急速充電器の種類や利用方法、電気自動車事に乗るために知っておきたいこと

「国内の電気自動車事情はどうなっている?」桃田健史がわか〜りやすく徹底解説! #そこが知りたいEVのこと PART2 世界各国のカーボンニュートラル政策と電気自動車事情#004

ガソリン車やハイブリッド車とは、色々と勝手が異なってくる電気自動車。いざ電気自動車を購入するために、知っておきたい疑問を解決。

電気や急速充電の利用方法、気になる疑問を解決

日本でも増え始めているEV車。でもEV車には気になることが色々ある。購入前に知っておきたい、EV車のアレコレをお答えします。

Q2.ハイブリッドが先導役!?

まさか、ハイブリッドが日本でこれほど普及するとは…。初代プリウスが登場した90年代後半には、当のトヨタを含めて他のメーカーも、ディーラーも、そしてユーザーも想像していなかったと思います。

実際、海外メーカーは2000年代中頃まで、ハイブリッドを「トヨタの“飛び道具”」という解釈をしてきました。プリウスを軸足として、トヨタがハイブリッドの多モデル化を展開するなかで、当初は気になる人が多かった回生ブレーキに対するブレーキペダルのフィーリングなど、乗り味ではガソリン車との差を感じなくなり、また価格も比較的手頃になったことで普及が進みました。ハイブリッドはトヨタが先導役で他メーカーが独自技術で追随したかたちです。

Q11.FCVの未来はこれからどうなる?

一時、究極のエコカーともてはやされたFCV(燃料電池車)はこれからどうなっていくのでしょうか。FCVは水素を燃料電池を介し電気の流れが生み、その電力でモーターを駆動させて走行する仕組みです。

つまり、FCVは自車発電するEVだといえます。通常のEVと比べたメリットは、水素の充填時間がガソリン給油並みに短いことが挙げられます。一方で、課題は水素ステーションを新たに建設する必要がある点です。

国はトヨタ「MIRAI」が発売された2015年を水素元年と銘打ち、水素ステーション建設に関する規制緩和を進めるなどしてきました。ただ、FCVの普及台数は未だに限定的で水素ステーションが事業として独り立ちするには、まだもう少し時間が必要なようです。

Q12.急速充電器の種類はどんなものがある?

チャデモという名称を聞いたことがあるでしょうか。CHAdeMOと書くのですが、これはチャージ(充電)とモビリティを融合させた造語です。チャデモは日本の電力企業関係者らが考案したもので、規格策定に関わったメンバーのひとりは「充電中は、お茶でも」といった、チャデモという発音からくるイメージを狙ったと話しています。

日本としてはチャデモの世界標準化を目指していたのですが、欧米の大手自動車メーカーは欧米それぞれにCCS(通称コンボ方式)を採用し、中国ではGB/T、さらにテスラは独自の形式を持つというのが現状です。こうした中、日中が連携したChaoji(チャオジ)の議論が始まっているのですが、欧米との連携は未知数と言わざるを得ません。

Q13.SA/PA充電器は今後増えていく?

高速道路のサービスエリアやパーキングエリアで、EVやプラグインハイブリッドの充電順番待ちをする光景を見かけることがあります。今後、EV普及が本格的に進めば当然、充電渋滞が起こることが予測されます。

急速充電のネットワークを持つeモビリティパワーによりますと「急速充電器の稼働率が20%を超えると充電渋滞が起こる時間帯が増える」といいます。サービスエリア等での急速充電は基本1回30分間なので、1日フル稼働して全48回という計算です。

このうちの20%ということは、約10回となります。対策としては、一カ所の充電施設で充電口が6つあり、1口最大90kWの急速充電器を普及させるなど、充電できる機会を増やす試みを始めています。

Q14.電気はどうするの?

「EVがドンドン増えたら日本で電気は足りるのか?」。そんな素朴な疑問を持つ人は少なくないと思います。その答えについては、現状では「検討中」と表現するしかありません。国は、日本で作ったり使ったりするエネルギー全体について『エネルギー基本計画』を公表しています。

その中で『2050年カーボンニュートラル実現に向けた課題と対応』という項目があるのですが、そこには電力部門でEVとの連携について詳しい表記はないのですから。

火力、水力、原子力など既存の発電方法と太陽光や水素などを組み合わせた発電・蓄電をどのようにミックスするのかの議論がこれからさらに本格化し、その中でEV向けの具体的な話が出てくるものと期待します。

Q15.急速充電の利用方法が知りたい

日本での急速充電の設置は、トヨタ、日産、ホンダ、三菱自動車が2014年5月に設立した日本充電サービス(NCS)によって拡充してきました。

2021年4月からは、東京電力を中心に上記のメーカー4社らが出資するeモビリティパワーがNCSの事業を引き継いでいます。上記の国内4社以外にも、メルセデスベンツ、BMW、アウディ、ジャガーランドローバー等の輸入車メーカーを含めて、各メーカーが発行する、充電に関する会員カードシステムに加入していると、eモビリティパワー加盟の全国約2万1700カ所の急速充電と普通充電の機器を利用することができます。

急速充電器の設置場所は、カーディーラー、道の駅、商業施設などに設置されています。

Q16.水素ステーションは怖い!?

水素ステーション1カ所あたりのコストは現在、約4億円と燃料供給設備としては高額です。水素と聞くと、なんとかく危険なイメージを抱く人がいるかもしれません。

確かに、水素は気体なので、仮に漏れても周囲が気がつきにくいとも言えます。そのため、水素を燃料とするFCV向けの水素ステーションの安全性について、これまで様々な技術改良が行われてきました。2010年代前半から中盤の実証試験では、小規模な不良などが見つかったこともありましたが、最近は製品の性能や精度が上がったことで事故のリスクは下がっています。

それでも、海外では北欧などで爆発事故が起こっており、今後も引き続き、安全性を高めるための技術改良が必要だと感じます。

PROFILE
桃田健史

▶▶▶そこが知りたいEVのことまとめはこちら

[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]

キーワードで検索する

著者プロフィール

stylewagon 近影

stylewagon