GSユアサが全固体電池の実用化に向けた研究成果で「電池技術委員会賞」を受賞

GSユアサは、2022年11月9日に行われた第63回電池討論会(主催:公益社団法人 電気化学会 電池技術委員会)において、全固体電池のキーマテリアルである固体電解質の実用化に向けた研究成果をが評価され、「電池技術委員会賞」を受賞したことを発表した。

この賞は、電池の研究・開発に顕著な貢献を行なった、または将来の貢献が期待される研究を行った者に贈られるものである。

硫化物系全固体電池は、リチウムイオン電池の安全性や信頼性を向上する次世代の蓄電池として注目を集めている一方で、実用化に向けては、固体電解質と水分とが反応して人体に有害な硫化水素を発生するという問題が残る。また、この発生を抑制するためには、製造工程の水分量を除去する必要があるが、そのためには非常に多くの電気量が必要となり、製造時にかかるコストおよびCO2排出量が増加することが懸念されている。

GSユアサでは固体電解質のイオン伝導率向上とともに耐水性の改善が取り組まれており、2021年開催の第62回電池討論会では、窒化物を組み合わせることによる耐水性の向上、ハロゲン化物を組み合わせることによるイオン伝導度の向上を図ったことに加えて、計算化学を取り入れて効率的に開発が進められ、得られた固体電解質を全固体電池に適用し、その電池特性の評価結果が報告された。電池技術委員会からは、この発表が全固体電池の実用化に向けて飛躍的な進歩をもたらす成果として高く評価され、今回の受賞に繋がったという。

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