マツダ・ロードスターに2.0Lモデル追加の可能性はあるのか?噂の根拠は?

マツダ・ロードスターのソフトトップモデルに2.0Lエンジンが追加されるらしい……。マツダからの公式発表は一切ないのだが、巷ではそんな噂がささやかれている。噂の出処となった「いくつかのヒント」を整理しながら、2.0Lエンジン投入の可能性について考えてみた。
TEXT&PHOTO:工藤貴宏(KUDO Takahiro)

巷で噂されている、2.0Lエンジン追加の真相は…?

ロードスターのソフトトップモデルに2.0Lエンジンが本当に追加されるのだろうか?
結論から言えば、筆者は真偽を知らない。
しかし、いくつかのヒントはある。そこで今回はヒントを整理しながら期待を込めて妄想してみようと思う。

まず状況を説明すると、現時点でロードスターのソフトトップモデルの日本仕様は全モデルが1.5Lを積んでいて、2.0Lエンジンの搭載がない。いっぽうで北米仕様などは2.0Lモデルの設定がある。
この2.0Lエンジンは日本でも電動格納式ハードトップを組み合わせた「ロードスターRF」に積んでいるものだから、日本で販売するにあたってハードウェア的な障壁はないはずだ。
つまり「日本でも出そうと思えばいつでも出せる。あとは決断だけ」の状態といえる。

北米仕様のロードスター(輸出名:MX-5 Miata)は、低中回転域のトルクを重視する地域柄にあわせて、日本で販売されている「ロードスターRF」の2.0Lエンジンを搭載している。

「追加される」噂の根拠と「出せない理由」とは?

では「追加される」と噂される根拠はどこにあるのか?
もっとも有力なのは、ロードスターの現在の開発主査を務める斎藤氏のコメントだろう。ロードスターに関しては、開発者とファンとの距離を近づける目的もあって各地のロードスターイベントで開発者のトークショーが行われている。今年に入り、とあるファンイベントで斎藤氏が、
「みなさん、ソフトトップの2.0Lモデルが欲しいですかね?」という問いかけをしているのだ。
彼は「追加します」とは一言も言っていない。しかし、それを匂わせる発言であることは疑いようがない。少なくとも彼にとっては2.0Lモデルの追加も視野に入っていると判断していいだろう。
「火のない所に煙は立たぬ」というが、小さいながらも火種はあるというわけだ。

いっぽうで「出せない理由」はどこにあるか?
もっとも高いハードルは、ND型と呼ばれる現行ロードスターの発売時に当時の開発責任者だった山本氏が
「日本では2.0Lモデルは展開しない。なぜなら1.5LこそがNDロードスターにとってベストバランスだから」
と宣言しているからだ。
「出さない」と言ってしまった以上、マツダとしてそれを撤回するのは難しいのもわからなくはない。

2.0Lエンジンは2018年のアップデートで、最高出力は184ps/7000rpm、最大トルクは205Nm4000rpmとなり、従来から26psも向上した。エンジンのレブリミットは6800rpmから7500rpmへと引き上げられ「高回転も気持ちいいエンジン」に進化している。

1.5Lモデルと2.0Lモデルにはそれぞれの良さがある。

ところで、2.0Lモデルの魅力はどこにあるのだろうか?
それは動力性能だ。1.5Lモデルの最高出力は132psで最大トルク152Nmだが、2.0Lは184p/205Nmとパフォーマンスは大きく上回る。
筆者は北米でソフトトップの2.0Lモデルに試乗したことがある。その時に感じたのは、1.5Lモデルだと峠道の上り坂などで「もうちょっとパワーが欲しいな」と思う状況もあるけれど、2.0Lモデルならそう思わずに済むということだ。控えめに言って、とても魅力的である。
ちなみに日本では1.5Lなのにアメリカで2.0Lエンジンを用意した理由について、デビュー当時の開発陣は
「アメリカは低中回転域のトルクが求められるからです。それを解決するには排気量を上げるしかない。しかし、日本では高回転の爽快感が求められますよね。それは1.5Lのほうが味わえます。軽快に走るのは1.5Lモデルです。」と説明していた。

2.0Lエンジンのトルクを活かした加速力は、1.5Lエンジンにない魅力的なポイントだ。

実は、デビュー当初の2.0Lエンジンは高回転の軽快感に欠ける面も確かにあったので、その説明は説得力のあるものだ。しかしその後、2018年のマイナーチェンジで2.0L(日本では重量増に対応するためRFに搭載)はピストンやコンロッドなど回転系部品を中心に大規模なリファインを受けて高回転のフィーリングを向上。レブリミットを700回転上げた7500回転としたほか、全域のトルクアップで高回転のパワーを上げて“高回転も気持ちいいエンジン”としたのだ。今回、この記事を書くにあたって最新のRFで2.0Lエンジンを改めて試乗してみたが、エンジンの爽快感はしっかりと備えていた。
だから、いまの2.0Lエンジンならばデビュー当時の開発陣も納得するのではないだろうか。
もちろん、エンジンをビンビンに回して楽しむ、車体のひらひら感を楽しむ、というある意味ロードスターの原点ともいえるドライビングプレジャーは1.5L車が濃く、対した2.0L車はパワーに合わせたて締め上げたサスペンションもあってその雰囲気が控えめになっているのもまた事実だ。しかし、ユーザーが自分の好みで選択できるようにすればいいのではないかと思う。

その時は、マツダはこう説明すればいいのではないだろうか?
「確かに、ND型のデビュー当初は日本には2.0Lモデルを展開しないと説明しました。マツダとしては『ソフトトップには1.5Lがベスト』という考えかたは変わっていません。しかしながら多くのロードスターファンから2.0Lモデルを求める声があり、また2.0Lエンジンが進化してロードスター開発陣も納得できる気持ちよさを得られるようになったことで、日本でも発売することを決めました。繰り返しますが、1.5Lがベストという考えは変わっていません。しかし、よりパワーが欲しいというお客様には2.0Lも選んでいただけるようにすることで、好みに応じて選択していただければと思います。もちろん、すでに1.5Lモデルにお乗りいただいているファンの皆様が2.0Lへ乗り換えるのも大歓迎です。」
これなら、ファンも納得すると思うけれど。
ちなみに、筆者も2.0Lのソフトトップ車を待ち望んでいる一人だ。

次期型ロードスターのハイブリッド化は既定路線

ちなみに、次期型ロードスターはマイルドハイブリッドになるというのが既定路線だ。現行型はデビューから7年がたつのでそろそろフルモデルチェンジに向けて動き出してもおかしくはないのだが「モーターを加えざるを得ない状況になるまで、現行型を引っ張れるだけ引っ張る」という方針らしい。となると、「990S」や「KPC」に続く次のカンフル剤はやはり2.0Lではないだろうか。果たして?

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工藤 貴宏 近影

工藤 貴宏

自動車ライターとして生計を立てて暮らしている、単なるクルマ好き。

大学在学中の自動車雑誌編集部ア…