リップスポイラーとワイドなオーバーフェンダーもド迫力!
サバンナは1971年に発売されたマツダのロータリー車として5番目になる存在。ファミリアより大きくカペラより小さい、モータースポーツでの活躍が期待されたモデルだった。北米などでの輸出名RX-3が日本でも一般的になるほど、70年代にかけて人気のスポーツモデルになった。というのもツーリングカーレースの常勝王者として君臨したハコスカGT-Rをトップの座から引きずり下ろしたから。
レースに出場したのは2ドアクーペで、サバンナには他に4ドアセダンが当初ラインナップされた。どうしてもクーペのイメージが強いが、サバンナの兄弟車でレシプロエンジン専用車だったグランドファミリアに存在したバンをベースに、ロータリーエンジンを搭載する乗用車のワゴンが1972年に発売されている。今回東京オートサロンの会場に現れたのは、このロータリーワゴンをベースにカスタムが施された車両なのだ。
このクルマを製作しているのは長野県岡谷市にある郷田鈑金の代表取締役、駒場豊さん。25年前から作りかけのままで放置されていた現車を公道復帰させるプロジェクトを立ち上げ、その名も「郷田鈑金サバンナワゴンwith team絆&雨宮」とされた。いつかはRE雨宮チューンの20Bを載せたいと相談したことでプロジェクトが本格化。現在は13Bツインターボエンジンが載せられているが、エンジンルームは非公開とのこと。
カスタムの基本は往年のマツダ・ワークスカーをイメージしてリップスポイラーとワイドなオーバーフェンダーを装着すること。これらのパーツは今でもリプロ品が入手可能だが、この個体には貴重な当時モノが加工して取り付けてある。オーバーフェンダー内に収まるのはフロント9J、リヤ10Jの15インチホイールでRSワタナベのRタイプ。そのフロントホイールから見えるブレーキはエンドレスでワンオフ製作してもらった4ポットキャリパーキット。RE雨宮チューンの20Bに対応させるためだ。
25年前から放置されていたから当然だが、フロアはサビが進行して腐食にまで至っていた。チューニングベースとして考えたらフロアを補修するより新しく作り直して剛性を引き上げるのが得策。ということで駒場さん自らフロアを製作した。
そのフロアはFC3SサバンナRX-7のサスペンションをメンバーごと流用するため、メインフレームから作り直されている。現状でミッションはRX-8純正6速MT、デフはマツダスピード製の組み合わせ。サスペンションはエンドレスでこれまたワンオフした車高調システム。まだ完成していないとのことだから、公道復帰するのが楽しみな1台だ。