ダンロップの最新技術をフル投入したSPORT MAXX LUXはスポーティなのに静粛性も高い。国産車との組み合わせでは、シャシーの出来に左右されてしまうかも

ダンロップの新タイヤSPORT MAXX LUXのLUX(ラックス)とはラグジュアリー=高級という意味。従来からあるスポーツ・マックス・シリーズにLUXシリーズが加わったということだ。期待のSPORT MAXX LUXをメルセデス・ベンツGLCとEクラスに装着してテストした。
TEXT:瀨在仁志(SEZAI Hitoshi)

世界に打って出る商品ブランド、SPORT MAXX

各種揃うダンロップのスポーツマックスシリーズ。左からSPORT MAXX LUX/RS/060+。それぞれ「静粛性」「グリップ力」「ウエット性能」がセリングポイントだ。

2025年1月、住友ゴム工業は長年の願いが叶い、欧州、米国、オセアニア地域における、ダンロップの商標権を再び手に入れ、4輪ダンロップブランドのタイヤを、世界の主要マーケットで幅広く展開できるようになった。

世界に打って出る商品ブランドは、すでに欧州車をはじめとするプレミアムカーに多くOEM装着されているダンロップSPORT MAXXである。他メーカーで言えばMIプライマシー、BSのポテンザ、YHのアドバンシリーズにあたり、プレミアムブランドとして位置づけられる。

ダンロップを代表するSPORT MAXXは1969年以来ダンロップを代表するSP SPORTに代わる新ブランドとして2005年に登場し、2024年以降のモデルからはヘッドネームのSPの文字も消え、いよいよ本格稼働体制に入ったことを意味する。

ダンロップの代表テクノロジーと言えるサイレントコア技術を採用している。
ブロックと溝の配置を最適化し周期的な音の発生を低減するシームレスグルーブを採用。ブロック・溝が徐々に途切れず接地するので抜き足のようなイメージになり音の発生を低減する。

その最新モデルが今回試乗するSPORT MAXX LUX だ。スポーツマックス『ラックス』は、欧州レンジのハンドリング性能を持ち味とするシリーズのなか、さらなる快適性への追求にこだわった意欲作で、持てる最新技術をフル投入。

ダンロップの代表テクノロジーと言えるサイレントコア技術によって、タイヤ内部で発生する空気振動を特殊吸音スポンジで封じ込め、路面インパクトによって受ける振動や、空気圧迫音をシームレスグルーブ、デュアルスロープを元にする、サイレントウェーブテクノロジーによって抑え込んだ。

ハンドリング性能面においても実走行状態でのグリップ力を再現し、可視化する、マックス・ドライバビリティ・テクノロジーによって、最適なプロファイルを導き出し、接地面積を最大化。グリップバランスを均一化させることで、高い安定性と走行性能を高次元で両立させた。

これらの技術投入によって、同プロファイルタイヤと比較して、パターンノイズで14.9%、ロードノイズで8.8%。加えてハンドリング性能も同時に向上させ、次世代ダンロップの牽引役に相応しい性能が与えられたと言える。

タイヤラベリングに関してはウエット指標で最上位のa、転がり抵抗ではAA〜Aが与えられ、低燃費タイヤ、低車外音基準もクリア。また、ダンロップ独自に定義したEVタイヤ必要要件を満たしたEVマークをLUXに初刻印している。低転がりで、高負荷に強いタイヤであることを表しているといえるだろう。

メルセデス・ベンツGLCとEクラスでチェック

まずは「メルセデス・ベンツGLC220d 4MATIC」でSPORT MAXX LUXの実力を確認。装着タイヤサイズは前後同径の235/60R18 103Vだ。

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期待の新作を装着したクルマはメルセデスのGLCとEクラスの2台。試乗コースは都内の高速と市街地で、テストコースでのいつものようなハード入力はない。

GLCに乗ってまず感じたのは大きな入力を包み込む吸収力の高さと、駆動力の高さだ。ひと言で言えばパワーをかけていったときのリニアな加速感はスポーツタイヤのように正確なのに、その時に路面から受ける振動はコンフォートタイヤのようにやさしい。

蹴り出しが強いとどうしても路面から受ける反力や形状変化を元にする力を受けて、ノイズや振動が発生しやすいが、それを感じにくい。音や振動の遮断がしっかりと行なわれているうえに、最新プロファイルによる無駄な動きが抑えられている結果だろう。

ハンドリング性能的には前後方向の強さ、しっかり感に対して旋回方向の動きはやや弱め。上下方向のしなやかな動きが旋回方向に対しての反応を鈍く感じさせ、収まりもゆっくり。タイヤサイズが今どきのロープロファイルではなく、235/60R18とハイトが高いこともあって前後と横のつながりが遅れる印象を受けた。

もっともたわみ感が大きいにもかかわらず、常に接地感が失われることなく、重量級のボディを旋回方向に力強く走らせてくれたのは、旋回中も駆動力を高くキープできていた証。高い速度域まで安定したグリップ感をキープさせるとともに、しなやかさを失わせることのないコンフォート性に注力した結果だろう。

重量級のSUVを快適でスムースに走らせてくれるタイヤとして、欧州モデルに限らず静粛性の高い国産モデルとの相性も良さそう。ロープロファイルになるほど、走り指向になると思われるだけに、ハイパワーSUVとの組み合わせも大いに期待できそうだ。

先代のメルセデス・ベンツE200でSPORT MAXX LUXの走りをチェック。装着タイヤサイズは、前後同径の245/45R18 100W XL。

Eクラスの走りは正にスポーツコンフォートと言った乗り味。動きが微少舵角から正確な上に、Gの立ち上がりが早い。リヤの追従性も良いことから小さな舵角でキビキビと動き、それでいながら音や振動が伝わってくることがなく、スポーツタイヤのような粗さが感じられない。

速度を上げていくとさらにスッキリとした乗り味で、静粛性の高さを実感できる。ロープロファイルになるほどバランスが良くなる期待は裏切られることはなかった。もちろん好みもある。個人的にはタイヤは無駄な動きは最小限にとどめて、サスをしっかりと動かしたい。そんな乗り味が好きな人間にとっては正にドンピシャ。欧州車の足の良さを生かせるタイヤとして評価したい半面、国産車との組み合わせでは、シャシーの出来に左右されてしまうかもしれない。

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ダンロップの最新技術をフル投入したことで、快適でスムースな移動空間を実現し、コンセプトでもある『運転に没入』できることは実感できた。あとはそれに相応しいシャシーがあるか否か。クルマの性能を問われる最新タイヤでもある。

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著者プロフィール

瀨在 仁志 近影

瀨在 仁志

子どものころからモータースポーツをこよなく愛し、学生時代にはカート、その後国内外のラリーやレースに…