セリカターボIMSA-GTOをイメージしたST140コロナ!?
セリカとコロナが兄弟車だったことを憶えているだろうか。この2車はカリーナとともにプラットフォームを共有していて、4ドアセダンのイメージが強いコロナにもしっかり2ドアクーペが存在した。しかもFFになり3ドアハッチバックのみになった4代目セリカの北米仕様には2ドアクーペが存在していて、これは同世代のコロナクーペにセリカの顔面を移植したようなものだった。それほど共通性の高いモデルだったのだ。
2ドアクーペのセリカはアメリカで人気が高く、このボディをベースにグループCカー的に大胆なスタイルを与えたレーシングカーが1986年からIMSA-GTシリーズに参戦していた。スペースフレームにグループB用ターボエンジンを載せ、トランスアクスルにより後輪駆動とした中身は全くの別物だが、それほどセリカの人気は高かった。
IMSAに参戦したセリカターボIMSA-GTOを再現するなら話は早いが、東京オートサロン2022の会場に、なんとセリカターボIMSA-GTOをイメージしたST140コロナが展示されていた。あまり深く考える必要はなく、単に2ドアでFRレイアウトのコロナクーペをカスタムするのにIMSA-GTOをモチーフにしたと考えればいい。でもこのクルマ、過去の街道レーサーとは違い、実にまとまりのあるスタイルになっている。
このIMSA仕様コロナを製作したのは愛知県安城市のOEPオカダエンタープライズ。カー用品やエアロパーツを製作販売しているショップなのだが、オーダーがあればカスタム車の製作も請け負っている。だからこのようなカスタムのノウハウも持ち合わせているということ。ただ、単にノウハウがあればいいというものではなく、問われるのはセンス。このコロナを見れば、同店のセンスもうかがえるというもの。
派手な外装に比べ内装はシンプルに仕上げている。小径ステアリングと水中花シフトノブ、それに当時モノのオーディオを丁寧に仕上げて装着しているくらいなのだ。ただ、これができるのはベース車の程度が良くなければ難しい。素材を吟味する眼と仕入れるノウハウが問われる部分だろう。シートからヘッドレストを外して背もたれを寝かせてドライブするのも80年代らしいところ。何やら昔を懐かしむ層が見たら涙してしまうような雰囲気なのだ。