日本にもナンバー付きバギーがあった! ダイハツ・フェローバギィがおしゃれに復活 【東京オートサロン2022】

FAFビーチバギー
FAFビーチバギー。
東京オートサロン2022では見ているだけで楽しい気分になってくるカスタム車が数多く展示された。なかでも古い360cc規格の軽自動車をドレスアップして現代流の楽しみ方を提案している例も。その1台が、知る人ぞ知るフェローバギィ。このままのカタチで発売された、国産車史上稀に見るバギーを紹介しよう。

PHOTO&REPORT●増田 満(MASUDA Mitsuru)

FAFビーチバギー(フォレスト・オート・ファクトリー)

1970年に発売されたダイハツ・フェローバギィは、旧車マニアにも知らない人がいるくらいマイナーな存在。だが、公道を走行可能なバギーとして70年代に発売された意義は大きく、国産車史上に残る名車だ。知名度が低いのは販売方式によるところも大きく、北海道と東北地方を除く地域でしか販売されず、しかも100台限定だったためだ。

FAFビーチバギー。
FAFビーチバギー
FAFビーチバギーのリヤスタイル。

フェローバギィのベースは乗用車のフェローではなく、軽トラックのハイゼット。軽トラのシャーシにFRP製ボディを被せ、荷台を備える軽トラックとして発売された。けれど限定100台だったから現存しているのはフタ桁あるかどうか。貴重なモデルだが、先進的なコンセプトだったから多少のアレンジで現代流に甦らせることも可能だったのだろう。

このFAFビーチバギーを出展したのは千葉県で軽バンや軽トラのカスタムを得意としているショップ、フォレスト・オート・ファクトリー。純正の姿と比べて大きな加工はしていないものの、ツボを抑えたカスタムが施されている。ショップのセンスが問われるところだが、実にうまくアレンジしてある。

FAFビーチバギー
新車時のダイハツ・フェローバギィ。

外装は貴重な個体だけでにあまり手を加えず、カスタムペイントとデカールで雰囲気を一新。また純正ではホロをかけられるように設計されたロールバーにランプを追加して、ビーチバギーらしさを盛り上げている。またリヤにはヒッチメンバーを追加して、スタックしたクルマを救出できるかのような演出。360ccの軽トラだから牽引力は限られるだろうが、これも楽しさに繋がっている。

FAFビーチバギー
ロールバーに装着されたランプ。
FAFビーチバギー
ヒッチメンバーを追加。

室内にも楽しさが伝わってくる演出が施されている。純正ではFRPのままだったインパネはボディ同色で塗装され、チーク材によるウッドパネルを追加している。これだけで高級感が得られるが、さらに簡素な軽トラ用をそのまま流用していた純正シートが、ダットサン・コンペタイプのフルバケットシートに変更されている。このシートは日産旧車の定番カスタムで、レーシーな雰囲気が得られる人気商品。フルバケなので細身なことから、フェローバギィにもスンナリ収まってくれたのだろう。荷台やフロアにヤマザクラとコナラを使ったマットが張り詰められ、ポップな雰囲気に拍車をかける。

希少な旧車ながら、その価値をより高めているカスタム例と言えるだろう。

FAFビーチバギー
ウッド張りのインパネ。
FAFビーチバギー
フルバケットシート。
FAFビーチバギー
ウッド模様にされた荷台。

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著者プロフィール

増田満 近影

増田満

小学生時代にスーパーカーブームが巻き起こり後楽園球場へ足を運んだ世代。大学卒業後は自動車雑誌編集部…