開発される自律型街路灯は、電動車の使用済みバッテリーとリサイクルスチールを使用し、系統からの電力や地中配線など外部からの給電を必要としない自律型のソーラー街路灯である。そのため、災害時や停電発生時にも消灯することなく街路灯の機能を発揮する。また、使用済みバッテリーを採用することで、バッテリー製造時に排出する二酸化炭素を削減できるため、カーボンニュートラルへの高い貢献が期待されている。開発は今年度中に行われ、23年度以降に自治体や企業との実証を通じて提供が開始される予定。
現在、多くの自治体や企業が取り組む2050年のカーボンニュートラル実現に向けた活動において、電動車の活用は不可欠である。しかし電動車の普及拡大に伴い、使用済みリチウムイオンバッテリーが増え続けることが想定されている。また、使用済みバッテリーの中には、他の用途であれば十分に活用できる充電容量を残しているものもあり、省資源などの観点から、使用済みバッテリーをリユース・リパーパスする具体策の創出が課題となっている。
それらの課題解決に向けて、世界初の量産電気自動車メーカーである三菱自動車のリチウムイオンバッテリー車載技術と、MIRAI-LABOの強みであるバッテリー制御システムなどのノウハウを生かし、使用済みバッテリーを活用した自律型街路灯の開発検討が開始された。
三菱自動車は、駆動用リチウムイオンバッテリーのリユース・リパーパスの可能性を確認するため、従前より岡崎製作所に設置した大規模太陽光発電設備とあわせ、アウトランダーPHEVの使用済みバッテリーを活用した蓄電システムを設置するなど実証を行ってきた。
MIRAI-LABOは同社が保有する電位差のあるバッテリーを無瞬断で切り替えことができるMBMS(Multiple Battery Management System):複合バッテリー制御システム技術)を駆使し、様々な製品展開と環境に配慮したサステナブルな自律型MaaS社会※ の構築を促進してきた。
※自律型MaaS社会:再生可能エネルギーと蓄電システムの組み合わせによって、商用電源に依存せず、自律型のエネルギーインフラによりサービスを継続提供する新しいMaaSの形のこと。