BEVを購入するのは、現在のところ、いわゆる”アーリーアダプター”だろう。アーリーアダプターに一通り行き渡って、その次が本格的な普及フェーズとなる。BEVをどう社会で受容していくか、という大問題を横に置いておくとすると、BEVを選ぶ基準は、「価格」と「航続距離」だろう。ヒョンデIONIQ 5と日産アリア。この春以降に販売される予定の2台のBEVを比較してみよう。
まずは、日産アリアの価格から。
B6:539万円
B6 limited:720万0600円
B9 limited:740万0800円
B9 limited:790万0200円
である。
IONIQ 5は
IONIQ 5:479万円
IONIQ 5 Voyage:519万円
IONIQ 5 Lounge:549万円
IONIQ 5 Lounge AWD:589万円
だ。
これだけだとわかりにくいので、表にしてみた。
こうしてみると、IONIQ 5の戦略的というか挑戦的な価格設定がわかる。
まず比較になるのは
IONIQ 5 Lounge 549万円 vs Ariya B6 539万円
だろう。
となると、IONIQ 5のバッテリー容量72.6kWh/航続距離618kmというのは魅力的だ。アリアB6の66kWh/470kmに対して大きなアドバンテージがある。
ボディサイズはどうだろう?
ボディサイズそのものは、両車、それほど差がないが、IONIQ 5のホイールベース=30000mmのうえに構築されたパッケージングがなかなか魅力的だ。
モーター出力は
日産アリア:160kW(218ps)/300Nm
ヒョンデIONIQ 5:160kW(217ps)/350Nm
でスペック的にはIONIQ 5が優勢だ。
また2WDの場合
日産アリア:FWD
ヒョンデIONIQ 5:RWD
となっている。
こうしてみると、IONIQ 5はかなり競争力があるスペック&価格設定であることがわかる。年央に発売予定のトヨタbZ4X(スバル・ソルテラ)と比べるとどうだろう?
bZ4X
バッテリー容量:71.4kWh
航続距離:500km前後
モーター:150kW
となっている。
価格やスペックの詳細は未発表だが、IONIQ 5が設定した2WD/72.6kWh/618km/549万円という価格設定は意識せざるを得ないだろう。
IONIQ 5が驚くほどの価格設定ができたのは、ディーラー網の整備をせずにインターネットを通した販売をすることなどで価格を下げられたということもあるだろう。ただし、どんなクルマでも必ず故障するし、メインテナンスは必要だ。ここにかかるコストを顧客がどう判断するか。2022年夏から本格スタートするBEVの普及フェーズに、どんなニーズがどんな購買行動に結びつくのか、非常に興味深い。