
初代シルビアは、1964年の東京モーターショーでダットサン クーペ1500としてデビュー、翌1965年に発売された。1988年に登場した5代目は、当時“デートカー”として圧倒的人気を誇っていたホンダ プレリュードの対抗馬として開発、プレリュードとは一線を画するFRレイアウトもあり、人気モデルとしての地位を築いた。2002年には最終モデルが生産終了となったが、現在でも中古市場で根強い人気を誇っている。

近年、カルト的な人気を誇った車の名跡が復活する例が多くみられることから、シルビアの復活も囁かれている。2022年に入手した際の最新情報では、「実質的後継モデルがBEVとして復活する」というものだった。しかし、現在の日産には資金が不足しており、ノスタルジックな名車のブランニューでの復活に社運を賭けるなど困難であることは容易に想像がつくだろう。
他方、情報筋からの最新の話では、フェアレディZのFR-Lプラットフォームを流用した同車の兄弟モデルとして2ドアスポーツカーが計画されており、それに「シルビア」の名称が採用される可能性もあるという。これなら開発費用も抑えられるうえ、日産が復活させたい(と思われる)ビッグネームも採用できるはずだ。
プラハを拠点とするCGアーティスト兼3Dデザイナーのコムコフ氏から提供された新型シルビアの予想CGは、北米では240SX(S13世代)として知られている日産180SXからインスピレーションを得て制作したものだという。
コムコフ氏は今回の自身の作品を、オリジナル車のファストバック・スタイルの「時代を超越したシルエットとカスタマイズの可能性」のフォロワーと称しており、この最新プロジェクトは、そのフォーミュラを現代的なエッジで再定義する試みだと伝えている。
この最新予想CGは“シルビア500SX”と名付けられており、ポップアップ式ヘッドライトやハッチを囲む特徴的なリヤガラスなど、180SXの特徴的なデザイン要素の一部を引き継いでいるものの、ボディは大型化され、流麗なルーフラインを持ち、実質的な後継モデルというより、セグメントが格上げされた高級2ドアスポーツカーに見える。また、ノーズ部分に搭載されたADASセンサーには「Advanced Drift Lidar System」の文字が刻まれている。このCGは情報をもとに制作されたものではなく、ポップアップ式ヘッドライトなど、懐かしさを込めて制作されたもののため、新旧デザインが混在しているようだ。
ボディワークはより彫刻的になり、目立つフェンダーがより洗練された、よりモダンでアスレチックなシルエットに進化。リヤエンドには、スリムな全幅LEDバー、ダックテール・スタイルのスポイラー、クワッド・テールパイプを備えたミニマリストバンパーが装備されている。全体にダイヤモンドカットの合金がシャープにあしらわれ、日産アリアのサンライズカッパーパールを彷彿とさせる銅仕上げが施されている。
オリジナルのシルビアの上位モデルになるなら、パワートレインは、フェアレディZから3.0L V6ツインターボエンジンを流用することも考えられるだろう。
日産の現状では、新型2ドアスポーツカーの登場は厳しいと見られるが、同社の財務状況が不透明になる前には、当時の製品責任者のイヴァン・エスピノサ氏は、ZやGT-Rの下に位置する、より小型で手頃な価格のスポーツカーのアイデアを示唆していた。そしてこのモデルは若者向けを想定されており、ある程度の電動化が図られるものと予想されていた。
現在CEOとなった同氏がその思いを実現するべく、新型シルビア・プロジェクトを始動させることを願いたい。


















