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【海外技術情報】BMW:NVIDIAと共に目指す次のレベルの仮想工場計画

  • 2021/05/10
  • 川島礼二郎
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自動車本体の高度化と多様化、また効率化にともない、製造現場は複雑化の一途を辿っている。そんななか、BMWグループとNVIDAとが、製造システムの仮想計画とエンジニアリングに革命を起こそうとしている。両社が目指している次のレベルの仮想工場では『NVIDA A Omniverseプラットフォーム』により無制限ともいえる互換性で多様なアプリケーションと接続できるようになり、計画プロセスの速度、精度、効率が大幅に向上するという。
TEXT:川島礼二郎(KAWASHIMA Reijiro)

 BMWグループとNVIDIAは『Omniverseプラットフォーム』を使用して、非常に複雑な製造システムを計画するための、まったく新しいアプローチを生み出そうとしている。この仮想工場計画ツールは、さまざまな計画データとアプリケーションを統合し、無制限の互換性を備えたリアルタイムのコラボレーションを可能にする。これによりBMWグループとNVIDIAとは、業界のリーダーとして、仮想工場計画に新しい基準を設定しようとしている。

 BMW AGの生産担当取締役であるMilan Nedeljković氏は以下のように述べた。

「私達BMWグループとNVIDAとは協力して、仮想デジタル計画の分野において大きな飛躍を遂げ、まったく新しい視点を切り開いて行くことでしょう。将来的には、生産ネットワークの仮想表現により、計画プロセスへの革新的かつ統合されたアプローチを実現できるようになります。『Omniverseプラットフォーム』は計画プロセスの精度、速度、そしてその結果としての効率を大幅に向上させるのです」

 NVIDIAの創設者でありCEOのJensen Huang氏は以下のように述べた。

「BMWはパーソナライズされた製造を大規模に行っています。その運用は世界で最も複雑なものの1つでしょう。私達が描いている将来の工場のビジョンでは、人とロボットとが協力して、また工場設計のあらゆるフェーズのエンジニアが共有仮想空間でコラボレーションして、工場全体を写実的に詳細にシミュレートすることができるようになります。『Omniverseプラットフォーム』は、この未来を実現するために構築されたものです。BMWが現実の世界で何かを構築する前に『Omniverseプラットフォーム』を使用してチームを接続して、仮想的に将来の工場を設計、計画、運用できることを嬉しく思います。これこそが製造業の未来なのです」

 既に仮想ファクトリプランニング自体は普及しているが、これまでは様々なアプリケーションからデータをインポートする必要があった。これには大変な時間が必要となるうえ、互換性の問題を引き起こす。またデータが常に最新のものであるとは限らない、というのも問題であった。

 将来的には『Omniverseプラットフォーム』により、関連する全てのデータベースからライブデータを収集・照合してシミュレーションを作成できるようになり、データを再インポートする必要がなくなる。目標は、全体像のビューを作成するために、計画の初期段階で変更と調整を評価できるようにすることである。この透明性により、プランナーと生産技術者とは、インターフェイスの損失や互換性の問題なしに、非常に複雑な生産システムを、さらに迅速かつ正確に計画できるようになる。

 卓越したフォトリアリスティックな品質は、『Omniverse』の多くの美点のうちの一つでしかない。もう一つのメリットは、様々なタイムゾーンの様々なサイトにいる従業員が仮想シミュレーションにアクセスして、必要とあらばいつでも協力してプロセスまたは本番システムの詳細を計画および最適化できることである。

 新しいサプライヤーとの統合も容易である。『Omniverse』を使用すれば、構造と設備のデータ、それに生産中の材料のアイテムと部品番号を統合できる。またロジスティクス計画にも使用でき、前例のないデータの一貫性を提供する。これは『Omniverse』は企画から生産まで、一気貫通できることを意味する。

 変更をライブで実行する機能により、意思決定が著しくスピードアップする。BMWグループの生産計画担当者は、グローバル生産ネットワーク内の全てのプラントにおける計画ライフサイクル全体を視覚化できるようになる。それは自律型ロボット工学から予知保全やデータ分析まで、AI対応の幅広いアプリケーションケースでサポートされる。

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