ラリー界の親子鷹
ロバンペラの父、ハリ・ロバンペラは1990年代後半から2000年代中盤にかけて、セアト、プジョー、三菱でワークスドライバーとして活躍。同じフィンランド出身のマーカス・グロンホルムの影に隠れがちだったが、プジョー時代の2001年スウェーデンでは、自身初そして唯一のWRC勝利を手にしている。カッレは父が叶えられなかった夢を、世代を跨いで実現したかたちだ。
コリン・マクレーの父、ジミー・マクレーは世界レベルでは結果を残せなかったが、英国選手権において5度のタイトルを獲得。マクレー家はコリンの弟、アリスターもヒョンデや三菱のワークスドライバーとして参戦。さらに、アリスターの息子マックスが、2023年シーズンからWRCの若手育成カテゴリー「ジュニアWRC」へのステップアップも決めた。マックスが父親アリスター以上に活躍すれば、マクレー家は3世代にわたって、トップドライバーを輩出することになる。
今シーズンはいまだ未勝利、先日のラリーニュージーランドでも派手なクラッシュを演じてしまったエルフィン・エバンスも、実は二世ドライバー。彼の父、グウィンダフ・エバンスもWRCでは目立った活躍はしていないが、1980年代から1990年代の英国選手権において幾度となく勝利を飾り、1996年にはチャンピオンの座も得ている。
先日、ヒョンデからの離脱が発表されてしまったが、カッレ・ロバンペラに続くスター候補として期待されているのがオリバー・ソルベルグ。彼の父は、2003年にスバルでWRCドライバーズ選手権タイトルを獲得したペター・ソルベルグである。また、母のパニラ、祖父のパー-インゲ・ワルフリッドソン、そして叔父のヘニング・ソルベルグもラリードライバーであり、オリバーもまた3世代にわたるラリー一家出身だ。
ペターはオリバーが参戦するラリーには必ず帯同しており、ヒョンデのサービスで熱心に話し合う様子がたびたび目撃されている。ヒョンデの育成方針にたびたび意見していたと言われており、チームからは煙たがられていたとの噂も・・・?
セバスチャン・ローブ、セバスチャン・オジエに続く存在として、フランスから期待を集めているのがピエール-ルイ・ルーベ。彼の父は、1980年代にターマックスペシャリストとしてランチアやトヨタで活躍したイブ・ルーベだ。WRC勝利こそないが、特にツール・ド・コルスで見せた切れ味鋭いスピードは、息子のピエール-イブにも受け継がれている。
最後にご存じ勝田貴元の父、勝田範彦は現役で活躍中。2021年の全日本ラリー選手権では、GRヤリスを駆り、自身9度目となる全日本王座に輝いた。勝田範彦はラリージャパンへの参戦も表明しており、世界の舞台で初の親子共演が実現することになる。