目次
シカやクマなど大型動物との衝突事故は、人身事故になることも。
秋は野山の動物たちが活発になる時期です。冬を越す準備簿ため、餌を探しに人間の生活エリアに出てくることも多くなります。もし、クルマを運転中に野生動物に衝突してしまった場合、どのように対処するのが正しい方法なのでしょうか?もしもの時に備えて、事前に対処法を知っておくと、実際に事故やトラブルが発生した場合でも、パニックにならず冷静に対処できる可能性が高まりので確認していきましょう。
「動物注意」の道路標識があったら速度は控えめに。
クルマによる野生動物の死亡事故を「ロードキル」と言います。野生動物が出没する危険が高い道路には、ドライバーへの注意喚起のために「動物が飛び出すおそれあり」という警戒標識が設置されています。こうした警戒標識を見たら速度を抑え、動物の飛び出しに注意して走行しましょう。なかでも、シカやクマなど大型動物との衝突事故は非常に危険で、クルマが破損したり、乗員が負傷する人身事故につながる恐れもあります。
高速道路では野生動物に遭遇しても、急ハンドルは避ける。
高速道路も山中に建設されることが多いため、ロードキルが多発しています。2014年にはNEXCO東日本管内の高速道路で約19,800件のロードキルが発生していて、最も多いのはタヌキの43%で、次いで鳥類が29%となっています。動物侵入防止柵の設置、道路の下に“けもの道”の確保など、さまざまな動物侵入防止対策を行っていますが、それでも万全とはいきません。
一般道よりも速度が高い高速道路では、動物との衝突や回避時に被害が大きく、深刻な事故につながります。野生動物に遭遇しても急ハンドルは避けてください。もし、ブレーキだけで回避できない場合は、よほどの大型動物でない限りまっすぐ衝突するのが安全な方法です。事故件数の多いタヌキは夜行性動物で、特に夜間から早朝の遭遇率が高まるので注意が必要です。ハイビームにすると遠方でも動物の目が光って発見しやすくなるので、状況によってハイビームを積極的に使ってください。
衝突した動物を病院に運んだ場合、治療費はドライバーの負担になるので注意が必要
野生動物と衝突してしまったときは、そのまま放置しないで、事故の発生を警察や高速道路の道路緊急ダイヤルに被害状況などを連絡します。クルマが破損するなどで、任意保険を使う場合は事故証明が必要となるので警察に通報しましょう。
次に、衝突した動物が生きている場合は、衛生面や安全面から素手で動物に触らないよう注意してタオルやダンボール等で保護し、動物病院や保護施設に運びます。動物が暴れたりなど保護が難しい場合は、動物病院や保護施設に連絡して指示に従ってください。基本的に治療費はドライバーの負担になるので注意が必要です。
動物が死亡している場合は、素手で触れないようにして、できるだけ交通の妨げにならないよう動物を路肩に移動させます。動物は道路管理者または自治体が処理します。なお、高速道路等や幹線道路で轢かれた動物を発見したときは、二次事故防止のためにも、道路緊急ダイヤル「#9910」に連絡してください。全国共通で、固定電話と携帯電話からの通話は無料です。
野生動物との衝突事故で車両が破損した場合は単独事故扱いとなります。自賠責保険では物損は補償対象外なので、車両の修理には任意保険の車両保険を使うことになります。運転者や同乗者が負傷した場合は、人身傷害補償や搭乗者傷害で補償されます。対向車や歩行者に被害を発生させた場合も対物賠償責任保険や対人賠償責任保険などで補償されます。ただし契約内容によっては保険が使えない場合もあるので、詳細は保険会社に問合せてください。