IMSAセリカターボ仕様のコロナ?【東京オートサロン2022】

ST140コロナ
もはや原型を留めていないST140コロナ。
流面形というキャッチコピーで1985年に発売された4代目セリカ。そのセリカがアメリカIMSAシリーズに参戦していたことを覚えているだろうか。セリカターボIMSA-GTOはカタチだけセリカで中身はスペースフレームにグループB用4T-GTEUエンジンを搭載するモンスターマシン。強烈なシルエットを、なぜかFR時代の一世代前、しかもセリカでなく兄弟車のコロナで再現してしまったクルマが東京オートサロン2022の会場に展示されていた!

PHOTO&REPORT●増田 満(MASUDA Mitsuru)

セリカターボIMSA-GTOをイメージしたST140コロナ!?

セリカとコロナが兄弟車だったことを憶えているだろうか。この2車はカリーナとともにプラットフォームを共有していて、4ドアセダンのイメージが強いコロナにもしっかり2ドアクーペが存在した。しかもFFになり3ドアハッチバックのみになった4代目セリカの北米仕様には2ドアクーペが存在していて、これは同世代のコロナクーペにセリカの顔面を移植したようなものだった。それほど共通性の高いモデルだったのだ。

もはや原型を留めていないST140コロナ。

2ドアクーペのセリカはアメリカで人気が高く、このボディをベースにグループCカー的に大胆なスタイルを与えたレーシングカーが1986年からIMSA-GTシリーズに参戦していた。スペースフレームにグループB用ターボエンジンを載せ、トランスアクスルにより後輪駆動とした中身は全くの別物だが、それほどセリカの人気は高かった。

ST140コロナ
ボンネット以外はワンオフ製作されたフロントスタイル。

IMSAに参戦したセリカターボIMSA-GTOを再現するなら話は早いが、東京オートサロン2022の会場に、なんとセリカターボIMSA-GTOをイメージしたST140コロナが展示されていた。あまり深く考える必要はなく、単に2ドアでFRレイアウトのコロナクーペをカスタムするのにIMSA-GTOをモチーフにしたと考えればいい。でもこのクルマ、過去の街道レーサーとは違い、実にまとまりのあるスタイルになっている。

ST140コロナ
IMSAをイメージしたブリスターフェンダー。

このIMSA仕様コロナを製作したのは愛知県安城市のOEPオカダエンタープライズ。カー用品やエアロパーツを製作販売しているショップなのだが、オーダーがあればカスタム車の製作も請け負っている。だからこのようなカスタムのノウハウも持ち合わせているということ。ただ、単にノウハウがあればいいというものではなく、問われるのはセンス。このコロナを見れば、同店のセンスもうかがえるというもの。

ST140コロナ
ステー支持のドアミラー。
ST140コロナ
サイド出しマフラー。
ST140コロナ
フェンダーと一体感を持たせたリヤスポイラー。

派手な外装に比べ内装はシンプルに仕上げている。小径ステアリングと水中花シフトノブ、それに当時モノのオーディオを丁寧に仕上げて装着しているくらいなのだ。ただ、これができるのはベース車の程度が良くなければ難しい。素材を吟味する眼と仕入れるノウハウが問われる部分だろう。シートからヘッドレストを外して背もたれを寝かせてドライブするのも80年代らしいところ。何やら昔を懐かしむ層が見たら涙してしまうような雰囲気なのだ。

ST140コロナ
小径ステアリングを装着。
ST140コロナ
懐かしい水中花シフトノブ。
ST140コロナ
シートはノーマル。
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増田満

小学生時代にスーパーカーブームが巻き起こり後楽園球場へ足を運んだ世代。大学卒業後は自動車雑誌編集部…