アメリカ大統領御用達ブランドの最高峰SUVは、サイズも高級感も圧巻!【キャデラック・エスカレード】

キャデラック・エスカレード
キャデラック・エスカレード
高級SUVといえば、レンジローバーやメルセデス・ベンツGクラスといった欧州車が定番。人気があるだけに、街中で目にする機会も多い。他人とかぶるのがイヤならば、アメ車というチョイスがある。エスカレードは、アメリカを代表するラグジュアリーブランドであるキャデラックの最高峰SUV。欧州勢を上回る存在感は、リッチマンの懐を大いに刺激しそうだ。

TEXT●山崎友貴(YAMAZAKI Tomotaka)
PHOTO●Motor-Fan.jp

○:唯一無二の存在感と高級感。意外ににスポーティな走り
×:1列目は良いのに、2列目以降の乗り心地が期待を下回る

“キャディ”の名前で米国民に親しまれてきたキャデラックは、20世紀初頭から続く高級車ブランドである。彼の地では多くの著名人がキャディを愛してきたが、中でもアメリカ大統領の公用車が「キャデラック・ワン」というコール名で使われていることは有名だ。

キャデラック・エスカレード
2020年11月から日本で販売が開始された5代目のキャデラック・エスカレード。

昨今は世界中のプレミアムブランドが高級SUVをリリースしているが、キャデラック「エスカレード」はその流れに先んじて発売された。初代のデビューは1999年なので、SUVがここまで世界的なムーブメントになる前に登場しているわけである。

キャデラック・エスカレード
エスカレードのグレードは2つ。グリルが横バータイプでモール類がメッキとなるのが「プラチナム」、グロスブラックのメッシュグリルを備えてモール類もブラックアウトされるのが「スポーツ」。今回の試乗車は「プラチナム」だ。

初代モデルはサバーバンの高級バージョンみたいなフルサイズSUVだったが、2代目は映画『マトリックス・リローデッド』の劇中に登場したこともあって、世間の注目を一気に集めた。代を重ねるごとにデザインが洗練され、5代目となる現行型はさらにソフィスティケイトされたエクステリアとなり、一層の存在感を示している。

キャデラック・エスカレード
エスカレードのボディサイズは全長×全幅×全高:5400×2065×1930mm、ホイールベース:3060mm。

マスクデザインは国産有名オフロード4WDにソックリだが、高級感と洗練度はエスカレードが上回る。グリルを見ると、ルーバーの形状が非常に複雑で、日本の古の図版デザインを彷彿させる美しさだ。セカンドドア付近まではウェッジ調のアクセントラインを構成しながら、リアは先代から踏襲したスクエアなデザインとなっている。この形状から鑑みても、サードシートの居住性が十分に高いことが分かる。

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先代までの特徴だった縦長のヘッドライトは、スリムな横型に一新された。
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リヤビューは先代のイメージを継承している。縦長のテールライトの全長は90cmにも及ぶ。

スポーティなデザインのSUVは多くても、格調を感じられる車種は少ない。そういう意味では、このエスカレードはサイズ共々、貴重なモデルと言えるだろう。

さて車内に入ると、そこは紛れもないキャディワールドだ。先代はセンターコンソールにボリューム感を与え、有機的なデザインに仕上げていたが、それに比べるとスッキリとした感がある。全体の意匠は2代目に近く、先祖返りしたようにも見える。液晶のメーターパネル、情報モニターは運転席に集約されており、同乗者の視界を妨げないという配慮が感じられる。これも、本国でのショーファーカーという役割ゆえなのかもしれない。エアコンのコントロール部は非常にコンパクトだが、往年のアナログラジオを思わせるデザインが実に洒落ている。

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曲線で構成された優雅な印象のインパネ。セミアニリンレザーと本物のウッド素材の質感も上々だ。ドライバーに向けて湾曲したディスプレイは、左から7.2インチのインフォメーション用、14.2インチのメータ用、右側に16.9インチのインフォテインメント用を配置。さらにフルカラーのヘッドアップディスプレイも備わる至れり尽くせりぶり。
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14.2インチの液晶メーター。夜間は熱感応式赤外センサーで視界をサポートするナイトビジョンの映像も表示可能。
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16.9インチのインフォテイメント用ディスプレイ。ちなみに左から右までのディスプレイを合わせると、その大きさは38インチ に達する。OLED(有機発光ダイオード)という方式で、表示も鮮明だ。

試乗車の車内はホワイトレーザーで統一されており、まさにTheキャデラック。シートは意外にもクッション、シートバックとも薄めに作られているが、これはパッセンジャーの乗降性や圧迫感を考慮してのことかもしれない。座り心地は悪くないが、想像していたよりクッションが硬め。これなら長時間座っていても、腰が痛くなることもなさそうだ。

セカンドシートはもとより、サードシート付近のレッグスペース、ヘッドルームとも十分に確保されている。ただ、Cピラー部分の内張が車内に大きく張り出しているため、それが若干目障りだった。

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シート表皮には小さな通気孔が開いたパーフォレーテッドタイプのレザーを採用。フロントシートにはシートヒーター&ベンチレーションに加えて、マッサージ機能も備わる。
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セカンドシートはキャプテンタイプ。シートヒーターも完備。
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サードシートは3人掛け。
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乗員の身長は180cm。
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乗り降りの際は、ステップが自動で飛び出てくる。
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2列目のスペースは余裕たっぷり。12.6インチのディスプレイやワイヤレスヘッドホンも標準で備わる。
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12.6インチのタッチディスプレイはHDMIやUSB入力に対応。また、ディスプレイを通じて前席のナビ画面に目的地の推奨ルートを送信するユニークな機能も。
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窮屈な思いをすることなく、3列目で過ごすことが可能だ。

さてエスカレードには、先代から受け継いだ6.2L V8ガソリンエンジンというマッチョなパワーユニットが搭載されている。今の日本のガソリン価格を考えると語るのも恐ろしい気がするが、やはりキャデラックはV8が載ってナンボのクルマである。416ps/63.6kgmという出力のおいしいところだけ使いながら、ハイウェイをドライブするのがアメリカ車だ。

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可変バルブタイミング機構を備える6.2LのV8エンジン。

パワートレーンは10速ATに、セレクタブル4WDという四駆システムが組み合わされている。セレクタブル4WDも先代からのスライドで、「4WD H」「AUTO」「2WD H」から任意で選ぶころができる。2WDはFR、AUTOは路面状況に合わせて駆動トルクを前後輪に伝えるトルクスプリット式のフルタイム4WD、そして4WDはセンターの差動装置を直結にする。

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トランスミッションは10AT。レバーはシフトバイワイヤ式で操作感は軽快。
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センターコンソルの手前側にあるのは冷凍機能付きの冷蔵庫。

“H”とあえて表記しているのは、このシステムにはサブトランスファーがないからだ。ローレンジがないため、強力なトラクションを発揮することがないが、クルマのキャラクターを考えるとハードなオフロードは走らないだろうし、このエンジンがあればボートなどの牽引も容易だろう。

さて、走り出してみると、外観やキャデラックという名前から想像する乗り味とは大分違うことがわかる。まず6.2L V8ガソリンエンジンだが、10速というATを使っていることもあって、ジェントリーに発進し始める。もちろん、踏み込めばそれなりの加速はするが、そこはキャデラックというブランドイメージもあってか上品に仕上げている。

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新しいラダーフレームとマルチリンクとなったリヤサスにより、エスカレードの走りは大幅に進化した。足周りはエアサスと減衰力を連続可変するマグネティックライドコントロールの組み合わせ。

乗り心地も、もっと船のようにゆったりとした感じかと思いきや、意外とキビキビとしたフィーリングなのである。フロントサスがダブルウイッシュボーン、エンジンはV8ということもあってか、前輪の舵角が思いの他よく切れる。そのため、ちょっと1回では曲がれないかなというような細街路でも、スムーズに曲がることができた。

さすがにアメリカンフルサイズという巨軀には気を遣うが、3ナンバーが増えている昨今では、かつてほど巨大だとは感じなかった。ちょっとしたワインディング路にも入ってみたが、結構スポーティに走るので面白い。日本ではショーファーではなく、パーソナルカーとして所有する人がほとんどのようだが、置く場所さえ困らなければ、押し出し感の強いデザインも含めて魅力のあるSUVだ。

キャデラック・エスカレード
36個のスピーカーで構成されるAKG製3Dサラウンドサウンドシステムもエスカレードのウリ。立体的に再生される音楽を聴きながらのクルージングを楽しみたい。

ただし、2列目以降のシートに乗ると、若干の残念感もあった。というのも、それこそ意外なのだが、後部座席に座った際に感じるハーシュネスが大きいのである。2、3列目シートとも、後輪軸の前に座るわけではないのだが、高速道路の継ぎ目などを通過する度に、お尻から背中にズドンと感じる。キャデラックだから、さぞかしラグジュアリーな乗り心地かと踏んでいたが、実際はそうでもなかった。

275/50R22というハイトが低いタイヤサイズが多分に影響していると思われるが、広々としたパーソナルスペースが各座席に与えられているだけに、ここは改善の余地があるのではないかと感じた。

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275/50R22という大径タイヤ。「プレミアム」は10本スポーク(写真)、「スポーツ」は12本スポークと、グレードによってホイールの意匠が異なる。

さて気になるプライスだが、今回試乗した「プラチナム」は1555万円、フロントマスクがメッシュになる「スポーツ」は1595万円。サイズも堂々だが、お値段も堂々である。おいそれと手が出せるSUVではないが、レンジローバーやメルセデス・ベンツGクラスではない第三極として、富裕層にご検討いただきたい1台である。

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サードシートを使用した状態でも722Lの荷室容量を確保。先代より70%もの拡大だという。
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サードシートの格納は荷室の側壁にあるスイッチで簡単に操作可能。
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セカンドシートも電動格納式。荷室とフラットに繋がるので使い勝手が良い。この状態の容量は驚きの2065L。

キャデラック・エスカレード プラチナム・主要諸元

■ボディサイズ
全長×全幅×全高:5382×2060×1948mm
ホイールベース:3060mm
車両重量:2740kg
乗車定員:7名
燃料タンク容量:90L(無鉛プレミアム推奨、無鉛レギュラー使用可)
■エンジン
形式:水冷V型8気筒OHV
排気量:6156cc
ボア×ストローク:103.2×92.0mm
最高出力:306kW(416ps)/5800rpm
最大トルク:624Nm/4000rpm
燃料供給方式:電子式燃料噴射(筒内直接噴射)
■駆動系
トランスミッション:10AT
駆動方式:4WD
■シャシー系
サスペンション形式:Fダブルウイッシュボーン・Rマルチリンク
ブレーキ:Fベンチレーテッドディスク・Rベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:275/50R22
■価格
1550万円

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著者プロフィール

山崎友貴 近影

山崎友貴

SUV生活研究家、フリーエディター。スキー専門誌、四輪駆動車誌編集部を経て独立し、多ジャンルの雑誌・書…