あおりはあおりでも「煽り運転」じゃない、もうひとつのアオリ運転にご注意!【運転マナー】

左折なのに、反対の右側に大きくハンドルを切ってから曲がるのが、第二の「あおり運転」だ。気づかぬうちにこれをしてしまっている人も多い。
社会問題化までした煽り運転。法律が改正されたり、ドライブレコーダーが一気に普及したため、以前と比べると、減少の傾向もみられる。しかし、もうひとつの「あおり運転」は減るどころか、増えている印象すらある。増えている「あおり運転」とはいったい何なのか?
REPORT:近藤暁史 PHOTO:高橋 学

「あおり運転」とは、いわゆる逆振りのこと。反対側にハンドルを一回あおってから曲がるので、第二のあおり運転とも呼ばれたりする。以前から迷惑というか、ヒヤッとさせられるものとして問題視されていたし、SNSの投稿が大いに話題になったりした。どういった運転なのか、詳しく紹介すると、起こるのは左折がほとんど。日本は左側通行なので、右折よりも左折がタイトになりがちなので左折が多い。そして曲がる瞬間に一瞬、反対側、つまり右に切るのが特徴だ。

ビックリするのはもちろん当事者ではなく、横を直進して抜けるクルマのほう。さらにバイクはより接近することが多いこともあるし、生身むき出しだけによりドッキリとする。正直、跳ね飛ばされるのではないかと思うこともあるほどだ。

では、なぜこのようなことをするのか。クルマ好き、運転好き。もっと言ってしまえば一般常識からすると、最初から左に切って曲がればいいのでは? と思う。問題になるまでは、実際でも普通にスッと左折していた。反対にあおってから曲がるのはラリーぐらいのもんだった。と、冗談は別にしても、まさに尻を振り出すラリー車のような走りではある。

理由はいくつかあって、まずは車体が大きくなったこと。5ナンバー枠に収まるクルマがドンドンと減っていることからもわかるように、確かに最近のクルマは大きい。サイズが大きいとなると、反対側、つまり左側が見えにくくなるわけで、内側がぶつかるのでは……、という不安を感じて角から一回離れるというのが理屈だ。教習所で習った曲がるときは路肩側に寄せるというのもできないクルマは実際に多いように感じる。

さらに単純にサイズが大きくなっただけでなく、衝突安全性確保のためもあって、ボディが分厚くなっているのも関係しているだろう。極端な言い方をすると、最近のクルマはバスタブに使っているような感じで、周囲が確認しにくいのは事実。そうなると、やはり左側が確認しにくくなるので、一旦離れて余裕を確保するということになる。

そしてもうひとつの大きな理由が、ハンドルの握り方だ。厳密に言うと、握り方ではないのだが、最近増えているのがいわゆる「あんちゃん握り」。右手をハンドルの一番上に乗っけているだけというのが急激に増えている。パワステなので片手で回せるというのがあるのだろうか。アイコスや、ひどい場合はスマホを左手に持っていたりもして、姿勢も傾いていることも多々あり。いずれにしても変なドラポジだ。

写真ではハンドルを握っているけれど、手をハンドルに乗っけているだけという人も、けっこう多い。

もちろんステアリングを回すときも片手になるのだが、この際、右に切るのは引くように回せばいいので、人体の動きの特性上、すんなりとはできる。逆に左に切る場合はいきなり押すようにしなくてはならず、力が入らず腕が突っ張るようになって滑らかに切るのはかなり難しい。試しにやってみるとわかるが、力が入らず、ギクシャクしがちだ。

これを防止するためには右方向に引っ張るように少し回してから、左に切ると勢いが付くのでスムーズに曲がることができる。つまりあおり運転そのものだ。右にフェイントをかける時点でスムーズもなにもないが、理由としてはのふたつが大きいだろう。以前聞いたところでの少数派的な意見としては、「なにかテクニックを使って曲がった気がする」というのもあったが、これは冗談抜きでラリーのようにお尻を振り出すためということになる。もちろんただの気分だ。

いずれにしても、曲がるときは路肩に沿ってスッと曲がるのが基本。意味もないハンドルのあおりは周囲をヒヤッとさせるだけでなく、重大事故にならないにしても衝突することもありうるだけに、やらないようにしたい。そもそもステアリングは添えるようにして両手で操作するものということは忘れないでほしい。

左折時に「逆ハン」を切ると後続車にとっても危険。路肩に沿って大回りすることなくスムーズに小回りで曲がりたい。

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近藤 暁史