VWの新型ポロは16インチタイヤがベスト 進化度合いをチェックした

VWポロ Style 車両本体価格:324万5000円
VWのエントリーコンパクトであるポロ(Polo)がマイナーチェンジを受けた。全グレード1.0ℓ直3ターボエンジン+7速DCTというパワートレーンを積む新型ポロ。試乗したのは17インチ(R-Line)ではなく、装備が充実したTSI Style(324万5000円)である。
TEXT & PHOTO:世良耕太(SERA Kota)

どこが変わった? ミニゴルフ化した新型ポロ

全長×全幅×全高:4085mm×1750mm×1450mm ホイールベース:2550mm MMC前と比較すると全長がやや伸びている(バンパー形状の違いで)。

フォルクスワーゲン(VW)のコンパクトハッチバック、ポロがマイナーチェンジした。進化のポイントはまず、エクステリアデザインの刷新だ。インテリアは最新のゴルフを追いかけるようにデジタル化が進み、先進安全技術が大幅に拡充された。ガソリン1.0L直列3気筒直噴ターボエンジンを積むことに変わりはないが、効率の高い仕様にアップデートされ、カタログ記載の燃費値が向上している。

順に見ていこう。試乗したのは、装備が充実したTSI Style(324万5000円)だ。マイナーチェンジ前はヘッドライト部のデイタイムランニングライト(DRL)が波打っていたが、新型はラジエーターグリルと一体感のある直線基調になり、ヘッドライトは切れ長になっている。機能面では全車LEDヘッドライトになったのがニュースで、TSI Styleとスポーツ性を強調したTSI R-Line(329万9000円)は、複数のLEDを個別に点灯・消灯することで最適な配光を実現するLEDマトリクスヘッドライト“IQ.LIGHT”を標準で装備する。

現行ポロは、MQBベースで日本での販売は2018年3月にスタート。これまでトップレンジ(スポーツグレード)のR-Lineのみが1.5ℓ直4だったが、今回のマイナーチェンジで全車1.0ℓ(999cc)直3ターボエンジン搭載となった。
グレード構成はTSI Active Basic:257万2000円 TSI Active:282万1900円 TSI Style:324万5000円 TSI R-Line:329万9000円

新しいポロの顔からはスマートになった印象を受けるが、リヤのほうがもっと印象深い。従来型はこぢんまりしたテールランプを備えていたが、新型は最新のゴルフとの共通性を強く感じる幅広のテールランプを備える。ウインカーは光が流れるように点滅するダイナミックインジケーターになった(フロントのウインカーもLEDだが、一般的な点滅)。

そう見えるように狙ったのだろうが、最新のポロは、“ひとまわり小さなゴルフ”の佇まいだ。寸法を比べてみよう。全長はゴルフの4295mmに対してポロは4085mm(-210mm)、全幅はゴルフの1790mmに対してポロは1750mm(-40mm)、ホイールベースはゴルフの2620mmに対してポロは2550mm(-70mm)だ。ラゲッジルームの容量はゴルフの380L(標準時)に対してポロは351L(-29L)である。

インテリアは一気にモダンになった。アナログだったメーターは全車フルデジタルになり、インフォテインメントシステムは新世代になった(TSI R-Line、TSI Style、TSI Activeにオプション設定)。エアコンのコントロールパネルはアナログ操作式からタッチスライダーコントロールを採用したデジタルパネルになり、その下のコンソールボックスには、スマートフォンのワイヤレス充電機能が備わるようになった。

要するに、最新のゴルフと同等の装備/機能を手に入れたことになる。運転支援/予防安全技術も同様で、同一車線内全車速運転支援システムのTravel Assistの設定が大きい(TSI R-Line、TSI Styleに標準装備)。210km/hまでの速度域でアクセル、ブレーキ、ステアリング操作をアシストする機能で、あらかじめ設定した車速内において、前走車との車間および走行レーンの維持をサポートする。高速道路ではステアリングを軽く握っているだけでよく、長距離ドライブでの疲労軽減につながる。今回の試乗では試していないが、ゴルフと同等の仕上がりだとすれば、大いに頼りになる機能だ。

TSI R-LineとTSI StyleはTravel Assistのほかにも、レーンキープアシストシステムLane Assist、レーンチェンジアシストシステムSide Assist Plus、駐車支援システムPark Assist、パークディスタンスコントロール(フロント/リヤ)、リヤトラフィックアラート(後退時警告・衝突軽減ブレーキ機能)といった、マイナーチェンジ前のポロでは設定がなかったか、設定があってもオプションだった機能を標準で装備する。

EA211”evo“ evoの意味は?

エンジンは、EA211からEA211evoに進化した。圧縮比が10.3→11.4へ。ミラーサイクル燃焼の採用、ターボチャージャーがバリアブルターボジオメトリー機構を搭載する新型に切り替わった。
エンジン形式:直列3気筒DOHCターボ
エンジン型式:EA211evo型
排気量:999cc
ボア×ストローク:74.5mm×76.4mm
圧縮比:11.4
最高出力:95ps(70kW)/5000-5500rpm
最大トルク:175Nm/1600-3500rpm
過給機:ターボチャージャー
燃料供給:筒内燃料直接噴射(DI)
使用燃料:プレミアム
燃料タンク容量:40ℓ

エンジンは前述したとおりガソリン1.0L直列3気筒直噴ターボを搭載する。マイナーチェンジ前はEA211型を搭載していたが、マイナーチェンジ後の新型はEA211 evoとなる。「evo」の名称が示すように進化版で、高膨張比サイクルのミラーサイクルと、可変容量ターボを適用したのが技術的なハイライトだ。

最高出力70kW(95ps)/5000-5500rpmのスペックはまったく変わっていない。175Nmの最大トルクも変わっていないが、発生回転数が2000-3500rpmから1600−3500rpmとなり、低い回転数で最大トルクに達している。変化が大きいのは燃費で、WLTCモード燃費は16.8km/Lから17.1 km/Lに向上している。高速道路モードは18.8 km/Lから19.7 km/Lへと4.8%も向上しており、高速道路を使った長距離移動での恩恵が大きそうだ。

実はEA211 evoのエンジン本体はゴルフのeTSI Active Basic(301万7000円)とeTSI Active(323万8000円)と同じである。スペックは異なっており、ゴルフのEA211 evoは81kW(110ps)/5500rpmの最高出力と200Nm/2000-3000rpmの最大トルクを発生する。車重はポロTSI Styleが1170kgなのに対し、ゴルフeTSI Active BasicとeTSI Activeは1310kgだ。

スマートフォンワイヤレスチャージジング

運転時の体感上、ポロとゴルフのEA211 evo搭載車で大きく異なるのは、ゴルフが48Vマイルドハイブリッドシステムを搭載していることに由来する。アイドルストップからの再始動は、スターターモーターでキュルキュルと始動するポロより、ベルト駆動式スターター/ジェネレーターで始動するゴルフのほうが、静かでスムーズだ。再始動の反応もよく、洗練されている。それに、ハイブリッドシステム搭載のゴルフはアクセルオフ時にエンジンが頻繁に停止してコースティング状態になるため、そのぶん静かで燃費がいい。WLTCモード燃費はポロを上回る18.6km/L(高速道路モードは20.6km/L)だ。

ポロの魅力はそのサイズだろう。全幅は40mmしか違わないが、乗り比べてみれば違いは歴然としており、ポロのほうが断然、気を使わない。210mmの差がある全長の違いも大きく、扱いやすさはポロのほうが格段に上だ。気になるのは後席の居住性だろうが、身長184cmの筆者が運転席に座った状態で後席に移動しても、膝が前席シートバックと干渉して窮屈ということはない。充分に使える後席というのが、筆者の印象だ。ラゲッジルームの容量に関しても決定的なハンディを感じない。

タイヤ:195/55R16 銘柄はコンチネンタル Conti Premium Contact

215/45R17サイズのタイヤを履くTSI R-Lineの脚は「硬い」との感想を小耳に挟んだが、195/55R16サイズのタイヤを履くTSI Styleの乗り味は「最高」である。国産/輸入車を問わず、Bセグメントに属するクルマのベストではないかと感心するほどに「いい乗り味」だ。旋回、加速、制動の動きに合わせて遅からず、敏感にすぎず、車体はしなやかに姿勢を変えるし、路面からの入力はゆっくりしたものであっても、強くても、しなやかにいなす。おかげで運転が楽しいし、終始快適だ。

マイナーチェンジ版のポロは、化粧直しをしつつ最新の技術入れただけの進化ではない。数字には表れない動きの質の向上についても間違いなく手が入っており、一段といいクルマに成長している。

最小回転半径は5.1m トレッド:F1520mm/R1500mm ラゲッジスペース351ℓ(1125ℓ)
VWポロ Style
全長×全幅×全高:4085mm×1750mm×1450mm
ホイールベース:2550mm
車重:1170kg
サスペンション:Fマクファーソンストラット式 Rトレーリングアーム式
エンジン形式:直列3気筒DOHCターボ
エンジン型式:EA211evo型
排気量:999cc
ボア×ストローク:74.5mm×76.4mm
圧縮比:11.4
最高出力:95ps(70kW)/5000-5500rpm
最大トルク:175Nm/1600-3500rpm
過給機:ターボチャージャー
燃料供給:筒内燃料直接噴射(DI)
使用燃料:プレミアム
燃料タンク容量:40ℓ

トランスミッション:7速DCT
駆動方式:FF
WLTCモード燃費:17.1km/ℓ
 市街地モード 12.9km/ℓ
 郊外モード 17.5km/ℓ
 高速道路モード 19.7km/ℓ
車両本体価格:324万5000円

著者プロフィール

世良耕太 近影

世良耕太

1967年東京生まれ。早稲田大学卒業後、出版社に勤務。編集者・ライターとして自動車、技術、F1をはじめと…