電動強化で余裕の走り! 日産「セレナ」6年ぶりフルモデルチェンジで「LUXION(ルキシオン)」を追加

日産のミドルサイズミニバン「セレナ」が6年ぶりにフルモデルチェンジ。e-POWERを構成する発電用エンジンは従来の3気筒1.2Lから同1.4L新開発のe-POWER専用エンジンに変更。さらには、現在アリアのみに搭載されている高度な安全運転支援技術「プロパイロット2.0」を標準搭載する最上位グレード「LUXION」を設定したことがニュースだ。
PHOTO:井上 誠
新たに設定されたLUXION(ルキシオン)は、最上級グレードという位置付け。唯一「プロパイロット2.0」を標準装備する。

新型セレナは1991年に登場以来、トヨタのノア/ヴォクシーと販売トップを争う人気のミドルクラスミニバンだ。2022年は1月にノア/ヴォクシー、5月にステップワゴンがフルモデルチェンジするなど、ミドルクラスミニバンの発表ラッシュ年であり、11月発表のセレナで、主力ミニバンがすべて新世代に生まれ変わったことになる。さっそくモデルチェンジの内容を見ていこう。


LUXIONの3サイズは、全長4765mm、全幅1715mm、全高1885mm。注目は、ベースグレードでも5ナンバー幅から脱却し、全車ワイドボディ化に思い切ったノア/ヴォクシー、ステップワゴンに対し、セレナはベースグレードを全幅1695mmと5ナンバー幅に収めたこと。加飾で幅広となる上級グレードでも全幅1715mmと、各幅は先代セレナ(1740mm)と比べても非常に控えめ。

発電専用新開発1.4Lエンジンを搭載した第2世代「e-POWER」

発電用エンジンは1.2Lから1.4Lに拡大しただけでなく、e-POWERの発電用として新たに新設計された。

新開発の1.4L e-POWER専用エンジンを組み合わせた第2世代「e-POWER」の搭載によってエンジンの作動音を抑制するとともに、よりパワフルで気持ちの良い加速性能を実現。さらに、車両状態や走行環境に加え、ナビと連携しながらエンジン作動タイミングを制御する世界初のエネルギーマネジメント技術の搭載で、エンジンの作動頻度を低減し、高い静粛性に貢献する。また、遮音性能を大幅に高め、後部座席の乗員とも会話のしやすい静かさを実現している。

高度先進運転支援技術「プロパイロット2.0」をミニバンで世界初搭載

先代からの変化幅はインテリアの方が大きい印象。直線基調のシャープでクールインパネを採用する。

先代モデルでも好評の「プロパイロット」は全車に標準装備。また、「プロパイロット2.0」を、最上位グレード「e-POWER LUXION(ルキシオン)」に標準装備する。これは、最初にスカイラインに搭載、現在はアリアだけに採用されているプロパイロットの進化版で、一部ハンズオフドライブも可能になるなど、長距離運転におけるドライバーの負担を軽減する。

センターディスプレイは12.3インチ。
メーターディスプレイも12.3インチ。エクストレイルとも共通サイズで、いまや日産新型モデルのデフォルトと言える組み合わせ。

前方障害物を回避する際、ドライバーのステアリング操作を支援する「衝突回避ステアリングアシスト」や、一度駐車した場所を駐車枠として記録することが出来る、メモリー機能付きの「プロパイロット パーキング」も日産として初搭載。記録した駐車位置に近づくと、ボタン一つでステアリング、アクセル、ブレーキ、シフトチェンジ、パーキングブレーキのすべてを自動で制御する。

ヒーターコントロールパネルも非常にクールなデザイン。斬新なのは、シフトセレクターが横置きボタン式で組み込まれていることだ。

「e-POWER LUXION」には、リモコン操作で車の出し入れが可能となる「プロパイロット リモート パーキング」を搭載。狭いスペースでの乗り降りや荷物の出し入れをスムーズに行なうことが可能だ。

先進性をアピールするエクステリアデザイン

エクステリアは、先代に比べ、よりシャープになった印象。上質でモダンな要素を取り入れている。「e-POWER LUXION」と、ハイウェイスターは、ダイナミックで力強い走りを想起させるデザインとして差別化。すべてのランプはLED化された。

インテリアも、ラウンディッシュな印象だった先代から一新。シャープなラインとシンプルな面構成で、先進かつ上質な雰囲気に仕上げられている。シフトには日産として初めてスイッチタイプの電制シフトを採用。スッキリとした見た目と分かりやすい操作性に寄与している。ボディカラーは、2トーン4色、モノトーン10色の全14色をラインアップ。

ガソリン車も静かな印象。e-POWERはより電動強化で余裕の走り

セレナはガソリン車需要もかなり高いが、静粛性にも配慮されており、十分おすすめできる。

テストコース内、まずは2.0Lのノンe-POWERのガソリン車でコースインする。 先代セレナは、e-POWERでないグレードにも「S-ハイブリッド」と呼ばれるマイルドハイブリッド車が用意されていたが、e-POWERの人気や普及に伴いという理由か、新型の2.0Lには電動アシストは付かない。直4 2.0Lユニットは自然吸気で150ps、200Nmのスペックだから、特筆するようなスペックとは言えないだろう。

とはいえ、平坦なコースの一人乗車であれば、特段パワー不足を感じることもない。さらに、良い意味で意外だったのは、静粛性だ。電動アシスト車に慣れると、エンジンのみのクルマでは、うるさく感じることもあるし、ある程度それはやむを得ないこと。ところが、それを感じなかった。車体の静粛性対策が効いていると思われる。

続いて本命のe-POWERに試乗した。ガソリン車も同様だが、セレナはまず、足回りがソフトな印象。操安のためにミニバンでもやや固めに味付けする車種も見られるが、セレナはロールも深めでミニバンらしい乗り味だ。

ロールを許容するミニバンらしい乗り味。e-POWERのパフォーマンスアップと上質感の向上は魅力的に映る。

肝心のパワートレーンe-POWERはノート以降、第二世代とも謳われ、発電用エンジンが無闇に掛からない。掛かるとしても気にならないタイミングで掛かるなど、熟成がかなり進んでいる。ガソリン車から乗り換えればもちろん、静かかつトルクフルな加速感で、同じ踏み具合であれば、明らかに出ている速度が違う。

発電用エンジンが新開発の1.4Lに置き替わったほか、モーターもパワーアップしており、例えば勾配のキツい登り坂を走り続けた際にバッテリーが不足気味になり、発電用エンジンが頻繁に始動、という場面も先代に比べかなり改善しているのではないか。最大8名乗車と負荷の大きいクルマだけに、このあたりは公道に出た際に試してみたいと感じられた。プロパイロット2.0の採用も含め、新型セレナは公道で、さらにはツーリングに出てこそ真価を発揮できる一台だろうから、なおさらである。

日産 セレナ e-POWER LUXION


全長×全幅×全高 4765mm×1715mm×1885mm
ホイールベース 2870mm
最小回転半径 5.7m
車両重量 1850kg
駆動方式 前輪駆動
サスペンション F:ストラット R:トーションビーム
タイヤ 205/65R16

発電用エンジン種類 水冷直列3気筒DOHC 
発電用エンジン型式 HR14DDe
総排気量 1433cc
圧縮比 13.0
最高出力 72kW(98ps)/5600rpm
最大トルク 123Nm(12.5kgm)/5600rpm

モーター種類 交流同期電動機
モーター型式 EM57
最高出力 120kW(163ps)
最大トルク 315Nm(32.1kgm)

燃費消費率(WLTC) 18.4km/l

価格 4,798,200円


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