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SUBARUで初のストロングハイブリッド採用
SUBARUの走りへの評価は高く、高い悪路走破性や機動力に寄与するシンメトリカルAWD、低振動という利点を持つ水平対向エンジンがもたらすスムーズさなどにより確固たる地位を築いてきた。一方で、電動化はトヨタとの協業でEVのソルテラを投入するもEVが低調な日本では街中であまり見かけることはない。2013年に初のハイブリッドであるXV HYBRIDを発売した当時の富士重工業はその後、バッテリーや出力特性を変えた現在の「e-BOXER」まで歩んできた。e-BOXERも1モーターのマイルドハイブリッド(MHEV)であり、ストロングハイブリッド(SHEV)は、18年に北米市場にPHEVのクロストレック・ハイブリッドを投入済みであることを考えると、日本では待望の設定だ。
クロストレックの「S:HEV」は、発電用、駆動用の2モーターを備える「THSⅡ」がベースで、プリウスなどに積むトヨタの最新式ではないが、MHEVの2.0Lに対し、ミラーサイクル化した2.5L水平対向、シンメトリカルAWDなど同社らしい技術を多く投入。プロペラシャフトを備える機械式AWDによる安定感のある走破性を備えている。また、オルタネーターやセルスターターがなくなり、補機バッテリーが1つになったことで、エンジン上部にPCUを配置。約2割向上した燃費性能に、燃料タンクを48Lから63Lへと純ガソリンエンジン車と同じ容量にすることで、満タンからの航続距離1000㎞を達成するなど、足の長さも美点だ。今ひとつと指摘されることも多かった燃費を向上させるだけでなく、ストロングハイブリッドならではのスムーズで力強い走り、専用足まわりによる乗り心地の向上なども盛り込んだ。また、電動コンプレッサーと電熱ヒーターの採用によりエンジン停止中や冷間時でも快適性を確保できるのも「S:HEV」の魅力となっている。
外観は専用デザインの18インチアルミホイール、専用デザインの「e-BOXER」エンブレム(S:HEVのロゴやエンブレムは用意されない)くらいでMHEVとの差は少ない。内装はブラックを基調に、ブレイズガンメタリックのアクセントが配されているのが特徴で、ファブリックシートは専用になる(本革はオプション)。ラゲッジは、床下に積むバッテリーの影響で若干床面が高くなり、荷室容量はMHEV 311L(床下4L)に対し、279L(床下1L)と小さくなっている。後席を起こした状態で、ゴルフバッグは3セットから2セットと積載数が減るものの、キャンプなどのアウトドアに対応する積載力をほぼ維持している。
SUBARUらしいシンメトリカルAWDとの組み合わせ
ストロングハイブリッドに合わせた2.5L水平対向エンジンを新開発
ストロングハイブリッドとは?
フルハイブリッドとも呼ばれる。モーターアシストが限られるマイルドハイブリッドに対し、モーター駆動の領域が広く、比較的高い速度域や長時間モーター走行が可能。燃費をはじめ、モーター走行時の静粛性の高さなどの利点がある一方で、コストや重量が嵩む課題もある。代表例はトヨタの「THSⅡ」、ホンダの「e:HEV」、100%電動駆動だがシリーズハイブリッドともいえる日産「e-POWER」、ルノー独自のドッグクラッチを使う「E-TECHフルハイブリッド」など。クロストレックのストロングハイブリッドは、新デザイン(新フォント)の「e-BOXER」専用オーナメントが貼られるが、ストロングハイブリッドとSUBARUらしいハイブリッドを表現した「S:HEV」がグレード名に加わる。
グレード名 | エンジン | 駆動 | 価格 |
Premium S:HEV EX | 2.5Lストロングハイブリッド | AWD | 約405万円 |
Premium S:HEV | 2.5Lストロングハイブリッド | AWD | 約383万円 |
Touring | 2.0L e-BOXER | 2WD(FF) | 301.4万円 |
Touring | 2.1L e-BOXER | AWD | 323.4万円 |
Limited | 2.2L e-BOXER | 2WD(FF) | 323.4万円 |
Limited | 2.3L e-BOXER | AWD | 344.8万円 |
プロジェクトマネージャー藤居拓也氏
STYLEWAGON(スタイルワゴン)2024年12月号より
[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]