手のひらサイズになった世界最大級の油圧ショベル

トミカ × リアルカー オールカタログ / No.25 日立建機 ローディングショベル EX8000-7

発売から50年以上、半世紀を超えて支持される国産ダイキャストミニカーのスタンダードである『トミカ』と、自動車メディアとして戦前からの長い歴史を持つ『モーターファン』とのコラボレーションでお届けするトミカと実車の連載オールカタログ。あの『トミカ』の実車はどんなクルマ?
No.25 日立建機 ローディングショベル EX8000-7 (アーム可動/運転台回転・希望小売価格550円・税込)

ローディングショベルとは、建設機械である油圧ショベルの一種です。油圧ショベルとは、土砂地山などの掘削・整地などに用いられる掘削機の一種で、腕状の構造――“アーム”と言います――と、その先端に取り付けられたバケットを油圧で作動させて作業を行ない、自分で動く能力を備えているものを言います。

日立建機 ローディングショベル EX8000-7実機。
日立建機 EX8000-7実機リヤビュー。写真はローディングショベルではなく、先端のアタッチメントを変更してバックホウとして使用されている状態。

このバケットの付いている向きが、操作するオペレーターの方を向いているもの、つまり、掘り下げる形で使うもののことを「バックホウ」と言い、オペレーターの向いている側へ前向きに取り付けられて、すくい上げる形で使うもののことを「ローディングショベル」と呼びます。何やら難しそうですが、バケットが付いている向きの違いで呼び名が異なっているだけだと思ってください。

ローディングショベルはバックホウに比べると、高い場所の採掘を得意とします。また、バックホウよりもバケットは大きいのですが、すくい上げるという機構上、バックホウに比べるとあまり深い穴が掘れず、採掘できる範囲が狭いという苦手な部分もあります。ですから、あまり狭い場所での作業は得意ではなく、露天掘り鉱山のような広い場所の採掘でよく使われます。住宅工事など、あまり身近な建設現場や工事現場などで見られる形式の油圧ショベルではありません。ちなみに土台の部分はバックホウもローディングショベルも同じもので、バケットを交換することで呼び名が変わります。

さて、『EX8000』シリーズは日本の日立建機が製造する最大の超大型油圧ショベルで、履帯(りたい)あるいは無限軌道、クローラ――いわゆる“キャタピラ”――の部分だけで11m近い長さがあり、地面から操縦席の屋根まで10m近くもあるという、世界最大級の大きさを誇ります。ちょうど3階建ての小さなビルほどの大きさになります。さらに、これに20m以上も伸ばすことが出来る“アーム”が付いています。自力で動ける3階建ての小さなビルに、横倒しできるその2倍ほどの長さの鉄塔が付いていると想像してもらえると、いかに大きな機械なのかが感じてもらえるでしょうか。何しろ操縦席にはエアコンをはじめ、電子レンジや冷蔵庫を設置できる場所まで設けられていますから、もはや“動く家”とか“動く作業事務所”と言っても過言ではないかもしれません。『トミカ』になっている“-7(ダッシュ・セブン)”はその巨大な『EX8000』シリーズの最新モデルになります。

電子ジョイスティックや多機能インテリジェント・ディスプレイ、進化型エアサスペンションシート、改良型エアコンを備えたEX8000-7のオペレーター席。
作業状況から各部のメンテナンス状態まで、様々な情報が一元管理できる多機能インテリジェント・ディスプレイ。

この最新モデルのEX8000-7は、それまで以上に高度な燃料最適化技術や最先端の安全機能、保守点検や維持の容易性に力が注がれています。また、電子ジョイスティックや多機能インテリジェント・ディスプレイ、進化型エアサスペンションシート、改良型エアコンを備え、オペレーターの快適性と操作の容易性も追求されています。

立っている人間と比べると、EX8000がいかに大きいかがわかる。EX8000には、このように“階段”を使って乗り込む。
最高出力1450kW(1971ps)を発揮するカミンズQSKTA60-CE型ディーゼルエンジン。これが2基搭載されている。

この巨大な油圧ショベルを動かすために、最高出力1450kW(1971ps)を発揮するカミンズQSKTA60-CE型ディーゼルエンジンが2基搭載されています。1基あたり総行程容積、乱暴に言えば総排気量は60000ccという途方もない大きさになります。しかしこれだけのエンジンを搭載していても、その力は大きくて重い体を動かすためと、アームとバケットを動かして土砂などをすくい上げるために使うものであり、走るための機械ではないので、最高時速はなんとたった2kmです。

さて、これだけ大きな油圧ショベルになると、主にオーストラリアやアメリカ、カナダなど海外の広大な露天掘り鉱山などで使用されているため、日本ではほぼ見ることはできませんが、その活躍の様子はネット動画などを探すと見ることが出来るでしょう。

EX8000の“相棒”であるダsンプカーもまた特大サイズだ。

『トミカ』の『No.25 日立建機 ローディングショベル EX8000-7』は手のひらサイズですが、実際には途方もなく大きい機械なのです。ちなみにこの油圧ショベルで掘り出した土砂は専用の、やはり途方もなく大きなダンプカーで運ぶのが理想的なのですが、実は『No.102 日立建機 リジッドダンプトラック EH3500ACII』がその“相棒”になりますので、一緒にそろえてあげると楽しさが増すことでしょう。『No.25 日立建機 ローディングショベル EX8000-7』はアームが可動し、運転台も回転できる、“遊び”が楽しめる1台になっています。

■日立建機 ローディングショベル EX8000-7 主要諸元

全長×全幅×全高(mm):30510(最大掘削半径+リヤオーバーハング)×11460×9900

ホイールベース(mm):7900(タンブラ中心距離)

トレッド(前後・mm) :8650

運転質量(kg):830000(ローディングショベル時)

エンジン形式:カミンズQSKTA60-CE

総行程容積(cc):60000×2

定格出力(グロス):2×1450kW(1971ps)/1800min-1

         (ネット): 2×1450kW(1971ps)/1800min-1

走行速度(高速/低速)(km/h):2.0/1.4

標準バケット容量(m3):43.0

標準シュー幅(mm):1850

接地圧:250kPa(2.55kgf/cm2)(ローディングショベル時)

旋回速度:3.9min-1(3.9rpm)

最大掘削力(バケット):2230kN(227400kgf) (ローディングショベル時)

            (アーム):2420kN(246800kgf) (ローディングショベル時)

燃料タンク容量(ℓ):14900

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