンザー仕様に、わりと最近まで長いこと十数年も乗っていました。そんなに長く1台のクルマを所有したのは、あとにもさきにもこのクルマだけということで、1位に選びました。

W140の魅力は、とにかくすべてがわかりやすいところです。大きなサイズに迫力満点のスタイリング、広々とした高級感あふれるインテリアなどなど。S600LのV12のサウンドも加速もたまりません。岡本家の一生の宝にしようと思っていたのですが、事情により手離してしまったことを悔やんでいます。

それにしても、いまでは3台とも驚くほど高価になっているようですね。もし大事に乗り続けていたら…。

メルセデス・ベンツSクラス
メルセデス・ベンツSクラス(W140型)

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著者プロフィール

岡本 幸一郎 近影

岡本 幸一郎

クルマ業界に入って28年超、内、フリーランス歴は22年あまり。これまで25台の愛車を乗り継ぎ、高級輸入車…