MAZDA3 e-SKYACTIV-X搭載モデル長期レポート | X Black Tone Edition & Burgundy Selectionもディテールまで味わう

マツダSKYACTIV-Xは進化し続けているか? X搭載のMAZDA3 4WDの6MTと6ATを徹底試乗

Xバーガンディセレクション 4WD/6AT  車両価格:376万5463円 op込み価格392万9343円
e-SKYACTIV Xを搭載するMAZDA3に連続して試乗した。Smart Edition、Black Tone Edition、そしてBurgundy Selectionである。FF、4WD、MT、ATで最新のe-SKYACTIV Xを堪能した。その進化は続いているか?
TEXT & PHOTO:世良耕太(SERA Kota)

新世代ガソリンエンジンのe-SKYACTIV Xを搭載した最新のMAZDA3ファストバックに乗った。といっても現在、マツダ公式ホームページのMAZDA3のコーナーには現行モデルの注文受付を終了した旨のメッセージが掲載されており、近い将来に商品改良が行なわれることを示唆している。次回の商品改良(もしくは一部商品改良)は2021年10月28日以来ということになる。

前回の一部商品改良では、e-SKYACTIV X搭載車に新機種のSmart Edition(スマートエディション)が追加され、すべてのパワートレーン搭載車に特別仕様車のBlack Tone Edition(ブラックトーンエディション)が追加された。また、新外板色のプラチナクォーツメタリックが追加されている。

Xブラックトーンエディション 4WD/6MT

MAZDA3 FASTBACK X BLACK TONE EDITION(4WD 6MT) 車両価格:348万1500円 op込み価格368万3880円

今回試乗したのは、Xブラックトーンエディションだ。オプションでドライビング・ポジション・サポート・パッケージ(6万6000円:運転席10Wayパワーシート&ドライビングポジションメモリー機能+運転席&助手席シートヒーター+ステアリングヒーター)や360°セーフティパッケージ(AT車)(8万6880円:360°ビュー・モニター+ドライバー・モニタリング)を装備しており、筆者が2021年に購入したX PROACTIVE Touring Selectionと同等の装備内容となっている。6速MTかつAWD(四輪駆動)であることも同じだ。筆者のMAZDA3は2020年11月の商品改良版なので、試乗車には約1年分の技術進化が反映されていることになる。

どこが変わった? どう進化した?

e-SKYACTIV X搭載車のブラックトーンエディションは、ドアミラーがグロスブラック仕上げになり、シートにレッドステッチが施され、追従走行時のステアリングアシスト機能を指すクルージング&トラフィック・サポート(CTS)が追加される。1.5Lと2.0Lガソリン、1.8Lディーゼルのブラックトーンエディションの場合はグレーメタリック塗装のホイールがブラックメタリック塗装になるのだが、e-SKYACTIV X搭載車はもともとブラックメタリック塗装のホイールを装着しているので、この点での変化はない。むしろ、X以外のエンジンを搭載する機種がXと同じホイールを装着するのが、ブラックトーンエディションの特色である。

2021年10月28日に行なわれた一部商品改良のポイントとして、ターンランプがCX-30で採用済みのディミングターンシグナルになったのも大きい。パッと光ってジワッと消える、鼓動を打つような生命感ある点滅の仕方が特徴で、最新のMAZDA3であることがひと目でわかる変更だ(ターンランプ作動時に限られるが)。メーターに表示される矢印もディミング(ゆっくり消灯)するので、ターンランプ作動時は最新の仕様に乗っていることが実感できる。試乗時はたびたび、先行車や後続車のボディに反射する光でディミングターンシグナルを実感した。変化がわかりやすく、最新のMAZDA3に乗っている実感が湧く。

ポリメタルグレーメタリックのボディカラーを見慣れた目には、プラチナクォーツメタリックのボディカラーは上品に映る。ただし、ブラックトーンエディションなのでドアミラーも黒く、上品ななかにも引き締まった精悍さを宿しているように感じた。なかなかいい組み合わせだと思う。

マツダ独自技術の火花点火制御圧縮着火(SPCCI)により気持ちのいい走りと環境性能を両立した新世代ガソリンエンジンのe-SKYACTIV Xは、吸排気エンジンサウンドを進化させている。具体的には、「吸気口やサイレンサーの部品を変更し、加速時のエンジンサウンドを強調」「シフトアップごとに変速のタイミングとサウンドの変化がシンクロすることで、停車時から発進加速するシーンでリズムよく変速する気持ち良さを高めた」と説明している。

もっと詳しく知りたいので問い合わせたところ、商品広報チームを通じて開発技術者から次のような回答が返ってきた。

吸気サウンドを強調させる吸気部品の変更

  1. エアクリーナー容量を変更
  2. フレッシュエアダクト通路径を変更
  3. サウンドを強調する開口部を追加
    →アクセルを踏むと吸気の流れが増し、燃焼によるトルクが上昇(排気の流速とエネルギーの増加が発生)
    →吸気の流れの増加を音の大きさの変化としてドライバーに伝えること(アクセル操作からエンジン音を知覚するまでの応答性がアップ)で、アクセルを操作した瞬間からエンジンを操っている感覚を味わえるようにした

排気サウンドを強調させる排気部品の変更

  1. プリサイレンサー容量を変化することで高い周波数を強調
  2. メインサイレンサー:200Hz付近、400〜600Hzを共鳴させる仕様に変更
  3. 吸気サウンド:低回転域を強調
    しっかりアクセルを踏んで加速したとき、トルクの増加にマッチした音量と音色(周波数)を吸気サウンドと排気サウンドによって作り出し、「低〜中回転域で力強く加速が持続する印象のサウンド」を表現
    エンジン回転数の上昇に伴い、高い周波数域の音が強調されるサウンド特性にすることで、「高回転まで伸びやかな感覚を感じとりながら加速」できるようにした。
    シフトアップごとに変速のタイミングとサウンドの変化をシンクロさせるチューニングにより、「停車時から発進加速するシーンで、リズム良く変速する気持ち良さ」を高めた。

これらの変更は、MT車/AT車に共通だ。かなり大がかりな変更が施されていることがわかる。アクセルペダル操作に対する音の反応の良さと音色・音量を作り込み、気持ち良さを高めようというわけだ。

筆者の感想を目にしたら、開発に取り組んだ技術者は「張り合いないなぁ」と落胆するに違いない。筆者は鈍感なんだと思う。「なんだよ、今までと全然違うじゃん!」と感激するほどの違いを感じ取ることはできなかった。といって、「前のほうが良かった」と感じることもなかった。筆者が乗っている改良前の仕様と同様、最新の商品改良版も抜群に気持ちがいい。もともと優れた状態にあったものに磨きをかけたということだろう。アクセルペダル操作に対する音の反応の良さと音色は、相変わらず、e-SKYACTIV Xの大きな価値だ。

改良されて6MTの6速のギヤ比が変わった。高速巡航での燃費に効くのだろう。

サウンドの進化に関しては自分の鈍感さを呪うしかないが、エンジン回転数の違いはすぐにわかった。100km/h走行時のエンジン回転数は明らかに、改良前の仕様より低くなっている。改良前の筆者のMAZDA3は2500rpmのちょっと下あたり(2420rpm近辺?)をエンジン回転計の針は示しているが、商品改良版は2300rpmあたりを指している。諸元表をチェックしてみたところMT車は6速のギヤ比が変更されており、改良前の0.680から、改良後は0.645になっていた。6速AT車の100km/h走行時のエンジン回転数はメーター読みで2200rpm近辺なので、AT車に近づいた格好だ。

走りよりも燃費のための6速ギヤ比の変更だろう。5速から6速へのステップが大きくなったことに対してネガティブな変化は感じられなかった。新旧を比較してみれば、旧のほうが高速域で6速に入れたまま加速する際は元気に感じられるが(回転数が高いので当然だろう)、初めてe-SKYACTIV XのMT車に触れる人は、違和感なく受け入れるように思う。

e-SKYACTIV X搭載車は1年間の間に燃費性能が大幅に向上しており、MTとAWDの場合、筆者の仕様でWLTCモードは17.1km/Lだった。2021年10月の一部商品改良版のMT&AWDは17.7 km/Lへと3.5%向上している。今回の試乗では約230kmを走行したにすぎないので決めつけるわけにはいかないが、燃費面でのポジティブな変化は明確には感じとれなかった。筆者はどうも差分を感じ取るのは苦手とみえる。言い訳のように付け加えておけば、気持ち良く走って燃費がいいe-SKYACTIV X搭載車の特徴に変わりはない。

e-SKYACTIV X[old]

e-SKYACTIV X[new]

e-SKYACTIV X[old]

e-SKYACTIV X[new]

エンジンルームを覗いたときの変化には気づいた(物理的な違いはわかりやすい)。フロントグリルからエアクリーナーまでフレッシュエアを導くダクトに付いていた温度センサーが一部商品改良後のモデルではなくなっている(センサーの有無とともにフレッシュエアダクトの容量の違いにも注目)。点火プラグの火花に頼らない自着火を成立させるには温度の管理が非常に重要。そのため、e-SKYACTIV X には“保険“の意味も込めて吸気系の最上流に温度センサーを設置していたのだが、開発が進んだことにより、なくても吸気の状態を精度高く推定できるようになった。そのため、温度センサーを取り去ることにしたのだという。

著者プロフィール

世良耕太 近影

世良耕太

1967年東京生まれ。早稲田大学卒業後、出版社に勤務。編集者・ライターとして自動車、技術、F1をはじめと…