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内燃機関超基礎講座 | アイドルストップはエンジンにとってストレスか? 気筒休止とともに考える マツダ/ホンダ/VW

  • 2020/09/29
  • Motor Fan illustrated編集部

日常走行をしている限り、エンジンはその性能のほとんどを使っていない。その無駄を省くために、気筒を休止させる。そこでは、どのような協調制御が行なわれているのか。
TEXT:牧野茂雄(MAKINO Shigeo)

一度エンジンを始動させたら、目的地に到着するまでは絶対に切らない。それが昔の使い方だった。ところが現在は「積極的にエンジンを止める」ようになった。ひとつは信号待ちなどでの停止中にエンジンを切るアイドルストップだ。

簡単なように思えるが、重要な点はエンジン停止中の電力確保である。エンジンは停止していてもクルマの機能は生きているため、電力がダウンしては困る装備での対策が必要になった。一般にアイドルストップを解除する機能はアクセルペダルとステアリングであり、電子制御スロットル(つまりエンジンECU)とステアリングECU内には一定の電力を溜めておくコンデンサー(キャパシタ)が内蔵された。
また、坂道でのエンジン停止はABS/ESCといったシャシー制御側がブレーキ液圧の保持で対応するため、こちらも自前のコンデンサーを内蔵している。それでも、ステアリングの据えきりのように100A(アンペア)に近い大電流が瞬時に必要な場合は電力供給が間に合わずカーナビがダウンしたりするため、別系統のバックアップ電源を装備する例もある。

一方、気筒休止は変速機とエンジンの間の協調制御である。とくに気筒休止をやめて全シリンダーが復活するときは変速機に大きな負荷がかかるため、エンジン再始動のタイミングで変速機側はトルクコンバーターのロックアップ解除→滑り制御などを行なう。エンジン側も、再始動時の点火制御などで大きなトルク変動を起こさないよう制御する。まさに協調制御なのである。

マツダ:i-stop

当初は「スマートアイドリングストップシステム」として発表。エンジン停止時に、ピストン位置を同じ高さにそろえておく。位置調整にはオルタネーターを用いる。再始動時は、圧縮行程のシリンダーに燃料を少量噴射し点火させ、クランクを逆回転。すると、膨張行程のシリンダーは圧縮を始めることとなるので、そこに燃料を噴き点火し、通常の再始動とするシステム。スターターモーターを使わずに、通常の再始動の約半分の0.35秒でのアイドル回復としていた。市販型のi-stopではセルを用いるが、基本的な考え方は一緒だ。

ホンダ・VCM

ホンダ・インスパイアのJ35A型エンジンに搭載されていたVCM(Variable Cylinder Management)は、要求トルクによって6気筒すべて、片バンクの3気筒、そして両バンク1気筒ずつ休止の4気筒と切り替えて運転する(現在は6/3気筒運転)。気筒休止の方法はホンダお得意のVTECで、バルブリフトを停止させる。ポンプロスを大幅に低減(休止気筒はもちろんのこと、作動気筒もスロットルを開け気味で使うので高効率)した。気筒休止運転時、とくに4気筒時には不等間隔燃焼となり振動が増えるため、アクティブエンジンマウントを採用していた。

フォルクスワーゲン:ACT

フォルクスワーゲンの新しい4気筒シリーズ・EA211に採用された気筒休止システムがACT(Active Cylinder Management)。1.4 TSIに搭載されデビューしている。エンジンが1250から4000回転の間、かつ発生トルクが25から100Nmという、低中負荷領域で、2番および3番気筒の吸排気バルブリフトを停止させる。これにより、1番と4番気筒は低回転高負荷の燃費率の良好ゾーンに入り、効率が良くなる。NEDCで0.4ℓ/100kmの燃費向上が可能で、これはCO2-8g/kmに相当する数字。ACTによる気筒切り替えは非常にスムーズで、インパネの動作表示を見なければわからないほどである。

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