秋空をブルーインパルスが舞う! 基地祭シーズン最盛期。天候にも恵まれた「エアフェスタ浜松2022」【自衛隊新戦力図鑑|航空自衛隊】

浜松基地上空を舞うブルーインパルス。彼らの舞台はやはり青空。雨に泣いた松島基地祭や曇りがちだった小松基地祭を思い出し、航空祭というものは晴れてナンボだと痛感する。
秋本番、航空自衛隊の基地祭シーズンは最盛期を迎えた。空自の重要拠点・浜松基地でも「エアフェスタ浜松2022」が開かれた。もちろん空自アクロチーム「ブルーインパルス」も展示飛行を行なった。晴天の下、大観衆が多数の空自機による渾身のフライトに熱中する、そういった従来の航空祭の情景がよみがえったようだ。感染対策しながら、浜松の青空を見上げた一日である。

TEXT&PHOTO:貝方士英樹(KAIHOSHI Hideki)

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徐々に従来の航空祭へ……

2022年10月23日、航空自衛隊浜松基地(静岡県)で「エアフェスタ浜松2022」が開催され、中等練習機T-4や戦闘機F-15J、F-2、救難機などが参加。ブルーインパルスも展示飛行を披露した。
今回の浜松基地祭は事前申し込み・抽選制ではなく、基本的に無制限で入場することができたが、これまでのコロナ禍で入場制限を設けた各基地の様子とは異なった現在の感染状況を反映した運営がみられた。

新しい開催様式として、入場には浜松市が運用するLINEアプリを活用した「はままつLINEコロナ見守りシステム」への登録が必要となったのだが、入場門であわててアプリをインストールする光景も多く見られた(スマホ等を持たない方は連絡先などを書面で記入するなどの手続きもあったようだ)。
アウトドアイベントではあるものの感染対策は必要、というのが現況といったところか。

ともあれ航空祭は盛況で来場者数は5万人だったという。場外での観衆も多く、会場の内外で大勢の人々が基地上空を見上げた。

6機で三角形のデルタ隊形を成し、大きなループで浜松基地上空を舞うブルーインパルス。

今季最高の晴天!

浜松祭は今季最高の晴天に恵まれたと思う。絶好のコンディションはパイロットたちの士気を高めたか、デモフライトはどれも「熱い」内容で、見学満足度は大きかった。

浜松祭のプログラムは、昼過ぎにオープニングフライトが行なわれ、次に救難機U-125A・UH-60Jの救難展示、そして中等練習機T-4や戦闘機F-15J、F-2それぞれの「機動飛行」が行なわれた。そして最後にブルーインパルスの曲技飛行の披露。
各機のデモ飛行は各々気合いの入った内容だった。

浜松基地に置かれた第1航空団所属の中等練習機T-4の離陸。浜松基地の南側、誘導路や滑走路に沿う場外地域は航空写真愛好家たち「撮影ガチ勢」のメッカとなっている。

U-125Aは大きなバンク角度での低空急旋回を見せ、遭難者を発見した場合の対応具合を想像させた。T-4は軽快かつ高速での連続した動きに目を見張る。ブルーインパルス機のベースになるのも納得だ。
F-15J戦闘機といえば、大パワーを空間に叩きつける猛烈な加速と急旋回! 大型機体が見せる急激な姿勢変化には凄みを感じる。轟音を浴びる感覚も久しぶりだ。

アフターバーナーを焚いて機動飛行中のF-15J戦闘機。飛行開発実験団(岐阜基地)の所属機。

一方のF-2は切れ味鋭いクイックな動きが圧倒され、自由自在に機体を振り回しているのが印象的だった。
急角度で上昇し、黒みを帯びた高空へ昇り詰めるさまを見るのは爽快なものだ。大馬力軽量車体のスポーツ車がタイトな峠道を瞬時に駆け上がってゆく姿を連想した。

機体を大きくバンクさせて旋回中のF-2戦闘機。派手なカラーリングの機体は同じく飛行開発実験団所属機。

プログラムの最後はブルーインパルスの展示飛行。上空は風が強くなっていたようだが、曳いたスモークが消し飛ぶほどでもなく、空のコンディションは良好なまま。
空を大きく使って複数機でループを描き、5番・6番機はソロ・アクロの曲技を見せる。

浜松基地の南側には耕作地が多い。生育途中の白菜と思われる野菜が植えられた畑地帯の上空を航過するブルーインパルス。

後半には5機で星の形を描く課目「スタークロス」や、2機で空にハートを描き別の1機が中心を射抜く、人気の課目「キューピッド」などを披露した。
青空に白い機影とスモークの航跡が作る鮮やかなコントラストはやはり素敵だった。

人気の課目「キューピッド」は、5番・6番機がループ飛行でハートを描き出し、4番機が中央部を貫いて完成する。中心を射抜くように見せるためのスモークのタイミングは、かなりの難易度なはず。
5機で星形を描く「スタークロス」。5機が互いのスモーク開始点へ向け直線飛行することで空に巨大な星が描かれる。5機は星を描く前段階で垂直上昇し上向き空中開花を行なっており、星の中央部に残るスモークがその上向き空中開花の名残り。大きな星形に感嘆の声が上がるが、中央の名残りのスモークがなにかのカタチに見える(虫や鳥? 星と合わせて人の顔?)と指摘する声もあがっていて面白かった。

さて、今後のブルーインパルス展示飛行スケジュールだが、
・11月26日(土)愛知県政150周年記念行事(愛知県)
・12月4日(日)令和4年度百里基地航空祭(茨城県・百里基地)
・12月11日(日)宮古島分屯基地開庁記念行事(沖縄県・宮古島分屯基地)

これらが予定されている。

また11月6日(日)に東京湾沖(あるいは相模湾?)で行なわれる予定の海上自衛隊国際観艦式でも記念飛行があるようだ。
秋の行楽シーズン、お近くのかたは空を見上げに行ってみてはいかがだろうか。

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著者プロフィール

貝方士英樹 近影

貝方士英樹

名字は「かいほし」と読む。やや難読名字で、世帯数もごく少数の1964年東京都生まれ。三栄書房(現・三栄…